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株主総会


 今週は3月決算の上場企業の株主総会がピークを迎えています。私も
実はある上場会社の社外取締役をさせていただいているのですが、
「今年は社外取締役が指名されて質問に答えなければいけないケースが
増えていますよ」と言われて緊張して総会に臨みました。

 予行演習の時には、信託銀行の方が株主の役割をやってくださって
質問をしてくださいます。その時に、社外役員への質問もしてくださり、
事前の勉強の成果で何とか質問をこなすことができてホッとしましたし、
本番では他の役員の方への質問はありましたが、残念ながら私への
質問はありませんでした。

 企業統治の在り方はここ数年で大きく変わりました。大きなきっかけ
は2014年に出された「伊藤レポート」です。「伊藤レポート」とは、
一橋大学の伊藤邦雄教授を座長としてまとめられた、経済産業省の
「『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい
関係構築~』プロジェクト」の最終報告書の通称です。企業側が取り
組むべき姿勢としてコーポレートガバナンス・コードを作成し、
(機関)投資家側の指針としてはスチュワードシップ・コードを
作成しました。

 いまの上場会社はこの時に作られてから徐々に定着しつつある
コーポレートガバナンスの考え方に強い影響を受け、株主総会もこれに
対応するように設計し直されてきています。また、勉強している株主の
方もコーポレートガバナンスの方針に沿って会社経営がなされているか
どうかを論点に、鋭い質問をされるようになってきました。大きな流れ
で言うと、取締役の少なくとも3分の1以上を社外取締役が占めることが
当たり前に求められるようになってきましたし、近い将来は過半数が
社外取締役になることが望ましいとされています。

 また、来年ぐらいからは少なくとも1人は取締役候補に女性がいな
ければ、機関投資家は役員の選任の議案に反対票を投じることを
リコメンドされるようになると言われています。さらにすごいなと
思うのは、指名・報酬委員会の設置が求められるようになり、取締役
の指名やその報酬の決定は社外の人が議長を務め、過半数を社外の
委員が占める委員会で実質的に決定することが求められるように
なっています。

 実際に、私が社外取締役をさせていただいている会社でも昨年から
指名・報酬委員会を設置するようになり、私が議長をさせていただいて
います。私は大きく言えば会社側というか社長の意図に沿った答申を
することを考えていますので、制度的にはともかく実質的には影響は
ありませんが、もし会社側に悪意のある人が社外取締役かつ指名報酬
委員会の議長に就任した場合には、社長を変えたり自分の意図通りに
動く人間を社長に指名したりできる、ある意味では怖い制度だなと
思っています。

 いまの問題は、上記のように数多くの社外取締役が必要とされて
いるのに比べて、実質的にその任を受けられる人材が極端に不足して
いることです。適任者といえば、公認会計士、弁護士、大学教授、
他企業の経営者および経験者、それにコンサルタントぐらいになるの
だと思います。ただ、例えば船井総研の現役社員が顧問先の社外役員
になるのは利害相反の問題があって難しいと思うので、私のように
会社から離れてしばらくたってからでないとなれないと思いますし、
私も社外役員になるときには船井総研の許可を取りました。

 「......ということになると、もしかするとこの人は悪意をもって
いるかもしれないという候補者を選んでしまうリスクも格段に増える
のではないでしょうか」というような話を、たまたま株主総会が
終わった日に講演をお聞きした、『ザ・フナイ』に長期連載をして
くださっている政治評論家の片桐勇治先生に立ち話でお話ししました。

 私は、「これは創業家から経営権を取り上げるための策謀かもしれ
ません」という話をしたのですが、片桐先生は、「これからの日本は
冷戦体制や戦後体制の変革が求められていて、企業統治の在り方が
大きく変わっていきます。もしかすると、旧態依然の会社のガバナンス
を一気に変革するための手法なのかもしれませんね」というお返事を
くださいました。

 これはちょっと目からウロコでした。私の場合、どうしても自分の
立場とオーバーラップして創業家の立場で被害者目線になってしまうの
ですが、本当の意図は日本の超大企業の統治機構を変革することにある
と考えた方が確かにしっくりきます。

 ちょっと変な言い方になってしまいますが、「伊藤レポート」で最初
にやり玉にあげられた被害者(?)は、セブンアイホールディングスの
鈴木敏文会長でした。

 セブンアイの場合、「伊藤レポート」を作った伊藤教授ご本人が
社外取締役を務めていたのですが、結果として指名報酬委員会が鈴木
会長の人事案に反対し、それを取締役会に諮ったところ、やはり鈴木
会長案が否決されて、結果として会長退任につながりました。片桐
先生の考え方が正しいとすれば、もっと大企業で旧態依然とした
会社のガバナンスがドンドン否定されていく流れが近い将来に出て
くることになりそうです。

 株主総会からも、大きな時代の流れが感じられます。ちなみに、
昔のような総会屋さんはすっかり影をひそめましたが、しっかりと
勉強している一般株主の方の鋭い質問にタジタジになる場面も増えて
いるようです。そう考えるとなかなかどうして、日本社会も
いい方向に変わっていっているのかもしれません。




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