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シュタイナー思想

初めてシュタイナーのことを耳にしたのは、20年ぐらい前のこと。AI
(人工知能)の研究をしていた故・五味隆志さんからでした。五味さん
は20歳代後半から30 歳代前半の私の思想形成期に一番大きな影響を与
えてくれた恩人です。

当時のAIは今と違ってロボティックスが主体で、アメリカの軍事的な
研究開発は進んでいましたが、「何があっても防衛分野だけはやらない」
という五味さんの強い意志で進められており、その研究は本当に手探り
状態でした。社員が10人程度の中小企業でありながら、当時のAIの超一
流の研究者を東京に10人近く招いてシンポジウムを開催するなど、かな
り先端的な研究を手掛けておられました。

私も、現在でもその分野の第一人者であるMIT(マサチューセッツ工科
大学)のロドニー・ブルックス教授の研究室に同行させていただいたり
しましたし、何よりも机上の空論に終始することなく、実践することに
重きを置く素晴らしい研究者でした。当時のロボティックスの研究は、
今のようにコンピュータのアーキテクチャー(プログラムの論理的構造)
をつくるよりもバッテリーやモーターの問題が先決であり、カナダに
あった五味さんの会社の社員は必ず、まず板金を切ることから修業させ
られていたことを懐かしく思い出します。

アーキテクチャーと言えば、今ではディープラーニング(深層学習)と
いって人間がプログラムを与えるのではなくAIが自律的にプログラムを
つくっていくアーキテクチャーが大きな成果を挙げていて、AIが近い将
来私たちの生活を大きく変えることが確実な情勢になってきています。

おそらく、20~30年ぐらいすれば英語の勉強をするのは趣味や研究の
世界、今でいうとラテン語や古代エジプトの文字であるヒエログリフを
学ぶような感覚になると思います。体にウェアラブルデバイス(身に
着けて持ち歩けるコンピュータ)が自然に通訳をしてくれるようになっ
て、お互いがお互いの母国語を話してもごく自然な会話が成立するよう
になるのでしょう。

車の自動運転はもう少し早く実現して、車の運転も趣味の世界になる
と思います。

50年程度のスパンで見れば、今人間しかできないことの大半はAIや
ロボットが取って代わってくれるようになります。

赤塚高仁さんとの共著『聖なる約束3 黙示を観る旅』(きれい・ねっと)
に書いた通り、人間は労働から解放され、聖書の創世記に書かれている
エデンの園に帰っていくことができるのです。そうなれば、先の選挙で
希望の党が公約に掲げたベーシックインカムの制度もおのずから実現し、
人間は食べるための労働(「ライフワーク」をもじって「ライスワーク」
というそうです)からも解放されることでしょう。

さて、そうなってくると、人間は何のために存在するのかを問われる
ようになり、いよいよ哲学的な思考を深めていくことが求められるよう
になります。

最近少し勉強したシュタイナーの思想は、宇宙観から歴史観まで幅広く
網羅されていて、これからの時代に合った哲学的思考を深めていくため
には、ぜひ学んでおくべきものだということがよく分かりました。

シュタイナーの翻訳本や解説本はたくさんあって、あまり体系的にまと
まっていない印象があったのですが、個人的には、半田広宣、福田秀樹、
大野章共著の『シュタイナー思想とヌーソロジー』(ヒカルランド)が
(750頁を超える大著で、実はまだ読了していないのですが)とても
分かりやすいのでお勧めです。

不勉強で、ヌーソロジーという考え方はこの本で初めて知りました。
私流の解釈ですが、「時間の流れには、私たちが普段意識している
デジタル(不連続で直線的)なものと、アナログ(連続で円環的)
なものがある」ということは、最近の「舩井フォーラム」でずっと
テーマに掲げている「次元を超える」ための具体的方法論として使え
るなという感覚を持ちました。まずは、この本を読破したいと思って
います。

五味さんはシュタイナー教育にも大変興味を持たれていて、私も当時は
そのことしか分かりませんでした。子どもの自主性を極端に大事にして
いく教育方法で、海外、特にドイツにおいて大きな成果を挙げていると
いうことは分かりましたが、当時の日本の実情を考えるとなかなか難し
いのではないかと思いました。それに何より、何冊か本を読んでみたの
ですが、何を言いたいのか概念的なポイントが私にはつかめなかったの
です。

でも、不思議なことに、社会の在り方を根本的に変えてしまうインパク
トを持っていることが分かってきたAIに、20年以上前に触れさせてくだ
さった恩人が、AIとはまったく関係のない文脈でシュタイナーの存在を
教えてくれていたのです。

その後しばらくシュタイナーのことは忘れていたのですが、2011年の
東日本大震災の半年後ぐらいに、福島で講演をさせていただくことが
ありました。小川雅弘さんと新しい、にんげんクラブをつくるための
全国講演をやっていて、確か一緒にレンタカーを借りて、仙台から福島
まで回ったのです。

そのときのことを不思議とよく覚えているのは、小川さんに仙台の青麻
神社という、不思議なエネルギーにあふれた神社を教えてもらったから
かもしれません。当時の私は、神社にお参りすることは初詣ぐらいしか
なく興味もまったくなかったのですが、その不思議な空気感に魅了され、
その後さまざまな神社にお参りするようになるきっかけになったのです。

父が言うパワースポットというものの存在を最初に実感した瞬間だった
のかもしれません。

その福島の講演会には、多くの教育関係者や医療関係者が出席してくだ
さっていて、そのほとんどが東京や横浜から福島の支援をするために
やって来ていた人たちでした。そして、その人たちになぜ福島に来てい
るのか尋ねると、シュタイナー思想に強く影響を受けていて、原発事故
で大変なことになっている福島の子どもたちのことを見過ごせないから
だとおっしゃっていたのです。

前述の『シュタイナー思想とヌーソロジー』を読んで理解できたのです
が、シュタイナー思想では「自己独立性」と「自他同一性」という、
一見矛盾する概念を両立させるような世界観を持っています。

人類が進歩するためには「自己独立性」を確立することがとても重要な
ことであり、実際に西洋社会が最初に近代化できたのは、その確立が
できたからです。現在でも日本人は個性を出すことを嫌いますが、アメ
リカなどに行くと自己主張ができなければエリートにはなれないという
カルチャーが徹底していて、びっくりすることがあります。

シュタイナー思想では「自己独立性」が確立したら次の段階として、
意識の拡大を図って社会としての「自他同一性」の確立段階に移行する
ことを謳っています。福島に支援に駆けつけた人たちは、それを学んで
いる中で「自他同一性」が自然に発揮できるようになった人だったのだ
ろうと思います。ただ、当時の私は、無私の支援を自然にできてしまう
すごい人を輩出する「シュタイナー思想、恐るべし」、という感想を
持っただけでした。

今回は『シュタイナー思想とヌーソロジー』をヒカルランドの石井健資
社長よりご献本いただいて、とても気になっていたことに加えて、ある
友人に父から「勝仁にシュタイナー思想を学ぶように伝えてほしい」と
言われる夢を見たと言われて、そのシンクロニシティにびっくりしてい
るというわけです。

そして、初めて知ったヌーソロジーという概念で、どうも次元の壁を
超えていくには時間がキーポイントになるようだということが分かった
ことは、とても大きな気づきだったと感じています。

時間も空間も実は幻想だろうという直感は以前から持っていました。
東京や大阪で通勤電車があれだけの本数、正確に秩序だって動かせて
いるのは、日本人がリニア(直線的)な時間、すなわちデジタルな時間
を扱うことを得意としているからです。しかし、それと真反対の、ゆっ
たりと流れているアナログな時間がはっきりと存在し、ここにアクセス
できれば、Kan.さんやはせくらみゆきさんのように時空の壁をあっさ
りと超えていけること、そして、このことが実は、「舩井フォーラム
2017」
でKan.さんに聞いてみようと思っていたのに聞けなかった疑問
に対する回答になっていて、我ながら本当にびっくりしています。

本当に、「求めれば与えられる」という簡単な摂理が、とても早く実現
してくるようになってきました。

先ほどの友人の夢の中で、父は「勝仁はせっかく恵まれた立場を与え
られたのだから、Doing(何をするか)ではなくBeing(どんな存在に
なるか)を追求するべきだ」とも言っていたそうです。

私なりのBeingをつくっていくために、にんげんクラブや『ザ・フナイ』
などの媒体を使わせていただきたいと思っています。ますます小難しい
理屈満載の「理屈王」になりますが、よかったらお付き合いいただけれ
ば幸いです。どうぞ、よろしくお願いいたします。



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