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第8回「キトラ古墳の壁画創作<動機・本義>は、高松塚と同じ」      

第8回 「キトラ古墳の壁画創作<動機・本義>は、
                   高松塚と同じ」

1 キトラ古墳の概要
2 キトラ古墳の被葬者は阿倍御主人(あべのみうし)

突然、閃(ひらめ)いたのです。キトラ古墳の壁画制作の動機・本義は、高松塚古墳壁画制作の
それと同様である、と。
私は、この閃(ひらめ)きと勘が、当たったと思います。
まずは、キトラ古墳の概要について述べます。


1 キトラ古墳の概要


キトラ古墳は、奈良県高市(たかいち)郡明日香(あすか)村字(あざ)阿部山に位置しています。
高松塚古墳の、やや西より南・約1.2㎞の場所にあります。
いわゆる、「聖なるライン」と呼ばれている線上に近い所に、位置しています。
※聖なるラインとは、藤原京中央と天武(てんむ)・持統(じとう)陵を結ぶ線。

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文化庁のHPには、次のように記してあります。
<< 7世紀末頃の壁画古墳。
古墳の天井(てんじょう)に描かれている天文図は東アジア最古の現存例であり、青龍・白虎・
玄武・朱雀(すざく)の四神すべてが現存している例は国内初。
四神の下に人身獣首の十二支像も描かれており、歴史的・学術的にも価値の高いものである。
 >>

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(1)四神(ししん)図
高松塚古墳の朱雀(すざく)図は、盗掘穴によって消滅していましたが、キトラ古墳には、四神
(ししん)図全てが揃(そろ)っています。
◎東壁・青龍(せいりゅう)

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◎南壁・朱雀(すざく)

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◎西壁・白虎(びゃっこ)

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◎北壁・玄武(げんぶ)

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(2)十二支(じゅうにし)獣頭人身像(じゅうとうじんしんぞう)

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十二支獣頭人身像(じゅうとうじんしんぞう)とは、頭が十二支の動物で、それ以外が人間の体
をしている像のことです。

十二支獣頭人身像(じゅうとうじんしんぞう)は、東西南北の垂直壁面に、三支ずつ描かれて
います。
着衣の色は、四神図の色と同じ。つまり、五行(ごぎょう)説によって色分けされています。

高松塚古墳発掘者の故・網干(あぼし)善教(よしのり)氏は、次のように述べています。
< 簡単に、「北朝鮮の高句麗古墳壁画が日本の壁画古墳に影響を与えた」などと言っている
けども、誰がそのようなこと調べたのか。
調べもしないのにそのようなことを言ったらいけない、というのが僕の意見です。>

< 今、その高句麗の壁画古墳は七十ぐらい壁画が分かっている。
その中に獣頭人身像は一つもないのです。何もないのに影響を及ぼすのか。
そのようないいかげんな話はないと思う。>

また、新羅(しらぎ)にも獣頭人身像があるが、形も日本のものと違い、日本よりも後で作られて
いる、と記しています。
そして次のように述べています。
< 日本のキトラ古墳は、少なくとも、いくら遅くみても八世紀の初めです。
八世紀の初めに作られたものが八世紀後半に作られたものから影響を受けることなど、
どのようにして考えられるのか。>

(『古代大和の謎』編者・大和文化会・学生社/「獣頭人身像を考える」・網干善教)

どうやら、隋代にも獣頭人身像があり、唐代になると非常に多く作られるようになったことから
して、中国からの影響が考えられます。

(3)キトラ古墳天文図
キトラ古墳天文図は、東アジア最古の現存例です。
「外規」「赤道」「内規」「黄道(こうどう)」までもが、描かれています。
このように、多くの星座を描いた古墳壁画天文図は、中国、朝鮮半島にも存在しません。
北斗七星も描かれていますが、輔星(ほせい)を加えてあるから「北斗八星」です。

この天文図は、天皇(北極星)とは天の中心である、ということを意味します。
つまり、二十八宿、北斗八星(七星)、日・月、そして四神の中心軸として支配しているのが、
天皇(北極星)である、という主張が込められているのです。

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◎北斗八星
北斗七星だけではなく、輔星(ほせい)も描かれており、北斗星は、北斗八星であることを
主張しています。
この北斗八星こそ、天武天皇の呪術は北斗八星の呪術であったことを証明する、一つの事例
です。
いままで、何度も記してきたように、高松塚古墳、伊勢神宮、大嘗祭(新嘗祭)、日光東照宮
は、北斗八星の呪術なのです。

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2 キトラ古墳の被葬者は阿倍御主人(あべのみうし)


(1)キトラ古墳の壁画制作の動機(本義)発見とは
前述していますが、私は閃(ひらめ)きました。 
高松塚古墳壁画の動機(本義)が、「死後も天皇を崇敬(すうけい)守護していくこと」である
ならば、キトラ古墳壁も同様であろう、と。

ならば、キトラ古墳壁画の中から、天皇を崇敬守護している呪術を、探せばいいわけです。
高松塚古墳の場合の動機(本義)は、八人ずつの男女群像が、北斗八星(帝車)となり、
天井に描かれている北極星(天皇)を、崇敬守護していく、ということでした。
その八人ずつの男女群像は、被葬者自身・石上麻呂(いそのかみのまろ)でした。

ならば、男女群像に代わるものを、キトラ古墳壁画の中から探せばいいわけです。
あるではないか!! 十二支獣頭人身像(じゅうとうじんしんぞう)が!!


(2)十二支獣頭人身像と、八人ずつの男女・・・呪術方法は違っても、動機(本義)は
    「天皇崇敬護持」で同じ

獣頭人身像(じゅうとうじんしんぞう)とは、頭部が動物で、体が人間である像のことを
いいます。
十二支獣頭人身像とは、獣頭が子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・・・と、十二支揃っている
獣頭人身像のことです。
一壁三支ずつ、四壁で、十二支の獣頭人身像が描かれていた、と推測されます。
残念ながら欠落していて、十二支全てが壁画として残っていませんでした。

故・網干(あぼし)善教氏は、次のように述べています。
高松塚古墳の人物像の意味と、キトラ古墳の獣頭人身像(じゅうとうじんしんぞう)の意味が
分からないことを、告白しています。(『高松塚への道』草思社)

< この十二支獣頭人身像をどのように解釈するか。
なぜ高松塚古墳では人物画が描かれ、キトラ古墳では十二支獣頭人身像になったのか。
それがわからない。非常に難しい問題です。>

< 天文図、四神図に関しては、表現の違いこそあれ、基本的な考え方では通じるところが
ある。
けれど、十六人の人物像と、十二支獣頭人身像は全く違うものだと思います。>

網干(あぼし)氏は、「十六人の人物像と、十二支獣頭人身像は全く違うものだと思います」
と述べていますが、私の見解は、その逆で、全く同じものである、との見解です。

ただ、呪術形式が違うだけで、「描こうとした動機(本義)は、全く同じ」なのです。

その同じ動機(本義)とは、死後も、墓室内の天井(てんじょう)に描いた天皇(北極星)を、
永遠に崇敬守護していきたいという、被葬者自身の強い願いであったのです。
 
高松塚古墳の八人ずつの男女は、被葬者自身であり、北斗八星となり、天井に描かれた北極星
(天皇)を補弼(ほひつ・守護)しているのです。

キトラ古墳の十二支獣頭人身像は、被葬者自身であり、天井に描かれた北極星(天皇)を、
十二支循環という呪術で守護しているのです。

※高松塚古墳の場合の北極星(天皇)は、近くに存在する中尾山古墳(文武天皇)が加わり、
二カ所となります。
※高松塚古墳は中尾山古墳の陪塚(ばいちょう)。

ならば、次のことも言えます。
私は、両古墳とも人物像が描かれていることは、そこに被葬者が投影されている証拠、と
みます。
そして、天井に描かれた北極星(天皇)を、永遠に、一日一回循環しているのです。
 
八人ずつの男女(高松塚古墳)=被葬者(石上麻呂・いそのかみのまろ)=天皇守護=呪術
(北斗八星循環・帝車・八卦)=北極星(天皇)を一日一回循環

獣頭人身像(キトラ古墳)=被葬者(阿倍御主人・あべのみうし)=天皇守護=呪術(十二支
循環)=北極星(天皇)を一日一回循環


(3)何故、天皇図・「天文図(星宿図+日月図)+四神図のセット図」を描けたのか?
「天文図(星宿図+日月図)+四神図のセット図」の意味については、高松塚古墳において、
既に何度も述べていますが、再度記します。

「天文図(星宿(せいしゅく)図+日月図)+四神図のセット図」は、< 大宇宙を支配して
いる天皇(天帝)の様子 >を、表現しています。
このセット図は、完全天皇図、と言えます。

一つの墓室(石槨・せっかく)内に、これほど完全に揃(そろ)ったセット図・「天文図
(星宿図+日月図)+四神図」は、皇帝の国・中国においてさえ見られません。


従来の説は、「完全天皇図は、天皇に対してのみ描ける」、という前提条件を無視しています。

何故、被葬者は天皇でないのに、完全なる天皇図を描けたのか・・・この大問題をスルーして
いるのです。
よくよく考えてみれば、スルーするなんて、大変、おかしな話です。

キトラ古墳の場合は、次の通りです。

< 死後、被葬者自らが十二支(じゅうにし)獣頭人身像(じゅうとうじんしんぞう)となり、
天皇を神(北極星)として永遠に崇敬守護していく、という美学を持った、臣下最高位の
人物であったからこそ、天皇図を描けたのです。 >

つまり、被葬者が< 大君(おほきみ)は 神にし 坐(ま)せば >と墓の中でも言祝
(ことほ)ぎ、天皇を永遠に守護していこうとしている、という条件があってのみ、天皇図・
「天文図(星宿図+日月図)+四神図のセット図」を描くことが、許されたのです。

これでは、完全天皇図を描いたからといって、文句の付けようがありません。
天皇図を描いているが天皇陵ではない、との矛盾はこれで解消できます。
 
しかも、被葬者は、臣下最高位の官僚が最も相応(ふさわ)しい、と特定できるのです。


(4)キトラ古墳壁画の呪術(暗号)が解けた!!
私は、宇宙に向かって声を発したい。
高松塚古墳とキトラ古墳の呪術が、解明できた!!と。
網干(あぼし)善教氏が、あれほどまで言いつつ悩んでいた問題が、解決したのだ!!と。

ただ、言えることがあります。
もし、高松塚古墳の呪術が明らかにならなかったならば、キトラ古墳の呪術は分からなかった、
と。
網干(あぼし)氏が言われたように、永遠に分からなかった、と思われます。

高松塚古墳の呪術は、高度な難しい呪術でした。
しかし、既に伊勢神宮の呪術を解読していたからこそ、高松古墳の呪術の全てが、解明できた
のです。

伊勢神宮、大嘗祭(だいじょうさい)、日光東照宮、八角形天皇陵、高松塚古墳、キトラ古墳は、
「天皇のデザイン(天武天皇の呪術)」ということで、繋(つな)がっていたのです。

キトラ古墳の呪術は、分かりましたが、まだまだ喜ぶのは早い。
さらなる、被葬者(阿倍御主人・あべのみうし)の証明作業が、残っています。


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畑アカラ氏 プロフィール

昭和22年生まれ。静岡県出身。藤枝東高校卒。
明治大学政経学部卒業(蒲生ゼミ・村落社会調査)。
広告制作会社(株・漫画社)に勤務後、フリー。イラスト・ライター。
日本児童出版美術家連盟会員。
「8の世界」と「ハートの世界」の、オンリーワンの探究者。
「一般社団法人8月8日はハートの日協会」理事長。
「8月8日はハートの日」を全世界に広めるため活動中。
世界を一つに繋げることの出来るツール・・
それが「8月8日はハートの日」。
著作・歴史書:『古代天皇家「八」の暗号』(徳間書店)。
『古代天皇家の謎は「北斗八星」で解ける』(徳間書店) 
著作・エッセイ(画・文):『猫ノーテンキ』(草思社)、
『猫っ可愛がりのことわざ草紙』(毎日新聞)、
『きょうも猫日和』(徳間書店)。 
月間絵本・作絵:『ハーリーちゃんとハーティちゃん』
『にじをつくろう』(チャイルド本社)。
かみしばい:『からすのかーすけ』(教育画劇)。等々。
趣味はテニス。素人作曲(楽器は演奏できません)。サッカー観戦。

【最新著書ご紹介】

【大嘗祭・天皇号・伊勢神宮】 この国永遠の疑問を解く

[新装版]古代天皇家「八」の暗号

【DVD】畑アカラ先生 「初めて語る天皇と大嘗祭の真実」 (2枚組)
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