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本を読んでいた政治家


 
(引用開始)

五十年を越えた作家稼業の中で、
私にはとくに嬉しかった「評言」が三つある。

一つ目は、
ある編集者が言ったというのを
その場にいた一人から伝え聴いたこと。
「われわれが原稿を依頼する際、
たいていの著者は
何が返ってくるか想像がつく。
だが、塩野七生だけは想像できない」

二つ目は、
英語版の電子書籍
(『ローマ人の物語』全十五巻)を
読んだあるアメリカ人の ブログ。
「これは、多神教の人間が書いた、
初めての多神教の民族の歴史である」
多神教と一神教のちがいは、
神の「数」にあるのではない。
信徒が神に求める「存在理由」にある。
多神教の神々は、
信ずる人々を助け保護する存在。
反対に一神教の神は、
信ずる人々に、こう生きよ、と教示する存在。

従来のギリシア人やローマ人の歴史は
一神教徒である欧米人が書いたもので、
日本で飜訳されている歴史本も
その流れに沿っている。
だがこの一事に注目してくれたのは、
日本では亡き河合隼雄先生一人だった。

そして三つ目は、
中曽根さんが言ってくれたひとこと。
「きみの書く歴史には艶がある」
これって、
登場人物たちが生きている、
ってことですよね。
歴史とは、人間が作りあげた 物語なのだ。
その人間が生きていなくて
何が歴史かと思っている私には、
どれほど嬉しく 響いたか。

(引用終了)


 久しぶりに
大手の金融機関の本店でアポイントがあり、
約束の30分ほど前に現地に着いたので
どこかで時間を潰そうと思ったら、
近くに大きな本屋さんがありました。

最近は、アマゾンで本が買えてしまいますし、
できるだけ電子書籍で買いたいと思っているので
書店に行く機会が激減しています。
高校生の頃は、
わざわざ電車に乗って
大阪のターミナル駅まで行って
本屋さんに行ったものですが、
便利にはなったと思いますが、
本好きとしては少し寂しい気もしています。


 30分弱の時間で
じっくり本を探すことはできませんでしたが、
ざっとベストセラーと
ビジネス書の新刊のコーナーは
確認することができました。

そこで見つけたのが、
新聞広告を見て
すでに電子書籍で購入していた
塩野七生著
誰が国家を殺すのか
(文春新書)が
新書のベストセラーの上位に
ランキングされていることです。

若い頃に
塩野先生の
ローマ人の物語
(新潮文庫)
に挑戦したことがあります。
当時はいまほど一生懸命
本を読む覚悟ができていなかったので
途中で挫折してしまいました。

ただ、いまの世の中を動かしている
西洋人のことを理解するためには
ギリシャやローマの歴史が
わからなければいけないという
問題意識はできました。


 冒頭の引用は
塩野先生が月間文芸春秋に連載している
エッセイをまとめたものの最新刊ですが、
時事問題を主に扱ったエッセイなので、
それがこれほどのベストセラーになっているのは
予想外でしたが、
それだけ本好きの人が
まだ残っているということなのかもしれません。

ちょうど訪れたのが
お昼時だったのもあるかもしれませんが、
書店は結構にぎわっていました。
やっぱり本を読むのは
人生を豊かにしますし、
人間の器を大きくするのに
寄与してくれるのは
間違いないと思います。


 冒頭のエッセイは
2019年12月に出版された
月刊誌に掲載されたものですが、
ちょうど中曽根康弘元総理の
訃報が報じられた時に
書かれたものなのでしょう。
中曽根総理が
塩野先生の本についてされたような
論評ができるためには、
まだまだ
どれだけ本を読めばいいのだろうと
気の遠くなるような思いですが、
できれば中曽根総理よりも
本をたくさん読んで
勉強している政治家が
出現していただきたいものだと思います。


 父は
日本の旧制高校の教育システムが
大変優れていたのではないかという
仮説を持っていました。
台湾の李登輝元総統から教えていただいた
(私もその場に同席していました)のですが、
旧制高校に入るとほぼ自動的に
希望の大学に進学できるシステムだったので、
受験勉強から解放されて
青春を謳歌しながら
リベラルアーツ
(偏見かもしれませんが、
実生活の役に立たない
哲学、歴史、文学、芸術などの分野)を
中心に学んでいたそうです。

大学に行ってからはじめて、
文系であれば法学、経済学、政治学等を、
理系であれば自然科学の分野の実学を
学んだのが
人間形成にとても役に立っていたのではないか
という仮説です。


 確かに、
旧制高校を経験したエリートたちが
国を率いていた時代に
日本はもう少しで
アメリカさえも凌駕するところまでの
発展を遂げたのですが、
戦後教育を受けた世代が
リーダーになって以降は
目を覆うばかりの
惨状になっているような気もします。

中曽根総理は
戦後を作った旧制高校世代を
代表する政治家であり
論客であったわけですが、
塩野先生は
旧制高校の教育を受けてはいらっしゃいません。
その代わり
ローマ文明を書くために
ローマに在住するという
本気で作家業をされている
稀有な人材だと思います。


 制度として
旧制高校が復活されることはないと思いますが、
塩野先生から学ぶべきなのは、
やろうと思えば
自分の自覚で
それと同様の教育は
いまからでも自分に対して
施すことができるということです。

もちろん、本を読まなくても、
それぞれ独自のやり方で
専門分野を超えた
より大きな広い意味での分野の
リベラルアーツを究めればいいのだと思います。

ただ、エッセイですので
比較的簡単に読めますので、
ぜひトライしていただければと思います。




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