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先週末は大阪でG20サミットが開かれていました。トランプ大統領、
習近平主席、プーチン大統領、インドのモディ首相、仏マクロン大統領、
独メルケル首相、英メイ首相、トルコのエルドアン大統領等錚々たる
メンバーが大阪に集まりました。私はそんなサミット当日に、たまたま
大阪にいました。飛行場の警備がものものしく、入口と出口が一か所に
しぼられていたりしたことが不便と言えば不便でしたが、普段から
あまり車を使わない私にとっては許容範囲内のことでした。
大阪市内の交通事情も大きな道が封鎖になったり、首脳が移動する
前後は突然通行止めになるなど、まったく読めなくなっていました。
金曜日の夜はご接待いただく会食だったのですが、先方がタクシーの
手配をしようとしたところ、まったく見当がつかないので無理でした
と恐縮されていたのが印象に残りました。幸いにホテルまで歩いて
7、8分の距離だったので、途中まで先方の部長さんといろいろ話し
ながら帰りました。ともあれ、普段は体験できないいい経験を
させていただいたと思っています。
マーケット関係者の意見を聞くと、今回のG20の唯一の興味は
土曜日に開かれた米中首脳会談だったそうです。結果的には貿易
協議の再開、追加関税の先送り、それにファーウエイへの部品販売を
認めることをトランプ大統領が容認しました。この結果を受けて
週明けのマーケットは円安株高になっています。
ただでさえ焦点がなかったG20だったのですが、帰りがけに板門店で
サプライズの米朝首脳会談が開かれ、世界のメディアの興味は
すっかりそちらに移ってしまいました。なぜ、トランプ大統領は
中国にとりあえず譲歩し、北朝鮮には大きなサービスをしたので
しょうか。
結論から言うと、トランプ大統領の本音は来年の大統領選挙で再選を
果たしたいということに尽きるのではないでしょうか。板門店を訪れた
前日の土曜日、アメリカでは民主党の大統領候補のテレビ討論会があり、
ほぼ候補者がトランプ大統領に絞られている共和党に比べてかなり盛り
上がっている状態だったそうです。そこに、板門店で金正恩委員長と
肩を並べて歩いて北朝鮮側に行くトランプ大統領の映像はかなりの
インパクトがあったようです。日米安保条約の見直しを示唆したりして
いたのも、これにつなげるためだったと考えると腑に落ちてきます。
また、中国との関係は振り上げたこぶしの落としどころを見つける
のはなかなか大変ですが、これ以上の貿易戦争はアメリカにも大きな
返り血が飛んでくることになり、選挙戦略を考えると得策とは言えない
でしょう。アメリカという国は悠長な国で、大統領選挙に1年半もの
長い時間を費やし、体力勝負で候補者が絞られていきます。
テレビという媒体の使い方を熟知しているトランプ大統領はどのように
ふるまえば有権者にインパクトを与えられるかを最優先に考えている
のだと思えば、分かりやすいのかもしれません。
日曜日の夜に家に帰ってから、板門店のニュースを見たいと思い
ケーブルテレビでCNNを見ました。トランプ大統領のやり方というか
あり方に反対している急先鋒のCNNですから、板門店に訪問した
ことを批判的に解説する軍出身の評論家が厳しいコメントをして
いました。
そして、テレビ映りがあまりさえない民主党の女性の上院議員が出て
きて、やはりトランプ大統領の批判をしていました。もちろん、
さえないというのはかなりお酒を飲みながら見ていた私の主観ですから、
深読みし過ぎなのかもしれませんが、もしかするとCNNは、トランプの
批判をしているようで本当はトランプの応援をしているのかもしれない
などと思ったりもしました。
政治の世界は、私たち素人から見ると不思議なことがいっぱいです。
『ザ・フナイ』に長期連載してくださっている政治評論家の片桐勇治
先生によると、実はトランプ大統領と安倍総理は仲が悪いのではないか
と思われるそうです。さらに、いつも注目している政治評論家の宮崎
正弘先生のメルマガでは、今回の板門店の米朝首脳会談では文在寅
韓国大統領は同席もさせてもらえずに、その上韓国ではトランプ
大統領は首脳会談や晩餐会などの何の公式行事もせずに帰ってしまった。
これほど失礼なことはないし、トランプ大統領がツイッターで2分だけ
でもいいから金正恩委員長と会いたいと言ったのは、文大統領が
アメリカを訪問した時に2分しか首脳会談の時間をもらえなかった
ことのレトリックだというのですから難解です。
あんまり想像したくはありませんが、私はトランプ大統領が来年の
選挙も勝ち抜き8年間大統領をするという副島隆彦先生の意見に賛成
です。そしてその間は、いままでの常識を超えた世界のリーダーが
何をするのか、私たちは固唾を飲んで見守らなければいけないのだ
と思います。本当に朝鮮戦争が終わって在日アメリカ軍が全面撤退
する日が、近い将来に来るかもしれません。これはすなわち、日本が
どういう選択をするのか、私たちの生活に直接大きな影響を与える
決断が迫られる日がやって来るということに他なりません。
それに備えて叡智を集めるだけの準備をいまからしなければならない
ようです。私たちの将来は、どこか遠くにいる誰か偉い人が決めるの
ではなく、私たち自身が決めていくのだと思っています。
読者の皆さんもそれぞれの立場で日本の将来について考えてみて
いただければと思います。