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最近、コンサルタントの仕事をさせていただく機会が増えています。
船井総研の仕事を実質的に外れたのが2003年のことですから、かれ
これ16年間はお金をいただいてコンサルタントをさせていただくことは
ほとんどありませんでした。その間になにか意識して知見を積み重ねて
きたわけではありませんが、最近なぜかその会社や工場、それに店舗を
見せていただければ、適切なアドバイスができるようになったのです。
現役のコンサルタントの方に言うと叱られそうですが、お金をいただ
くと結果を出さないといけないというプレッシャーに押しつぶされそう
になりますが、いまはお金をもらわないでアドバイスをさせていただく
だけなので、気楽なものです。
もちろん、そんな気楽な私に時間を使ってくださり、さすがに交通費
や宿泊費等は出していただくケースがほとんどなので、相手の経営者の
方は経営的にも人間的にも余裕がある方がほとんどです。だからだと
思いますが、一生懸命、売上利益を上げることに喜びを見いだしている
社長さんというよりも、どちらかというと不可思議な私の提案にも耳を
傾けてくださる方が多くなります。そして、そんな社長さんたちとの
つながりから、どうも最近の優秀な経営者はがんばって経営しない人が
多くなっている気がするのです。
私が有料でコンサルタントをしていたころは、不真面目(?)な社長
にお会いすることは、ほとんどありませんでした。安くはないコンサル
タント料を払ってまで経営を伸ばそうとしている方ですから、真剣に
経営しています。いまだからこそ、そう思うのかもしれませんが、逆に
言うと余裕のある経営者はほとんどいなかったようにも思います。
でも、いまの船井総研のクライアントの皆さまとのお付き合いは
あまりないのですが、にんげんクラブの活動を通じて、よく船井総研の
コンサルタントにお世話になっていますという社長さんにもお会いする
ことがあります。社長も様々なので、真面目な方ももちろんいますが、
少なくとも私と会っている時に余裕がない方はほとんどいらっしゃいま
せん。
そう言えば、数は多くありませんが、船井総研時代に知り合いになっ
た社長さんでいまでもお付き合いのある方も何人かはいるのですが、
私と気が合う社長さんには、あまりギラギラした方はいらっしゃいま
せん。
多分、私の方が選んでいるのだと思いますが、ギラギラしていた方は
一時的に大成功されるのですが、それを継続していていまでも悠々と
経営されている方はそれほど多くはないように思います。
もちろん、上場企業になって経済誌などに何度も登場している人も
いますが、それでも背後には紆余曲折があったことを耳にすることも
よくあります。昭和の時代は目いっぱい努力をして必死になってがん
ばることが一番正しい経営手法でした。それぐらいでないと生き残れ
ない厳しい時代だったのだと思います。ただ、がんばり続けるだけの
気力がないと長い目で見ると途中で挫折してしまうリスクもかなり高い
のだと思います。
当時はサービス業で奇跡のサービスをして評判を高める会社がたく
さんありました。船井総研もそんなアドバイスをたくさんさせていただ
いて、異常値を出していただくコンサルティングが得意でした。ただ、
奇跡のサービスもやがては普通のサービスになります。斬新な施設も
時間の経過と共にだんだん古くなります。そんな環境変化の中で、
支持され続けるためにはすごいエネルギーが必要になるのです。
繰り返しになりますが、私と友人づきあいをしてくれている社長さん
たちは、あまり努力していない気がします。努力していないというより
も、自分や社員の人たちが楽しくやれるように、楽しみながらできる
ぐらいの負荷はかけますが、それで潰れてしまわないようにすることに
もとても気を配っているのです。
度々書いているとおり、私は気が短いので時々悪い癖で怒りが湧いて
きます。でも、いまのいい社長は怒り等の感情をうまくコントロール
できる人で、幹部の人たちにも負荷をかけないで部下を動かすように
するマネジメントを心がけるように働きかけています。
厳しくてきつかった経営の世界も、どうやらようやく無理なく楽しく
やる時代になってきたように思えます。これからの社長はまず自分が
徹底的に楽しんで、それでいて自分の長所を活かして、任せられること
は部下に任せる。それで、人材を育成して、楽しいマネジメントをやり
ながら温かい会社を作っていくことを目指すべき時代に来ているよう
です。
経営書を読むと、そのような経営を目指しているアメリカのコンサル
タントが書いている本をたくさん目にするようになりました。彼らは、
そんな経営をとても分かりやすく論理的にまとめてくれていますが、
実は、そのような経営は日本をはじめとする東洋の方が一日の長がある
ような気がします。ただ、今の日本人に足りないのは、経営だけでは
なく他の分野でもそうなのですが、「自信」なのではないかと感じます。
まずは儲けられる人が自信を持って儲けることが、今後の日本全体の
豊かさに繋がっていくので、私自身も自信を持って、遠慮することなく
前向きに生きていきたいと思っています。