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デファクトスタンダードにみるアメリカの強さ

 こんにちは船井勝仁です。

 経済的な側面からみると最近はアメリカの悪口ばかり言っているように思います。
アメリカの強欲金融資本主義のおかげで、
ものすごく悲惨な近未来が予想されるのだから悪口ばかり言われるのも当然と言えるかもしれません。

 でも、アメリカのいい面は全くないのでしょうか?「ウォール街はめちゃくちゃになってしまったが、
アメリカにはまだシリコンバレーがある。」という話を聞きました。
アメリカの金融業と情報通信業(IT産業)は世界的にみても圧倒的な力を持っていました。
金融業はおかしくなってしまいましたが、IT産業の方はやっぱりまだまだ圧倒的な力を持っています。

 アメリカのIT産業の強さはその基本的な考え方にあります。
経済学の基本的な考え方に「収穫逓減(ていげん)の法則」があります。
競合がほとんどない市場に新規出店する時100のリターンがあったとすると、
この市場に2店目を出店しても70のリターンしかなく、
どんどん出店を続けていくと最後にはリターンがゼロ以下になってしまうという考え方です。

 ところがIT産業に代表される知識集約産業の場合、
逆に「収穫逓増(ていぞう)の法則」が働くとされています。
グローバルに相互依存的なネットワークが構築されているので、
マーケットは投入した経営資源に対して指数関数的に大きくなり、
そこに売れたものがますます売れると言うデファクトスタンダード(事実上の標準)ができて、
勝者一人勝ちの状態が発生するという考え方です。

 指数関数的に市場が大きくなることの代表例が、
簡単に言うと半導体の能力は18カ月ごとに倍になるという
インテルの共同創業者であるゴードン・ムーアが提唱した
「ムーアの法則」に代表される考え方です。
この激烈な競争を勝ち抜いているのがインテルで日本の半導体メーカーは
どうしてもインテルとの差を埋めることができずに
いつまでたっても利益が出ない状態に追い込まれているというわけです。
でも、そのおかげでコンピュータの性能が毎年飛躍的に発展しているにも関わらず、
値段がどんどん安くなるという恩恵に我々はあずかっているわけです。

 デファクトスタンダードの方の代表的企業がマイクロソフトです。
PCがグローバルに相互依存的なネットワークが構築される前、
つまりマイクロソフトが圧倒的な力を持つ前は
日本のワープロソフトはジャストシステムの一太郎が圧倒的なシェアを持っていました。
でも、いつの間にか世界的なOS(オペレーティングシステム)となった
Windowsを持つマイクロソフトのワードが日本市場においてもデファクトスタンダードになってしまい、
一太郎は市場からほとんど消えてしまいました。
マイクロソフトの戦略は何が何でもデファクトを確立して競合相手を市場から葬り去ってしまい、
自社一人勝ちの状態を作る戦略なのです。

 この収穫逓増の法則は
「複雑系の経済学」の第一人者であるブライアン・アーサーによって提唱されました。
この考え方を中心にマーケットが永久に拡大するニューエコノミーの時代が来たと言われ、
2000年前後のITバブルとその崩壊の大きな原因になりました。  
ITバブルの崩壊でニューエコノミーは死んだとも言われましたが、
どっこいインテルやマイクロソフトはやはりグローバルな覇権を相変わらず握り続けていますし、
インターネット中心に進化したIT業界を圧倒的なパワーで先導しているのも相変わらず
シリコンバレーを中心とするアメリカであることは誰も否定できない事実です。



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