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アメリカはなぜトヨタを叩くのか?

                                              2010年4月13日
                                                  船井幸雄

 私の親友に経済や社会情勢予測の超プロの朝倉慶さんがいます。
 つぎは3月14日に彼から私に送ってくれた「トヨタ叩きの真相」というレポートです。
 非常に良く分ります。少し長文ですがそのまま掲載します。
 朝倉さんの発言は船井メディア私のHP、彼の著書や講演でもよく分ります。
 このレポートを機にぜひ朝倉さんの発言に注目してください。
 では以下に紹介します。

 

 
 船井幸雄様
                                              2010年.3.14
                                                朝倉 慶

   トヨタ叩きの真相
 <アメリカの日本潰しが始まった>徳間書店から最近発行された、日高義樹氏の本には、
今回のトヨタ叩きについて峻烈なアメリカ側の国家戦略の転換について、深刻な見方を
披露しています。現在少しは収まったとはいえ、トヨタに対してのアメリカ政府、
世論の攻撃は驚くべきものでした。日々トヨタの車に親しんできた一般の日本人にとっては、
本当だろうか、という疑問や懸念が頭をよぎっているものと思います。
止まらないトヨタ叩きに、もちろん大きくなりすぎたトヨタという企業の問題、
また常勝軍団の奢りがあった、と感じた人も多いと思いますが、一方で何か附に落ちない
アメリカ側の執拗なトヨタ攻撃に、その背後にある意図を感じる人も多かったことでしょう。
一体このトヨタショックは何だったのか?今後の日本にどういう影響があるのか?
トヨタ叩きの本質は何なのか?探ってみたいと思います。
 アクセルペダルの不具合ということで大問題になったわけですが、問題となっている
死亡事故は11年間で34件、1年当たりですと3.4件ということになります。
年間のアメリカの交通事故死亡者はおよそ4.5万人と言われていますから、
問題となっているトヨタの問題による事故死は死亡者の中の1万人に1人にも
満たない数です。単純に考えて、この程度の事故はよくある話であり、
他の自動車各社であっても当然起こっている問題という気がします。
フロアマットが引っ掛かるという問題もトヨタ車本体の問題でもありません。
公聴会では盛んにトヨタの電子制御システムに問題があると質問されていましたが、
トヨタ側はこの点ではきっぱり問題なしということを明言していました。
 アメリカ政府のトヨタ攻撃は留まることを知らず、運輸長官は<トヨタ車は乗るな!>
と過激発言、また大陪審は刑事事件として調査を開始、SEC(証券監視委員会)も
調査、さらにはFBIも独禁法の調査を開始しました。さらにトヨタだけでなく系列の
部品メーカー、デンソーや東海理化にまでFBIの捜査が入るというのですから
尋常ではありません。明らかに何かの意図をもってトヨタに対して強い圧力が
かかってきていると言うしかないでしょう。
 オバマ政権の一番のスポンサーは元々全米自動車労組(UAW)であって、
オバマ大統領は選挙中からかなりの献金や支援を受けてきたのです。日本円にして
4億5000万円の巨額献金もなされました。その見返りというわけではないでしょうが、
GMとクライスラーには7兆円の公的資金が供給されたのです。大株主となった
アメリカ国家は当然、GMとクライスラーの再生を目指します。当然目の上のたんこぶは
トヨタをはじめとする日本勢です。GMもクライスラーも元を正せば日本車に潰された
ようなものです。今、再生を目指すGM、クライスラーは徹底的にトヨタや日本車の
シェアを奪うことで再生するしかありません。不況で失業者の溢れるアメリカには
かつてのような膨大な自動車の需要は起きてこないのです。となればどこかのシェアを
奪って自分たちが浮かび上がるしかないのです。倒産直後のGMもクライスラーも
当然のことながら研究開発に多額の資金を投入するわけにはいかないのです。
しかし、アメリカの国家そのものの産業と言える自動車産業はなんとしても
立ち直さなければなりません。国家として当然の命題です。それも時間はあまりないのです。
 通常、アメリカ再生ファンドの場合、満期は5年、いうなれば5年以内に
企業を再生して再上場のメドを立てる必要があるのです、そうしなければ資金は
回収できません。昨年倒産したGM、クライスラーはすでに1年経過していますので、
もうこの辺で顕著な変化を見せて、再生の道筋をはっきりと示す必要があるのです。
その為にはライバルを叩き落さなければなりません。そしてトヨタ叩きの効果は
確実に出てきているのです。2月の全米の自動車販売の実績をみると、減ったのは
トヨタだけで、トヨタは9%減、GMは12.7%増、クライスラーは0.5%増、そして何と
フォードは43%も急増していますから明らかに効果が出てきているのです。
フォードの株価はリーマンショック時には1ドルそこそこだったのに今や12ドルを
超えました。何と1年ちょっとで12倍です。
 1/27、オバマ大統領は一般教書演説で<5年間で輸出を倍増>というスローガンを
ぶち上げたのです。そしてアメリカ政府は着々と手を打ってきていると考えていいでしょう。
一見すると明るい未来を目指す新たな国家戦略のように思いますが、実はやむにやまれず
出てきた追いつめられたスローガンがこの5年間での輸出倍増計画なのです。
 振り返ってみれば、オバマ大統領はこれまでのアメリカの大統領が建国以来280年
作り上げてきた財政赤字の総額よりも大きな赤字をアメリカ経済にもたらしたのです。
2010年度は1.55兆ドル、2011年度は1.26兆ドル、ついに9年間連続でアメリカの
財政赤字は1兆ドルを超える事態となりました。いよいよ借金も限界なのです。
財政出動ができないということはもう、内需には頼れないということです。経済を
回復させるには、内需がだめなら輸出に頼るしかありません。ですからこの輸出倍増計画は
アメリカ経済の生き残りをかけた本当の意味の国家戦略なのです。そして
なりふり構わないアメリカはついに軍事技術輸出の規制緩和に乗り出してきているのです。
まずは手っ取り早く軍事輸出で稼ぐというわけです。3/11オバマ大統領は
米輸出入銀行の年次総会に出席して<数百万の米国民が失業している時に、
輸出促進は短期的に欠かせないだけでなく、米国の長期的な繁栄の鍵を握る>
と発言、まさに輸出立国を謳い上げたのです。そしてその一大政策の中心は当然、
自動車、アメリカの基幹産業の復活を目指すのです。この巨大な国家の意思に沿う
ためには手段を選びません。遮るものは取り払うのみ、トヨタ叩き、日本メーカー叩きは
重要な国家の基本方針なのです。
 <フランクリン・ルーズベルトのようになりたい>、アメリカでもっとも尊敬される
歴代の大統領の一人はフランクリン・ルーズベルトです。そしてオバマ大統領は
ルーズベルトを手本にしているのです。折しもルーズベルトは大統領に就任した1932年は
大不況の真っ只中でした。金融危機を克服し、ニューディール政策で雇用を作り、
アメリカ経済を復活させたのです。まさに同じような大不況に大統領に就任した
オバマ大統領はルーズベルトと同じような成功を目論んで、歴史に残る大統領に
なりたいと思っているに違いありません。
 ところがこれが日本にとっては厄介なことなのです。一般的には確かにルーズベルトは
アメリカの経済を再生した英雄です。しかし報道されていることと違うことは、
実はルーズベルトはニューディール政策で経済復興に成功したわけではありません。
1941年、アメリカが日本と戦争を始めた時の失業率は26%、これは大恐慌当時の
25%を上回っていたのです。ルーズベルトはその大統領在任中、経済復興どころか
経済の立て直しに失敗して国内に失業者が溢れていたというのが現実だったのです。
当時これは世界中すべてが同じような状態だったのです。ドイツではナチスが政権を握りました。
 元IMFのチーフエコノミスト、ケネス・ロゴスはその著書<今回は違う>の中で、
かつてのあらゆる金融危機の後、結局は世界どの国も経済を立て直すことはできず、
デフォルト(債務不履行)に陥っていった、それがまぎれもない世界の歴史であって
今回も同じことが起きるのだ、と強く主張しています。まさに歴史に残っている
世界恐慌では、あらゆる国が破綻状態に陥っていったのです。ニューディール政策が
成功したなどという見方は、非常に短期的な浅い見方であって、やはり本当の意味では
ケインズ政策で経済の回復には至らなかったのが真相です。では如何にアメリカは
復活したのか?明らかに戦争です。アメリカは第二次世界大戦によって
その卓越した力を見せ、経済も戦争という最大のインフレ政策によって復活を遂げたのです。
 そしてその戦争を巧みに仕掛けた張本人こそ、アメリカの英雄ルーズベルトなのです。
今では公文書で明らかになってきましたが、ルーズベルトは真珠湾攻撃の情報を
知りながらそれを黙殺し、まんまと日本に真珠湾を攻撃させ、アメリカを戦争に
参入させたのです。実は日本は見事にアメリカの罠に引っ掛かってしまったのです。
ルーズベルトこそは史上最大の策士、そして結果的にアメリカを復活させた英雄
なのです。しかし、日本にとってはあの悲惨な戦争に追い込んだ張本人なのです。
これは私の意見というより、今では歴史的な事実です。当時の日本はABCD包囲網の中で
石油や鉄鉱石といったあらゆる資源の供給を止められたのです。すべては日本を追い込み、
戦争を仕掛けさせるようにもっていったルーズベルトの戦略でよるものでした。
綺麗に罠にかかった日本人こそ知恵が足りなかったというかもしれませんが、
あの状況で一体誰が何をできたでしょうか?
 大東亜共栄圏、アジア各国を植民地支配から解放して共同体を作る、
という理想の元、日本は大陸に進出していきました。もちろん美辞麗句とは違って
アジアないしは大陸を支配するという当時の軍部の野望があったことでしょう。
70年経った今何処か似たような情勢が訪れています。現在日本は低成長で
経済的活路をアジアに求めています。鳩山内閣でも<東アジア共同体構想>が
検討されています。小沢幹事長は議員140人も連れて中国詣でをしたのです。
まさに時代はアジア、中国という風に日本国は舵を切ったかのようです。
 日高氏はルーズベルトを慕うオバマ大統領はかつてのルーズベルトのように
日本を敵視し、今ルーズベルトと同じように日本に牙を剥けてきたと述べています。
トヨタ叩きを皮切りに始まる日本企業潰しは中国という巨大な市場を巡る
日本とアメリカとの経済戦争のはじまりであり、アメリカは政治力を使って
日本企業を叩き潰そうとしていると言っているのです。輸出振興に舵を切った
アメリカという国家は当然日本と利害が対立し、特に中国市場の奪い合いが始まる
と言っています。そしてその構図は70年前の戦争に突入していった時とそっくりだというのです。
 今年に入ってからオバマ政権はソフトゲームを捨て、急激にタカ派的になってきました。
中国に対しては台湾への武器供与、ダライ・ラマとオバマ大統領の会談、
そしてグーグルの撤退、矢継ぎ早に強硬策を打ち出してきています。そして
日本に対しては強烈なトヨタ叩きです。これらのアメリカ、オバマ政権の変化は
見過ごしてはならないでしょう。何度かこのレポートでも著作でも指摘してきましたが、
アメリカはいよいよ来るべき対立の時代(経済が袋小路に陥って各国の対立が始まる)
に備えて準備を始め、その方針に沿って国が動き出したと考えるべきです。
もちろん地政学的な重要な位置にある日本の重要性は意識しているとは思いますが、
もはや今までのような自由にアメリカ市場で日本企業を稼がせるという流れは止まる、
と冷静に判断した方がいいかもしれません。いよいよ国家のエゴがむき出しになる
激しい時代の幕開けが始まるわけで、日本人も日本企業もそれ相応の覚悟が
必要でしょう。トヨタの事件を<純粋なトヨタ側の落ち度>と報道されているように
素直に見ていては大局を見誤ることでしょう。(転載ここまで)


 このレポートをここへ載せたのは、いまのアメリカの立場、オバマの立場などが実によく分るし、
誰にも理解しやすいからです。
 これが1カ月前に発信されたレポートということを知った上でお読みください。
 では今後どうなるのか?
 その答えは3月13日に東商ホールで私が話しています。
 その時のDVDを入手するか【問合せ先: 船井ビジョンクリエイツ 03-5769-3282】少なくとも私のホームページ
読んでください。いまは変化の激しい毎日ですが、少なくとも大事なことにつきましては
1〜2ヶ月では変らないことを知ってほしいし、あえて掲載しました。
                                          よろしく



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