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琵琶湖周航の歌


 先週の日曜日、久しぶりに週末にゆっくりと熱海に行ってきました。
直前が母の喜寿(77歳)の誕生日だったので、家内の企画で歌のプレゼ
ントをしようということになり、運転手兼マネージャーのような役割を
させていただきました。

 当初の計画では、母が好きなバイオリニスト、五嶋龍さんの東京での
コンサートに招待しようと思ったのですが、コンサートのために東京ま
で出てくるのが億劫のようで、結局買ったチケットは私たち夫婦で見に
行くことになりました。そして、その時の公演のパンフレットと一緒に、
母が好きだった歌をプレゼントすることにして、電子ピアノを車に積ん
で熱海に出かけたというわけです。

 舩井幸雄記念館のお客様が帰られた後、演奏をさせていただくことに
なり、記念館のスタッフが母と一緒に歌を歌ってくれることになりまし
た。77歳の母が好きなのは「サウンドオブミュージック」や「愛の讃歌」
なので、これは家内がピアノで演奏し、定番ですが「ふるさと」をみん
なで歌って、意外に盛り上がったのです。

 母が一番喜んだのは「琵琶湖周航の歌」という曲でした。実はこの歌
は、歌があまり好きではなかった父のほぼ唯一のお気に入りと言ってよ
い曲なのです。母とトランプのブリッジをしながら、加藤登紀子さんが
歌うこの歌をよく聞いていたので、母にとっても大切な曲だったので
しょう。

 そんな「琵琶湖周航の歌」は旧制第三高等学校(いまの京都大学)の
寮歌であり、京大を卒業した父にとっても憧れだったようです。ただ、
父の時代から学制が変わりいまと同じ新制高校の1期生になった父は、
タッチの差で旧制高校を経験していません。

 台湾の元総統である李登輝氏を父が訪ねた時、私はかばん持ちでつい
て行かせてもらったのですが、時間をオーバーしてその時話していた話
題は、日本の教育制度、特に戦前の旧制高校の教育はすばらしかったと
いうものでした。

 戦前のシステムだと旧制高校に入ると自動的に大学に入れました。だ
から、存分に青春を謳歌していたのですが、その時に哲学の勉強を一生
懸命にしていたそうです。そして、実学としてはまったくに役に立たな
い哲学を徹底的に叩き込んでいたことが、日本の戦後の奇跡の経済成長
を作った秘密ではないかという話になりました。

 旧制高校のシステムで勉強をした人たちが引退して第一線から離れた
後、日本経済はメタメタになってしまいました。アメリカ流の実学だけ
を学んだ人たちがリーダーになったことで社会全体が軽薄になり、奥深
さがなくなってしまったのが日本の力が失われていった大きな原因では
ないかと二人で意気投合していたのを、いまでもよく覚えています。

 加藤登紀子さんが歌ってこの曲が大ヒットしたのが1971年(昭和46年)
のことだそうなので、私の世代はギリギリこの曲を覚えているのですが、
一世代若いスタッフの人は、ほとんど聞いたことがないと言っていまし
た。簡単なメロディなのですが、カラオケで歌おうと思うとキーが合わ
ずに結構難しく感じます。

 そんな昔の歌ですが、母にとっては大切な思い出の歌のようです。
よほど嬉しく思ってくれたのか、家に帰ってスマホを見ると母から、
家内が印刷した歌詞カードを見ながら何度も歌を口ずさんでいると、
お礼のLINEが入っていました。正直に言うと、歌のプレゼントなんて
気恥ずかしくてちょっと斜めに見ていましたが、母が心から喜んでくれ
ている様子を見て、すこしは親孝行になったかなと嬉しく思っています。
企画してくれた家内にも感謝しなければいけないなと思います。

 戦争の時に近くに焼夷弾が落ちて爆発して以来、父の耳は音楽を楽し
むという機能を失ってしまったようで、ほとんどの音楽は雑音のように
しか聞こえなかったそうです。多くの仕事を効率的にこなさなければな
らない父にとって、そんな音楽は邪魔でしかありませんでした。それゆ
え父が絶対の存在だった舩井家は、父が家にいる時はいつもとても静か
でした。

 一方の母はというと、ちょうど団塊の世代だった弟(私から言えば
叔父)の影響もあり、ミュージカルや、時代背景からかロシア民謡など
を歌うのも大好きでした。子どもの頃には、母にミュージカル映画や時
には舞台にも連れて行ってもらった思い出があります。でも、父が人生
のほぼすべてだった結婚後の母にとっては、父が唯一楽しんで聞いてい
た「琵琶湖周航の歌」がどんな名曲よりも魂を震えさせる歌だったので
しょう。もしかすると母は、歌の中にたしかな父の存在を感じていたの
かもしれません。

 長距離のドライブは疲れるので、最近ではたまに熱海に行くときも新
幹線で行くことがほとんどなのですが、文句を言いながらも早起きして
車で出かけてよかったと思います。超一流の音楽家のコンサートもステ
キですが、魂を揺さぶる思い出の歌も、いいものですね。




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