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命の重さ


 先週、関西への1泊2日の出張に出かけました。
また、感染者数が増えてきましたが、
よほどの事態にならない限り
もう一度経済活動に制限をかけるという方向には
動かないのでないかと思います。

繁華街の人手や飲食店の混雑状況、
それに新幹線や飛行機などの
交通機関の混雑状況も
コロナ前の7~8割ぐらいまでには
回復してきたように感じます。
私自身の行動範囲も
コロナ前の8~9割ぐらいには
戻ってきた感じです。
だから、出張の機会も増えてきました。


 ところが今回は
予定していた約束が
直前で複数ドタキャンになってしまい、
時間にとても余裕ができました。
それでも、初日の午前中と2日目の夜には
アポが入っていて、
どちらもちょっとリスケをするのは
やめた方がいいと感じたので、
空き時間がたっぷりできました。

原稿の締め切りに追われているときは、
カフェをはしごして
原稿を書かせていただく貴重な時間なのですが、
今回は差し迫ったものもありませんでした。
そこで、久しぶりに
映画を観に行こうと思い立ったのです。


 仕事でお会いした技術系の方から
「トップガン マーヴェリック」がとてもよかった。
できれば、
最新の設備が整った映画館で観ると
本当に楽しいですよと
教えてもらっていたという伏線がありました。

調べてみると宿泊したホテルの近くに
ちょうどそんな映画館があり、
午前中にも上映があるようなので、
早速ネットでチケットを予約しました。

1986年(36年前、実に私は22歳でした)に
同じ俳優が主役の前作を見た記憶があったことも
大きな動機でした。


 前作が彼の出世作で
いまに至るまで
トップ俳優として活躍されています。
36年ぶりの満を持しての新作で
大ヒット間違いなしという
前評判が立っていたそうです。

それで思い出したのが、
エンターテインメントの関係者が
いまのヒット作は計算して作られている。
情報の収集と分析の手法がどんどん進んでいて、
お金をかければ
どんな要素を入れればヒットするのかが
予想できるようになっているということです。

日本の場合は、
アニメ映画などを作るときに
用いられている手法ですが、
多分本作も
そんな思惑で作られたもののようです。


 そして、面白かったのは
平日の朝にも関わらず
映画館は6割ぐらいの入りで、
年齢層に幅があったことです。
私と同じか少し年齢が高い層も、
昔を思い出して観に来ていましたし、
若い人も
ヒットの法則に基づいて作られた最新作が
新鮮に感じられるようで
カップル
(さすがに平日だったので
家族連れはいませんでした)
を含めてたくさん来ていました。

幅広い年齢層を取り込むことも、
ヒットの法則の一つで、
代表作は2018年の
「ボヘミアン・ラプソディ」
だと言われています。
こちらも国際線の飛行機の中で
観させていただきました。
ほとんど映画を観ない私にも
観させることができるぐらい
成功しているということのようです。


 まじめな話題に転じると、
本作を観て気になったのが、
「命の重さ」
というテーマです。
主人公は
若いトップガンたちが
全員帰還することを前提に
不可能な挑戦
(彼が主演しているヒットシリーズを連想させます)
をするのですが、
アメリカ人の命は絶対に守るが
敵方である相手の命は
まったく尊重していません。
いいも悪いも
これがアメリカ人の倫理観を作っています。

私は1992年~93年、
久しぶりの民主党の大統領だった
クリントン政権が誕生して
始まる前後に
アメリカに住んでいました。
その時に、気になったのは
アメリカの若者を
二度と戦場に立たせてはいけないという
政治番組の議論でした。


 よく聞いていると、
(悪者である)相手の命は
まったく顧みていません。
だから空爆はいくらしても問題ない。
でも、アメリカ兵も犠牲になる
地上戦をすることはまかりならない
という議論だったのです。

ちょっと脱線すると、
次の共和党の大統領の
ブッシュ・ジュニア政権で
2001年9月11日の
同時多発テロを捏造してまで
アメリカ兵を地上戦に投入できるようにする
動機だったのかなと思っています。
そして、その流れが
ウクライナ戦争に至るまでの流れを
作っていったようにも感じるのです。


 2018年に書かれた
真藤順丈著
「宝島」
(講談社文庫)
という直木賞を受賞した小説に出会って
そんな思いを強めています。

この小説のことは
復帰後50周年に当たって組まれた
ニューズウィーク日本語版
(6月28日号:沖縄の論点)の特集で
作者自身の寄稿を読んで知ったのですが、
かなりの衝撃を持って読み終わりました。

そこには、
占領した内地人(ナイチャー)の
命の重さをまったく感じていない、
自分勝手なアメリカ人や
日本人(本土人:ヤマトンチュ)のことが
見事に表現されていて、
私の沖縄への理解が
表面的なものであったことを
思い知らされる内容になっています。


 「トップガン マーヴェリック」が
アメリカの正義と
戦争への大義名分を醸成するために
いまのタイミングで作られたのかなと
考えることもできると思います。

前作は冷戦下の映画であり、
ソ連という
わかりやすい敵がいました。
新作では明確な敵はボカシていますが、
ロシアともイランとも
北朝鮮とも中国ともとれるようになっていますし、
一歩間違えば
日本のことにもなる危うさも感じました。

「宝島」で表現されている
返還前のアメリカ統治下の
沖縄で起こっていた事実も
直視しなければ、
沖縄のことはわからない
という思いを強く感じています。



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