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賃上げに備える


 2008年のリーマンショックの後、
世界の先進国は競うように
異次元の金融緩和を実施しました。
それによって
お金が市中にたくさん出回るようになりました。

そんな中で、
ひとりかたくなに
伝統的な金融秩序の維持をしていた日本だけ、
お金が出回る量が比較的少なかったので、
円高が進んでいき
日本の産業の競争力が失われ、
企業は海外に生産拠点を移していきました。

大企業が生産拠点を海外に移すと、
そこに製品を納めている
会社も移っていくことになり、
サプライチェーンが
日本から失われるきっかけになりました。


 その状態を改善するために登場したのが、
2012年の安倍政権のアベノミクスであり、
翌年日銀総裁に就任された
黒田総裁の異次元の金融緩和策、
通称黒田バズーカだったのです。

これによって過度な円高が訂正され、
日本でも市中にお金が回り始めたので、
株高や不動産高が実現しました。
株や不動産を持っていない庶民には
恩恵が行き渡らなかったという
批判はありますが、
経営者の実感から言うと
景気の回復を感じられて、
少なくとも前向きに設備投資をして
この波に乗ろうという感覚は共有されました。

そこに、コロナ禍が襲い、
日本も世界も
休業補償や失業補償のための
お金のバラマキをしました。


 今度は、その過剰流動性によって
世界中がインフレになりました。
欧米ではコロナは過去の出来事と
とらえられるようになり、
外出時にマスクをすることもなくなってきました。
だから、いままで我慢していた
消費が急回復して需要が増えたこともあり、
人手不足が深刻になりました。
それによって、賃金が上がり、
景気回復が感じられる
正常なインフレ状態になってきています。

ただ、その水準が
許容範囲をはるかに超えているので、
FRBをはじめとする先進国の中央銀行は
利上げを実施するようになりました。
最近まで、市場との対話を望んでいた
マーケット関係者の期待を裏切り、
どうもFRBの当面の目的は
株価を下げることにあるようだという
観測がいまでは広がってきています。


 リーマンショック後とは逆に、
日本だけが必死の企業努力により、
企業間物価(卸売り物価)は
欧米並みの水準で上がっているにも関わらず、
消費者物価はまだ低水準に保たれています。

でも、企業努力の大半は
給与の抑制によるものではないかとも感じられます。
少子化が進む日本では
従業員を大切にすることが
長期的には生き残りのポイントになるので、
いまは逆に値上げを実施して
賃金を上げることができる企業の方が
強くなる確率は高いのではないかと思います。


 そうなってくると、
今度は政治的な圧力がかかってきて、
最低賃金を上げなければいけないという
議論が出てくる可能性が高くなってくると思います。

逆にいうと、
それができなければ
日本の国際競争力はますます弱くなっていき、
日本の安売りにますます加速度がつき、
日本が外国勢に
買い占められてしまう状態になっていきます。

それを避けるためには
賃上げが強制的になされるような事態も考えられ、
それに備えるためには
経営者としては企業体力を高めておく必要がある
ということになるのかもしれないと感じているのです。


 ずっと我慢して値上げを回避していき、
企業体力がなくなっている状態で
賃上げを迫られると
会社が倒れてしまう可能性が高くなります。

経営者にとっては、
効率化を図って人員削減を実施するか、
値上げをすることが大切になってくると思っています。

ただ、値上げは大変怖いことです。
品質に対して日本の消費者は
大変見る目が肥えているので、
安易な値上げをすると
簡単に離れていってしまう可能性が高いと思います。
だから、値上げをするなら、
少なくとも値上げ分以上の付加価値を
上げておくことが肝要になります。


 ここが正念場ですが、
付加価値を上げながらの
値上げができる体力をつけていくと
企業体質が強くなります。

幸いに円安が続いていますので、
海外の会社との企業競争力は強くなっています。
サプライチェーンを伴うような
大企業の国内移転は
急速には進まないと思いますが、
中小企業ベースでみると
輸出などは各段にやりやすくなっています。

また、特に高級品、
例えばワインやウイスキーなどは
いままでほとんど輸入に頼っていた分野でも
国産の商品の競争力がついてきているので、
需要が国産品に移っていく
予兆は見られるようになってきています。


 いったんは、
長年の習慣になっている
デフレ経済下での対応を見直し、
インフレに対応していくために
付加価値を上げるという
日本流のプラスアルファを伴いながら
値上げを実行することに
経営者の方は挑戦していただきたいと思います。

これは個人の立場にもあてはまり、
いまは、自分の価値をいかに上げていくかが
大事な時だと思いますので、
ここで強い体力
(個人の場合は、
他人にできない固有の価値を確立する)を
つけていくことに
挑戦していきたいと思っています。



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