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安全保障としてのGNH

 ちょっと怒られるかもしれませんが、
緊急事態宣言が出ている中でも
結構出張に出かけます。
今月中旬には網走に行こうと思うのですが、
飛行機が欠航していて、
いつもなら朝イチの飛行機で行って
最終で帰ってくると
極端に言うと日帰りができるのですが、
お昼ごろに各社とも一往復しか飛ばしていないので、
千歳で乗り継いで2泊3日にしないと
スケジュールがこなせなくなりました。


 値段もかなり高くなるので
内心で文句を言っていたのですが、
よく考えれば
昔は飛行機代がかなり高かったことを
思い出しました。
北海道や九州まで行くと正規料金で
いまの感覚で言うと往復10万円ぐらいして、
なかなか他に選択肢がなかったので
それが当たり前だと思っていました。

学生時代に大阪の実家に帰る時は
若者向けの予約はできないけど、
空席があったら乗れるという
割引制度をよく使っていました。
いまと違って、東京大阪間の飛行機は
便もそれほど飛んでいなかったので、
大体満席になり、
飛行機に乗れるまで
半日ぐらい空港で過ごしたこともありました。


 早朝深夜に飛行機が飛ぶことも
騒音の問題等で
ありませんでした。
大体、網走に日帰り出張しようという感覚が
正常ではないのかもしれません。
こんな当たり前のことを
コロナ禍は教えてくれています。

私は中学生の時に一人で
大阪から横浜まで行く機会がありました。
父はちょっと心配して
空いているこだま号なら当時始めて
1両だけ禁煙車があるので、
それに乗っていけばいいという
アドバイスをくれました。
飛行機や新幹線に乗っても
当時の大人の男性は普通に煙草を吸ったもので、
ホテルに禁煙室なんてありませんでした。


 健康に対する意識が高まったことはいいことですが、
私たちがいま当たり前だと思っている常識は
いまの時代の常識で
コロナが大きく常識を変えていって
くれているのかもしれません。
自分に起こることはすべて
必要必然であると思えるかどうかが
人生を生きる上でとても大切なことだと
父はいつも教えてくれました。
だからコロナも楽しんでしまうような
余裕が必要なのかもしれません。


 自粛警察をしてしまう人たちの心情は
戦争中の国防婦人会のようなものなのかもしれない
という意見を多分SNSで見ました。
みんなとても真面目ないい人たちで、
贅沢は敵だと
お互いにまったく善意でやっていたことですが、
後から考えると
批判の対象になってしまいます。

禁煙が当たり前で
子どもたちの権利が守られる世の中ができ、
LCCや高速バスなどの
安価な交通手段の普及で
誰でも気軽に旅行を楽しめていたことに
感謝をした方がいいことを
教えてくれているのだなと思えば、
ありがたくなってきます。


 便利で安価なことがいいという考え方は
合理的ではありますが、
ある意味とても傲慢な事なのかもしれません。
自由競争で企業が努力して
そんなすばらしい暮らしを
楽しめるようになってきたことは
ありがたいことですが、
そのおかげで環境破壊が起こっているし、
世界的に見ると
極端な貧富の格差が広がってしまっています。
経済的な合理性以外の指標を
考え始めた方がいいタイミングが
来ているのかもしれません。


 元世界銀行副総裁の西水美恵子さんの
ご講演をお聞きしたことがあります。
日本にブータンが導入している
GNH(国民総幸福量)という概念を
最初に紹介した方です。
GDPやGNPという
既存の経済力を計る指標だけではなく
貧しくても国民の幸福量を増やす政治を
ブータン王国は採っているという
ステキなお話ですが、
ご講演ではGNHという概念は
ブータンにとっての安全保障なのですよ
ということを話されていたのが
とても印象的です。


 中国とインドという超大国に
挟まれた極小国というのが
ブータンの置かれた
厳然たる地政学上の位置づけです。
象と虎に挟まれた蚊のような存在なのです。
どちらかの国のちょっとした思惑で
簡単につぶされてしまう存在です。

でも、西水さんたちが
世界中にGNHという概念を広めて、
私たちまでもが
ブータンのことを注目するようになりました。
私はまだ訪れたことがありませんが、
多くの友人たちは
GNHという概念を現場で見るために
ブータンに行きました。
そうすると中国もインドも
私たちが知らないうちに
ブータンを簡単につぶせなくなったのです。


 さすがに蚊よりは影響力がありますが、
いまの日本もアメリカと中国の狭間で
翻弄されている小国であるという事実を
まず認めることが大事なのかもしれません。
第二次世界大戦までの日本は
大国になることを目指してきましたが、
それがあそこまで徹底的に
アメリカにやられてしまうという結果に
つながったのかもしれません。

ブータンのGNHのような戦略を考えて、
日本の存在感を示しながら、
でも軍事大国にならないでいい道を探していくことを
この機会に考えてもいいのかもしれません。


 どちらにしても、
いままでのあり方や生き方を振り返る
いい機会をもらっているのだと感じます。
今日は立春。
新しい年の始まりでもあります。
これからの新しいあり方と生き方を考えてみるには
いい日なのかもしれません。



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