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第6回 大嘗祭


「ニニギノミコトから続く、
 連続3代の真床覆衾(まとこおふすま)の事例を、
 無視できるのか?」

◎天皇は八重畳(やえだたみ)の中に入るのか? 
 折口信夫(おりくちしのぶ)氏の
 真床覆衾(まとこおふすま)説

大嘗祭も迫ってきましたので、今回は、優先して、
今まで最も論争になってきた
「真床覆衾論(まとこおふすまろん)」について、
述べます。

大嘗祭を論ずるにあたり、避けて通れないのが、
折口信夫(しのぶ)氏の
「真床覆衾論(まとこおふすまろん)」です。

この説は、『日本書紀』神代巻に、
ニニギノミコトが降臨されたときにくるまわれたと
記されている「真床襲衾(まとこおふすま)」と、
大嘗宮・悠紀(ゆき)殿・主基(すき)殿の
神座・八重畳(やえだたみ)に用意される
寝具・「御衾(おふすま)」を、
同一のものと推論したものです。


zu6-1.jpg


新天皇は、神様と共食したのち、
八重畳(やえだたみ・神座・寝座)の上で
「真床襲衾(まとこおふすま)=御衾(おふすま)」に
くるまる秘儀をされる、
というのです。

神座(寝座・八重畳・やえだたみ)の上で
「御衾(おふすま)」にくるまることで、
皇祖神・天照大神と一体化し、
完全な天皇になられる、
というわけです。

今までの多くの学者は、
「真床覆衾論(まとこおふすまろん)」を継承、
或いは、類似の説を論じています。

しかし、岡田莊司(しょうじ)氏は、
神座(寝座・八重畳・やえだたみ)は
天照大神がお休みになるところで、
ここには天皇といえども近寄ることは出来なかった、
という説を述べています。

また、平成の大嘗祭の時の論争として、
岡田莊司氏は、次のようにも述べています。


<< 折口が自ら「仮説」であると称してから五十年、
   ここに通説から定説へと昇格する。
   「仮説」検証がほとんど行われず、
   定説の地位を獲得するという、
   学問世界における不思議な現象であった。 >>

天皇と神様が一緒に新穀を召し上がる、
この行為をもって、天皇継承儀礼となることは、
生命の根本を考えさせられ、
何と、シンプルで素晴らしい儀式である事かと、
感歎せざるを得ません。

しかし、ただ、これだけでしょうか?

◎真床襲衾論(まとこおふすまろん)を
 スルーするわけにはいかない

私は、基本的に
「真床覆衾論(まとこおふすまろん)」に賛成です。

その理由は、『日本書紀』の中に、
皇孫(すめみま)三代が連続して、
真床襲衾(まとこおふすま)と関わり合いを持って、
記されているのです。

事例が一箇所でしたら、スルーもできますが、
連続三箇所ともなれば、
さすがに、見逃すわけにはいかないのです。

また、「八重畳(やえだたみ)=神座=寝座」、
ということを考慮すれば、
ただ単に置いておくだけということは
あり得ないわけです。


そこには、設置してある何等(なんら)かの
理由があるはずです。
その理由をまず明らかにすること、
このことが肝腎です。
さらに言えば、
八重畳(やえだたみ)という意味を。
この件は、後ほど述べます。

私見ながら、大嘗祭成立初期の頃は、
八重畳の中に入って、
御衾(おふすま)に包まれたと思います。
あるいはその上に坐(ざ)したと思われます。


◎おどろおどろしい所作はなし

ただ、実際に采女(うねめ)と聖婚儀式をしたとか、
遺骸(いがい)と寝たとか、という
「おどろおどろしい」ことは無かったと思われます。

このような想像をも記した折口氏は、
大嘗祭の成立期をさらにずっと古(いにしえ)と
考えていたからに他なりません。

それにしても、折口氏は、
なぜ、おどろおどろしいことまで述べたのか、
不思議です。
しかも、折口説は、
そのつど、変化もしています。
ただし、八重畳の中に入ることは、
確かとしている論です。


天武天皇が大嘗祭を創設したのですが、
その後、持統(じとう)天皇、
元明(げんめい)天皇、
元正(げんしょう)天皇、などの
女性天皇が誕生していますので、
女性天皇にも耐えられる、
それなりの儀礼になったと推測します。

ただし、大嘗祭の儀礼所作(しょさ)も
時代と共に変化してきたと思われますので、
いつしか八重畳(やえだたみ)に入る儀式は
無くなってしまった可能性もあります。


もし、無くなったとしても、
八重畳に「御衾(おふすま)」が置いてあり、
その横で神様と一緒に新穀を召されるということで、
御衾(おふすま)にくるまったという象徴所作になり、
「天孫(あめみま)・皇孫(すめみま)」の
資格を得る、
ということは考えられます。


◎『日本書紀』のニニギノミコトから続く、
 連続3代の真床覆衾(まとこおふすま)の事例を
 無視できるのか?

『日本書紀』には、ニニギノミコトから、
子供へと続く連続三代
(ニニギノミコト→山幸彦→ウガヤフキアエズ)にわたる、
真床襲衾(マトコオフスマ)の事例があります。

この、連続三代の事例を読んでいただき、
大嘗祭におけるマトコオフスマ説を簡単に否定出来るのか、
皆様の判断に委(ゆだ)ねたい、
と思います。


①『日本書紀』における、
 最初の、ニニギノミコト
 「真床襲衾(まとこおふすま)」の場面

◎ 天孫降臨(てんそんこうりん)の場面
 ・・・ニニギノミコトが
   真床覆衾(まとこおふすま)に覆われて、
   地上に天降る場面


<<  時に、高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)、
   眞床追衾(まとこおふすま)を以て、
   皇孫天津彦彦火瓊瓊杵尊
   (すめみまあまつひこひこほのににぎのみこと)を
   覆(おお)いて降(あまくだ)りまさしむ。 >> 

         (神代紀・第九段本文)

このように、『日本書紀』では、
ニニギノミコトが
真床覆衾(まとこおふすま)に覆(おお)われて、
地上の高千穂峰(たかちほのみね)に降りられた事を
記しています。

いわゆる、天孫降臨の場面に、
真床覆衾(まとこおふすま)は使われています。

大嘗祭に当てはめて考えるならば、
新帝が八重畳の上に置いてある御衾(おふすま)を
覆(おお)うことによって、
皇孫(すめみま・天皇)の資格を得るという、
意味付けに、なります。

これが一回目の、
真床覆衾(まとこおふすま)の事例です。


②『日本書紀』における二番目の、
 ニニギノミコトの子供・
 山幸彦(やまさちひこ)の
 「真床襲衾(まとこおふすま)」の場面


◎海神(わたつみかみ)が、
 山幸彦(やまさちひこ)を招き入れて、
 真床覆衾(まとこおふすま)を設(しつら)えて、
 天神(あまつかみ)であるのか、ないのか、
 様子を確かめる場面があります。


海神(わたつみ)の神は、
三つの床を用意して、山幸彦を迎え、
天神(あまつかみ)であるのか、確かめます。


 <<  内の床にしては、
    真床覆衾(まとこおふすま)の上に
    寛(あぐ)み坐(いま)しき。 
    海神(わたつみ)見て、
    乃(すなわ)ち是(これ)
    天神(あまつみかみ)の孫(みま)と知りぬ。 >>

       (神代紀第十段一書第四)


※彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと・山幸彦)の子供は、
 豊玉姫との子である鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)。
※ 山幸彦の親は、父が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、
 母が木花之佐久夜毘売(このはなさくやひめ)。


ここでは、「眞床覆衾(まとこおふすま)=玉座」と
していたことが分かります。

つまり、①、②によって、
眞床覆衾(まとこおふすま)の上に坐(すわ)っても、
覆(おお)っても、
天神の孫、つまり天孫(あめみま)であることの
証明となります。

大嘗祭に当てはめて考えるならば、
新帝が八重畳(やえだたみ)の上に置いてある
御衾(おふすま)の上に、坐(すわ)るか、
それを覆(おお)うことによって、
皇孫(すめみま・天皇)の資格を
得るということになります。

ここの記述は、
真床覆衾(まとこおふすま)でもって、
皇孫(すめみま・天皇)の資格審査をしています。

これが二回目の
真床覆衾(まとこおふすま)の事例です。


③『日本書紀』における三番目の、
 山幸彦の子供・
 鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)の
 「真床襲衾(まとこおふすま)」の場面


◎豊玉姫(とよたまひめ/夫・山幸彦)が、
 生んだ子・鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)を、
 真床覆衾(まとこおふすま)に包み、
 海辺に置いて、海に帰ってしまう場面

  << 豊玉姫(とよたまひめ)
    ・・・遂に真床覆衾(まとこおふすま)
    及び草(かや)を以ちて、
    其の兒(みこ)を裹(つつ)みて
    波瀲(なぎさ)に置きて、
    即(すなわ)ち海(わた)に入りて去(い)ぬ。 >>

        (神代紀第十段一書第四)


※鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)の配偶者は、
 玉依姫(たまよりひめ)であり、その子供の第4子は、
 神日本磐余彦尊(かむやまといわれびこのみこと)で、
 のちの神武(じんむ)天皇(初代天皇)です。

『日本書紀』では、豊玉姫(とよたまひめ)が
天孫(あめみま)の子を生んだときに,
「真床覆衾(まとこおふすま)および草(かや)」で
その生児をつつんで渚に置いて海に去った、
と語っているのです。

よって、大嘗祭に当てはめて考えるならば、
新帝が八重畳の上に置いてある御衾(おふすま)に
裹(つつ)まれる所作をすることによって、
皇孫(すめみま・天皇)の資格を得ることが出来る、
という意味付けにもなります。

これが三回目の真床覆衾(まとこおふすま)の事例です。


◎なぜ、三代続けて真床覆衾(まとこおふすま)が
 皇孫(すめみま)の証拠として、
 記されているのか?
 (ニニギノ命→山幸彦→鸕鷀草葺不合尊
 (うがやふきあえずのみこと)


大嘗祭は、神話の再現儀式祭だとも言われています。

『日本書紀』において、
ニニギミコトから三代に渡って
真床覆衾(まとこおふすま)の事例が
出てくることを考慮しても、なお、
真床襲衾説(まとこおふすませつ)を、
完全否定出来るのか?

特に、②の場合は、真床覆衾(まとこおふすま)を
どのように扱うかで、
明らかに皇孫(すめみま)であるのかないのか、
の資格審査をしています。

大嘗祭は皇位継承の資格獲得儀礼でもあります。

大嘗祭において、最も重要と思われる、
「神座(寝座)・八重畳(やえだたみ)」の上に、
皇孫(すめみま)の証拠となる
御衾(おふすま)が置いてあることは、
どのように解釈したらよいのでしょうか?

皇位継承の象徴である
真床覆衾(まとこおふすま)が目の前にある、
ということになります。

それなのに、八重畳に置いてある
真床覆衾(まとこおふすま)を
ほったらかしにしておいて、
いいものでしょうか?


『日本書紀』においては、
真床覆衾(まとこおふすま)に、
①、③の事例のように、包(くる)まわれるか、
②の事例のように、坐(すわ)るかによって、
皇孫(すめみま)であることの証拠となります。


大嘗祭は、神話の再現演出でもあるのです。

私は、真床覆衾(まとこおふすま)を、
ほったらかしにしておいてもかまわない、
という見解に賛成する勇気?を持てないのです。
 
私は、おそらく初期の頃の大嘗祭には、
御衾(おふすま)に覆(おお)われるか、
お坐(すわ)りになるか、
の所作があったと確信しています。


大嘗祭の前日に鎮魂祭(ちんこんさい)が行われますが、
そのときは、天石屋戸(あまのいわやと)の
神話の再現と思われる儀礼所作があります。

ならば、次の日の大嘗祭においても、
神話の再現があっても、
おかしくないのです。

このことも考え合わせますと、
真床覆衾(まとこおふすま)の儀礼所作は
あったと推定できます。

大嘗祭における
真床覆衾(まとこおふすま)の儀礼所作は、
なかったと言い切れないのでは、
と思う次第です。

八重畳(やえだたみ)は、神様がお休みになる、
という説には、誰もが賛成しています。
ならば、御衾(おふすまは)は、
神様がお休みするとき纏(まと)うためにある、
ことは確かです。
御衾(おふすま)の活用は、
ただ、それだけなのか?


◎八重畳が持っている意味と、
 八角形高御座(たかみくら)・
 八角形天皇陵の持っている意味、
 との比較


私は、天照大神と北極星が習合する場所が、
八重畳(やえだたみ・神座・寝座)だと思っています。

天武天皇は、大嘗祭を創設して、
「天皇=北極星」の存在証明場所としました。
これが、大嘗祭創設の動機です。

その「天皇=北極星」の存在証明方法は、
北極星と天照大神が習合することでした。
その、習合場所が、八重畳(やえだたみ)、でした。
大嘗祭における、八重畳(やえだたみ)の最も大切な役割は、
天照大神と北極星を休寝させ、習合させることです。

◎八角形の高御座(たかみくら)は、
 天皇が着御(ちゃくぎょ)して、
 即位する場所です。
 つまり、「天皇誕生」です。

◎八角形天皇陵は、飛鳥時代、
 天皇が葬られる陵の形でした。
 つまり、「天皇の死」です。

◎八重畳は、天照大神と北極星(天皇)がお休みになり、
 習合する場所です。
 つまり、「天皇(北極星)の証明」です。


ならば、天皇(北極星)は、
天照大神と習合した北極星と、習合するために、
八重畳の中に入ることは、充分に考えられます。

天皇が、八重畳(やえだたみ)の中に入ることで、
天照大神と北極星、そして天皇との三位一体の習合が、
完成する、ということも充分考えられるのです。


(勿論、序列は付いています。
 天照大神は、北極星(天皇)の祖先)


八角形高御座(たかみくら・天皇誕生)、
八角形天皇陵(天皇の死)、
そして大嘗祭の八重畳(天皇=北極星の証明)は、
それぞれ、最重要な意味を持っているのです。


それは、それぞれの、本義とも言えるのです。



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