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遊動


 お正月休みは思ったほど本が読めませんでした。
それで物足りなさを感じていたからかもしれませんが、
3連休の初日に久しぶりに近所の本屋さんに行った時に、
新聞広告で気になっていた
月刊「文芸春秋」を買って帰ってきました。

新聞広告で気になったのは
岸田総理が「新しい資本主義」に関しての
寄稿をされているということと、
安倍元総理のインタビューが
乗っているということだったのですが、
正直に言うと
岸田総理の「新しい資本主義」は
やっぱりよくわかりませんし、
安倍総理の「危機の指導者とは」というインタビューも
あまり私の心には響きませんでした。


 お二人とも現実の政治経済に
大きな影響力を持っていらっしゃるので、
あまり過激な本音を吐露するわけにはいかないので
当たり前かもしれませんが、
逆に言うと
それでお二人の目指している
政治の方向性が垣間見えたので
よかったと言うべきかもしれません。

私は浮世離れした生活をしているのか
値上げラッシュの現実感がありませんが、
インフレの傾向が出てきたことで
世界は大きく動き出したのは間違いないと思います。
このタイミングで、
いまの政治に大きな影響力を持っている
お二人の発言を読ませていただけたのは
とても良かったと思います。


 ざっと読んだ感想でいうと、
新聞記者123人が選んだ
次の総理と5年後の総理は誰か
という投票が面白かったです。
次の総理になる可能性が1位だったのは
林芳正外務大臣で
5年後の総理になる可能性が1位だったのは
福田達夫自民党総務会長でした。

いつも政治家を取材している記者たちの意見は
かなりの確からしさがあるのかなと感じています。

林外相の選挙区は山口県で
昨年12月の総選挙で
念願の参議院議員から
衆議院議員への鞍替えに成功しました。
山口は安倍総理の地元でもあり
安倍家と林家は
父の代からの因縁があった
という記事も紹介されていましたが、
そこを勝ち抜けるかどうかが
リーダーになれるかどうかを決める
という見方がなされていました。


 やはり、逆境に追い込まれた時に
政治家は強くなるのかもしれません。
福田総務会長は
お父さまとお祖父さまが総理大臣経験者です。
特に、お祖父さまの福田赳夫元総理は
田中角栄元総理のライバルで
自民党の二つの大きな派閥の祖とも言える
戦後政治の大物です。
昨年の総裁選挙で
存在感を示して頭角を現したのですが、
5年後ぐらいになると
いまは盤石に見える自民党支配の政治体制が
ぐらついてくることも十分考えられます。
自民党には
小沢一郎さんのような剛腕な政治家は
いまのところ見当たりませんが、
そんな台風の目になられる
可能性がある存在なのかもしれないと
インタビューなどを読んで感じました。


 いろいろな記事の中で、
一番興味を引いたのは
政治のことではありませんが、
元京都大学総長で
ゴリラの研究者でいらっしゃる
山極壽一先生と
生物学者の福岡伸一先生の
「ポストコロナの生命観」という対談でした。

山極先生は
菅前総理が委員6人の任命を拒否された時に
話題になった直前の
日本学術会議の会長であったので
存在が一時注目されていて、
それがきっかけで
著書をよませていただいたことがあるのですが、
京都学派の大先達である
哲学者の西田幾多郎先生と
西田哲学に影響を受けた
生態学者の今西錦司先生の
考え方を教えてくれています。


 お二人とも世界の流れに抵抗して
日本的な自然観に基づく持論を展開された方ですが、
京都の有名な観光名所にもなっている哲学の道は
西田先生が思考を巡らせるために
散策していたことから命名された
という話しを聞いたことがありますし、
今西先生は
父が京大生だった頃に講義を聞いたことがあり
かなり影響を受けたという
ダーウィンの進化論とは別の
「棲み分け理論」という
独自の進化論を提唱されていました。

今西理論は時代が早すぎたので、
対談ではオカルト視されてしまった
という感想が述べられていますが、
まさにポストコロナの時代になって
お二人の日本の科学界の重鎮は
「棲み分け理論」が
もう一度見直されてもいいのではないか
という意見を述べられています。


 今西先生と弟子の梅棹忠雄先生が作られた
「遊動」という言葉が
ポストコロナの時代のキーワードになるのではないか
という話しも紹介されています。

梅棹先生というと
私には
大阪にある国立民族学研究所を作られた民族学者であり、
文化人類学における日本のパイオニアである
というイメージだったのですが、
元々の学者としてのキャリアの初期には
今西先生の下で生態学を学ばれていたことを
今回初めて知りました。
1970年代以降の哲学は
文化人類学に大きな影響を受けている感じがしますが、
世界の潮流にはなっていませんが、
京都学派の日本独自の考え方に注目をしてみるのも
おもしろいのかもしれません。


 遊牧民の起源は
人が動物を飼い慣らしたのではなく、
人間の方が動物の群れにくっついて移動した
「遊動的狩猟民」であったという説から
「遊動」という考え方ができたのですが、
あきらかに組織が機能しなくなることが見えてきた
ポストコロナの時代、
私たちは新しい社会に向かって
「遊動」していくことが求められているのではないか
という示唆をいただけました。

政治の流れは5年後ぐらいから
「遊動」が始まる予感がしますが、
もっと本質的に
私たちの生き方、在り方が
「遊動」になっていくのかもしれないな
と感じさせていただけました。



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