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日本の美


 無観客とはいえ
結構騒がしく楽しい日々を送らせてもらった
オリンピックが終わって
しばらくの時が流れました。
野球やゴルフなど
自分が興味のある一部の競技を
テレビで楽しませていただきましたが、
個人的には新聞でメダルラッシュのニュースを見て、
若いアスリートの人たちが
がんばっているのだということを
確認させて喜んでいたぐらいです。

ただ、開幕式と閉幕式は
しっかりと見せていただきました。
若い人の話を聞くと、
SNS上等では評判が悪く、
仕切っている広告代理店の頭が古いからだ
ということになっているようです。


 広告代理店と同じように
頭が古いのかもしれませんが、
私は開幕式も閉幕式も
結構良かったと思っています。
イベントの企画に関しては何も分かりませんので、
あくまで素人の意見なのですが、
コロナ禍で行われたオリンピック、
私たちの経済もオリンピックのあり方も
どんどん成長していくイケイケドンドンではなく、
成長が徐々になくなっていって
成長しない中での
美を磨いていくスタイルになるのではないかと
感じられたからです。

私は前の東京オリンピックが開催された
1964(昭和39)年生まれですが、
あの時のオリンピックは、
これから日本やアジアが
ドンドン豊かになっていくぞという
高揚感を感じられるオリンピックだったのですが、
今年の五輪は
脱成長を象徴するようなオリンピックだったと
感じさせてくれたと私には思えたのです。


 3年後のオリンピックはパリで開催されますが、
フランスも文化が成熟している国で、
成長しない中でのオリンピックのあり方を示すには
ぴったりの国だと思います。
閉会式で紹介されたオリンピックのあり方は
それを見事に表現していて、
さすがだと思いました。

5年前のリオオリンピックの閉会式は
それほど熱心には見ていないのですが、
安倍前総理がスーパーマリオになられたのは
何となく覚えています。
その時は、まだ成長を前提とする
熱いオリンピックを目指していたのかもしれませんが、
1年延期とコロナ対応で
本来あるべきものに変容したのかなとも感じました。


 元々、日本の文化は
過度なギラギラしたものを嫌う文化です。
伊勢の神宮が典型的ですが、
シンプルでしっかりした
職人技の粋を集めて作られたもので
常若の考えを見事に表現しています。

失われた30年とも言われて
日本経済の元気のなさが
世界で突出した状態になっていますが、
明治維新以降や戦後の高度成長期の方が
異常な状態で
日本は江戸時代には
成長をほとんどあきらめることで、
その代わり260年もの天下泰平を謳歌していたのです。
わびさびに美を求める日本文化には
成長は似合わないのかもしれません。


 ただ、やっぱり経済成長しないのは、
諸外国がそれなりの成長を続けている中では
厳しいものがあります。
コロナ禍でも
アメリカや中国は成長を続けていますが、
どうもそれは
かなり無理をした
演出された成長のように思えてしまいます。
たまたま、日本は
他国よりも30年早く
脱成長のステージに入ったのであって、
3年後のパリオリンピックで
本格的に表現してくれるであろう、
新しい低成長、脱成長の時代の
オリンピックのひとつのあり方を示すことができたことで、
日本は大きな役割を果たせたのではないかと
個人的には感じています。


 ここまで考えると
わびさびの文化を誇っているのは
何も日本だけではないと感じます。
ヨーロッパの文化遺産も
大半は重厚な歴史を感じさせてもらえる
クラシックなものですし、
新しいものばかりを追求しているように思われる
アメリカにおいても、
例えばニューヨークは
ほとんど地震がないことから
100年以上経った建築物を
いまでもしっかりと使いこなしています。
原色が大好きで
ギラギラしているイメージがあるアフリカでも、
植民地時代の歴史的な建築物などは
クラシカルな趣を感じさせてくれるものが多く、
人類は変容をしていきますが、
それは成長とは違う形で
起こってくるような予感がします。


 そして、私たちは
その新しい変容の形を受け入れて、
もしかしたら日本が率先して
その道筋を示していかなければいけないのかもしれません。

理論物理学者の世界では、
理論を提唱して
それが実験で確かめられるまで
大体30年の年月が必要なのだそうです。
科学であるからには
きちんと実験で確かめられないと認められないのですが、
多くの物理学者には
どの理論が正しいかの予想はできているそうです。
なぜなら、本物の理論は
シンプルで美しいのです。


 産業革命以来、
高成長という異常な時代を生きている人類が
変容する時がきているのかもしれません。
特に明治維新以降の日本は
その中でも断トツであり得ない成長を続けてきたのですが、
伸びたからには
今度は縮んでいく過程でも
先頭を走っていく必要があるのかもしれません。

新しい人類のあり方を、
成長がなくても
みんなが幸せでシンプルに美しく生きられる世の中を
模索していきたいものだと思います。



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