サイトマップ

特別情報

« 前の記事を読む | BLOGトップ | 次の記事を読む »

水の巻


 恒例になってきた
「Kan.ワークプログラム」を
この日曜日に開催させていただきました。
最初の頃は、
私が20分間の対談をさせていただく時に、
位負けしている気がして
ちょっと負担が大きかったのですが、
最近は厚かましさが増してきたのか
だんだん楽しくなってきました。

いつも、控室での楽屋話が本当に勉強になるし、
そこでの会話をヒントに
対談の話題を組み立てていくのですが、
古今東西のすべてのことに
博識を持たれているKan.さんとの対話は
大きな広がりを持って
どこに飛んでいくかわからないので、
実は楽屋話が一番楽しみになってきました。


 今回のテーマは「秘すれば花」。
15世紀初めの室町時代に書かれた
能楽の始祖ともいえる
世阿弥が書き残した
風姿花伝」(岩波文庫等)
の中に出てくる言葉ですが、
能という日本独特の文化が
現代にまで残っている
大きな理由になっていると推測される秘伝書で
明治の終わりになってはじめて、
広く世間に存在が知られるようになってきたものです。

「守破離」
(まずは師匠の技を徹底的に真似て
まったく同じことができるようになった後に、
それと少し違う技を付け加える。
それが完全に舞えるようになったら、
今度は師匠の技を離れた
自分独自の世界観を開くことが可能になる)や、
「離見の見」
(舞台で舞っている自分を
客席に座っている(他次元の)自分が見る)
等の有名な言葉があり、
父も大好きな本でした。


 私が、
リメンバランスの前田知則先生の影響で
「父の呪い」
(通常は「母の呪い」:
両親とのトラウマの解放が
自分を生きるための第一歩になるという考え)
という話を言い始めた時に、
父が
守破離もできていないので
そんなことを言うのは間違っていると
直接私に言わずに著書に書いたことがあり、
大いに反省させられたこと
(少し反発も感じましたが...)がありました。

父の没後9年を経てようやく
今回のワークプログラムで、
父が「以心伝心」や「一子相伝」の思いで、
言葉にならない大切なことを
伝えようとしていたことが
わかってきたような気がしています。


 楽屋話で
2月の中旬に物部彩花先生らと
熊本にある
宮本武蔵が「五輪書」(岩波文庫等)を
書いたと言われる霊巌洞に行ってきた
話をさせていただきました。

Kan.さんも少し驚いておられて、
実は高弟でセミナーにも参加してくださっていた
空手の世界チャンピオンの方から
前日に霊巌洞にご家族で行かれた
という話を聞かれたばかりだったそうです。


 私の場合は、
ちょうど近辺の磐座巡りに
ご案内いただくことになっていたのですが、
父が「五輪の書」が好きだったこと
(「人生五輪の書」「経営五輪の書」
(後に合本して完本 船井幸雄の五輪の書―人生の奥義、経営の極意
(いずれもPHP研究所)、
という著書もあります)を話すと、
近くだからと
最初に連れて行ってくださいました。

物部先生が
「五輪の書」が書かれた洞窟の中で
「君が代」を荘厳に歌われたり、
私も短い瞑想を楽しませていただいたりしたのですが、
物部家は古代大和政権においては
武器の製造と保管管理を担っていた
ということが書かれている小説ではありますが
「池澤夏樹著「ワカタケル
(日経新聞出版)」
を読んだときに、
もしかしたら未来の武器は
兵器ではなくて音楽になっていくので、
武蔵の精神が彩花先生に伝わるために
必要だったのではないかなと思ったりもしました。


 私は実はまだ
五輪の書を読んだことがないというと
Kan.さんは
「まずは「水の巻」を
じっくり読むと読みやすいですよ」
というアドバイスをくださいました。
そこで宮本武蔵の研究者でいらっしゃる
魚住孝至放送大学教授が編纂されている
宮本武蔵「五輪書」 ビギナーズ 日本の思想
(角川ソフィア文庫)
で「水の巻」を読んでみました。
心に引っかかった部分を引用させていただきます。



(引用開始)

心の内にごらず、広くして、
ひろき所へ智恵を置べき也。
智恵も心も、ひたとみがく事、専也。
智恵をとぎ、天下の利非をわきまへ、
物毎の善悪をしり、万の芸能、
其道そのみちをわたり、
世間の人にすこしもだまされざるやうにして後、
兵法の智恵となる心也。
兵法の智恵におゐて、
とりわきちがふ事有もの也。
戦の場、万事せはしき時なりとも、
兵法の道理を きわめ、
うごきなき心、能々吟味すべし。

(中略)

目の付やうは、大きに広く付る目也。
観見二つの事、観の目つよく、
見の目よはく、遠き 所を近く見、
ちかき所を遠く見る事、兵法の専也。

(引用終了)


同書には現代語訳も載っていますが、
前半は知恵と心を磨いていくことの大切さと、
その知恵は武芸だけではなく
広くいろいろなことを学んで
騙されないレベルにまで達していないといけない
ということが書かれています。
後半部分は目のつけ方の解説です。
「観・見」二つの目のつけ方があり、
「観の目」を強くして、
「見の目」を弱くして
遠い所を近いように見、
近い所を遠いように見るようにすることが
兵法には不可欠であるという教えが書かれています。

最初の方の「人生五輪の書」が書かれたのが
1982(昭和57)年なので、
父が49歳の時の著書になります。
経営コンサルタントとして
油が乗り切ったところから、
競争の勝ち方だけではなく
よりマクロな視点を持たないと
本当の経営にはならないということに
気が付き始めた頃のことなので、
兵法の極意を
武蔵が武芸以外のことや、
マクロもミクロもわかる目の付け所を持つことで
説いたことが、
現代の武芸とも言える経営にも
ぴったり当てはまることの面白さを
本にまとめたかったのだと思います。

父が大好きだった
「如水:水の如くある」
という言葉とぴったりくるところからも、
父もKan.さん同様、
「水の巻」から「五輪書」の世界に
入っていったのかもしれないなと感じています。

言葉になっていない部分を
図らずも理解できたエピソードですが、
皆さまもそれぞれの
「以心伝心」や
「秘すれば花」を
感じていただければと思います。



カテゴリー

月別アーカイブ



  • zoom寄合
  • にんげんクラブストア
  • 秋山峰男の世界
  • やさしい ホツマツタヱ
  • 舩井幸雄記念館
  • 黎明
  • 船井幸雄.com
  • ザ・フナイ
  • ビジネス共済なら協同組合企業共済会
  • Facebookページはこちら
  • スタッフブログはこちら
グループ会社
  • 舩井幸雄.com
  • 本物研究所
  • エヴァビジョン
  • ほんものや