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大日本病


 最近は、朝日新聞の擁護をすると怒られるというか読者を失うような
気がしてしまう風潮を感じます。
私も赤塚高仁さんと友人になって多大な影響を受けていて、国を愛する
ということや、建国の歴史を知るということの大切さを感じるように
なっていますが、安倍総理が次期国会で自民党の憲法改正案を提出する
という指示を出したというニュースを聞くと、ちょっと心穏やかでない
ものを感じます。私は元々リベラルな考え方が強いので、さすがに憲法
改正が現実味を帯びてくるといまの風潮で本当に大丈夫なのかと気にな
るのです。

 お盆のお休みで時間があるので、戦争のことを考えているのですが、
そんな気持ちも手伝って、山崎雅弘著『[増補版]戦前回帰「大日本病」
の再発』(朝日文庫)
を読んでいます。帯には、「国家神道、八紘一宇、
教育勅語、国体、そして日本会議。戦前・戦中の価値観が姿を変えてよ
みがえる。日本はどこに向かって進んでいるのか?」と書いてあり、時に
はこのような主張に耳を傾けることも、やっぱり必要かなと思います。

 経済と言うか景気という観点から見ると、安倍総理が長期政権を続け
ていることはとてもいいことだと思っています。第二次安倍政権ができ
た当初は、かなりナショナリズムな危なっかしい政権ができたと海外で
見られているという報道もありましたが、その後にトランプ大統領とい
う危なっかしさでは引けをとらない政権ができたので、いまでは安倍政
権はマイルドに見えるぐらいに感じてきています。でも、改めて朝日的
な論調の本を真面目に読んでみると少し心配になってきました。

 伊勢神宮に行くと悠久の歴史を感じますが、明治神宮や靖国神社、
それに橿原神宮などは明治以降に作られた神社で比較的新しい歴史しか
ありません。しかし、明治期に国家神道をバックボーンとする体制で近
代化を果たしたため、古事記や日本書紀の神話を実話として推し進める
政策を進めて行ったことが、最後は統帥権干犯等という、行き過ぎた国
家神道体制に行き付いてしまい、その極みとも言える国体明徴運動が始
まってたった10年で、日本は未曽有の国難を経験することになりました。

 天皇陛下は国民の平和と安寧をお祈りくださる存在であって、直接政
治に関わられる存在ではありません。また、それまでの歴史上では神道
は宗教ではなく、当たり前の生活の一部であるお天道様が見ているので
悪いことはできないという営みを確認するものでした。それが、天皇親
政という制度を推し進めるために、国家を運営する基礎として位置づけ
られてしまい、国家神道として国家運営の要になってしまったのです。

 それでも明治大正ぐらいまでは、近代化を図る上で合理的な判断の重
要性が意識されていたのですが、昭和初期になって天皇機関説に対する
執拗な攻撃を嚆矢(こうし)として国体明徴運動が盛り上がるにつけて、
軍部の台頭とも相まってムードで政治が行われ精神主義がすべてで合理
的な判断をすること自体が非国民であるという論調に変わっていきまし
た。朝日的な視点で見ると、いまの安倍政権における日本会議というか
神道政治連盟に属する政治家が中心になって政治を進めている姿が昭和
初期に少しかぶって見えてしまいます。

 同じ過ちをしないためのポイントは謙虚さではないでしょうか。日本
は特別な神国であり、世界をリードしていかなければならないという自
己満足に陥ってしまうと、戦前と同じ過ちを犯してしまうことになりそ
うな気がします。日本は特別な役割を持っているかもしれませんが、
だから偉いというわけではなく、優れているわけでもなく、謙虚に世界
の一員としてやっていかなければならないという姿勢をキープし続ける
ことが、大切なのだと思います。

 自己卑下をする必要はありませんが、かといって夜郎自大になって何
をしてもいいのだというのでは始末に負えません。謙虚に日本の特殊性
に鑑みて、例えば成立の過程はともかく世界で唯一の平和憲法を持つ意
義をどう活かしていくべきかという憲法論議にならなければいけないの
だと思うのです。

 経済の面では、トルコの通貨がアメリカとの対立を契機に暴落して世
界のマーケットを震撼させています。アメリカに対して強気で交渉する
ことも時には必要なのかもしれませんが、独裁者になりつつあるエルド
アン大統領が世界の現状を顧みずにひとり強気を押し通すことが、トル
コにとって最善の道だとは思えません。

いまは、日本円はアメリカドルよりも安全通貨とされて円高基調になっ
ていますが、謙虚さを忘れた日本政府があまりの傍若無人さを発揮して、
いつか来た同じ過ちの道を歩かないようにしなければならないと、そん
なことを考えながらお盆休みを過ごしています。



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