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舩井勝仁のウィークリーレポート 2019年

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世界は存在しない


 1980年生まれの若きドイツの哲学者マルクス・ガブリエル博士の
なぜ世界は存在しないのか 」(講談社選書メチエ)を読みました。
本当はお正月の時間のある時に読もうと思っていたのですが、私には
ちょっと読み応えがあり過ぎ、なかなか読むペースが上がらずに3連休
を使ってようやく読み終えました。最新の哲学の世界は難しく、また
欧米の人にとっては当たり前の教養が私たち日本人には分かりにくい
ところがあり、かなり苦労しましたが、知的刺激をたっぷりいただける
楽しい本でした。


 ガブリエル教授の哲学は「新実在論」と呼ばれています。個々のもの
は存在しますが、すべてのものの共通のプラットフォームとなる、すべ
てを包含する世界は存在しない。そんな主張を物理的、哲学的な思考は
もちろん宗教や芸術等のまったく違う角度からも考察していて、知的刺
激を味わいたい人にはうってつけの内容になっています。お正月にNHK
で番組をやっていたようなので、ご覧になった皆様も多いのではないで
しょうか。

 学生時代に結局買っただけで読みはしませんでしたが、浅田彰先生の
構造と力―記号論を超えて」(勁草書房)が流行っていました。若い
頃はあまり勉強しませんでしたが、最近になって原稿を書く機会が格段
に多くなってきた頃から、気がついたら勉強量が増え、昔は全然理解で
きなかったことが、少しは感じられるようになってきたように思います。


 人工知能(AI)の時代を迎え、人間はもう一度哲学に戻らなければい
けないというか、逆説的に見ると戻る余裕が出てきたのかもしれません。
いままでだったらスピリチュアルな話題は、エンターテインメントとして
あまり深く考えずに楽しんでいればよかったのですが、どうも、物理的な
こと実用的なことはだんだんスマホやコンピュータ、それにAI等が代替し
てやってくれるようになり、人間ができること、人間がやらなければなら
ないことは哲学的な考察に収斂していくような気がしています。

 そして、そうなるといい加減な主張で留まるのではなく、ちょっと深
掘りしながら哲学の領域にも我々の興味は広がっていき、そこにガブリ
エル教授のように分かりやすく斬新な視点で話題を提供してくれる人が
現れてくるようです。物理学の世界も10年ぐらい前にリサ・ランドール
博士という物理の世界に数式を使わずに分かりやすく導いてくれる専門
家が現れ、私でも結構楽しく物理の世界を身近に感じられるようになっ
てきたことを思い出しています。

 ランドール博士の「ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く」(NHK
出版)は日本では2007年に出版されていますが、やはりNHKで特集番組
が放映され、それがきっかけで一種の物理学ブームが起きました。それに
よって、5次元等の高次元の存在に対して注目がされるようになり、実は
過去の「舩井フォーラム」のテーマなどもこの流れに沿って決めさせて
いただき、直観力(超能力)に優れた出演者の先生方とも特に深い話を
したわけではないのに、フォーラム全体のつながりやバランスが最高に
取れていたことを懐かしく思い出します。時代の流行によって、スピリ
チュアルの業界も影響を受けているのです。

 そして、いま大事な流れがこの「なぜ世界は存在しないのか」等に
よって作られているのを感じます。少し地味な番組になりますが、NHK
のEテレで木曜日の22時から放映されている「人間ってなんだ? 超AI
入門」
という番組を見ていると、いまの社会の流れが感じられます。
私はどちらかというと映像を見るよりも本を読む方が時代の流れをつか
みやすいのですが、多くの人はビジュアルな刺激を存分に得られるテレビ
番組の影響を強く受けられているのだと思います。そういった意味では
ぜひご覧いただければこれからの社会の方向性が感じられるようになる
番組だと思います。

 繰り返しになりますが、このAI化を進めていくために、時代はいま
哲学を必要としているようです。私が社会人として仕事を始めた頃に比
べると、脳力がかなり劣化した分野が確実にあります。電話番号を覚え
なくなりましたし、地図が読めなくなりました。そして、このように
モノを書くことを仕事にしているにも関わらず、漢字が書けなくなって
います。父は手書きのはがきや手紙を書くことを推奨していたので、
晩年になって報告を送るときは、手書きでFAXを送ることにしていまし
たが、ワープロで下書きを書いてからそれを自筆で書き直すことを真面目
にしていました。

 仕事を始めたころの大事な仕事は先輩の書いた手書きの原稿をワープロ
で打つことだったので、順番がまったく逆になりましたが、この原稿を
手書きで原稿用紙に書けと言われたら困ってしまうのは確実です。そんな
私でも20歳代でまだワープロの機能が充実していなかった頃は、原稿用紙
に向かって原稿を書いていたこともあるし、それでいてまったく苦痛は
感じなかったのだから人間の習慣とは恐ろしいものがあります。

 こう考えると、人間の能力はAI化が進むとドンドン劣化していくのは
確実なのです。人間ができることは哲学を考えるぐらいになってしまう
世の中が近々やってくるのかもしれません。

景気の変わり目


 今年はカレンダーの関係(4日の金曜日に1日だけ出社してもらっても
船井本社の場合、あんまり意味がない)で7日が仕事始めでした。おか
げでお正月休みが9日間もあり、お正月ボケが何時になったら抜けるか
と心配しています。東京は空気の乾燥で火事の心配をしなければいけな
いほどいい天気が続いていることもあり、個人的には穏やかなお正月で
した。

 大みそかは紅白ではなくて、ベートーベンの交響曲を聴きに行きまし
た。毎年やっているようですが、午後1時に第1番からスタートして、
休みを4回はさみながら深夜12時の少し前に第九が終わるというベー
トーベンの交響曲を半日で全曲演奏するというコンサートでした。私は
好奇心が勝って全曲聴いてしまったのですが、有名な3番(英雄)、5番
(運命)6番(田園)から聴き始める人もいるし、中には最後の第9だけ
聴きにくるという常連さんもいるようです。

 このコンサートを企画プロデュースされたのは、作曲家で音楽プロ
デューサーの三枝成彰先生。第4番の演奏の終わりに日本(東洋)と
西洋の文化の違いについて15分ぐらいのショートスピーチをされまし
た。そこで、お話をいただいたのは、日本は米文化であり西洋は麦文化
であるということです。お米は水田で作れるので、毎年同じ田んぼにお
米を植えても問題なく収穫ができます。しかし、麦は畑で作らなければ
いけないので連作障害が起こり、定期的に圃場を変えるかエネルギーの
収奪以上の肥料を加えるか等の工夫が必要になります。

 だから、日本の文化は基本的に変化を嫌がり、同じことを繰り返すこ
とをよしとします。大きな変化はめったになく、近代になってからは幕
末のペリーと終戦後のマッカーサーという、いずれも外圧によって変え
られたぐらいの経験しかありません。それに対して西洋文化は変化しな
ければ、麦が採れなくなるので変化を絶対に大事にします。西洋の哲学
者(多分、ヘーゲルとおっしゃったと思います)は、変化がない文化に
は価値がないと言っているという例をあげて説明してくれました。

 そして、この変化がなければ価値がないという思想が生まれたのが、
ちょうどベートーベンが活躍していた19世紀初頭だというのです。モー
ツアルトとベートーベンはたった15歳しか違いませんが、モーツアルト
が活躍した18世紀後半はフランス革命の衝撃はありますが、ここまで変
化に対して価値を見いだす文化は定着していませんでした。その証拠に
モーツアルトの交響曲は41曲(ちゃんと数えるともっとあるようです)
もあるのですが、ほとんど違いが分かりません。

 三枝先生の知り合いの日本を代表するピアニストにモーツアルトの交
響曲をピアノ曲に編曲したものを全曲演奏してもらうことを頼むと、ど
こを弾いているのか分からなくなるからやりたくないと断られてしまっ
たというエピソードを話されていました。それに対して、ベートーベン
の交響曲は全曲まったく違うのです。ベートーベンの場合、最初の方の
1番や2番と、最も名曲と言われる7番やおなじみの第9とが同じ人が作曲
したとはとても思えないぐらいの違いがあるという話をおもしろくして
くださいました。

 東京に暮らしているからだというお叱りを受けそうですが、景気が良
くなってきたことを実感として日々感じています。バブルのようなこと
は二度と起こらないと思いますが、それでもリーマンショックの影響で
後ろ向きのことしか考えられなかった頃に比べて、本当に景気のいい話
をたくさん聞くようになりました。豊洲の初セリでマグロの初値が3億
3600万円で1キロ当たり120万円にもなりました。これは特殊なご祝儀
相場ですが、景気の良さを象徴している一つの表れだと思います。

 どうも、今年はペリーやマッカーサーがもたらしてくれた以来の大き
な変化が日本に起こりそうな気がします。トランプ大統領によってもた
らされるものかどうかはよく分かりませんが、いままでと同じことをし
ていたら時代に取り残されるという感覚を久しぶりに思い出さなければ
いけないのではないかと思います。バブル崩壊後の約30年、日本だけが
成長から取り残されていましたが、どうも、もう一度日本も上昇気流に
乗るタイミングがやってきたようです。

 ただ、それでスタート地点に立つ用意ができれば、その後は世界が
日本(東洋)化してくるのかもしれないというようなことを三枝先生は
つぶやいていたように、私には聞こえました。縄文時代ではありません
が、成長よりも平和に価値を置いてあまり変わらないという日本の文化
に世界が追い付いてくるのかもしれないという予感を私は持っています。
ただその前に、この30年で弱くなってしまった日本の力を一旦取り戻し
ておく必要はあると思うのです。

 今年は経済や相場の大混乱から天変地異まで多くの紆余曲折があるよ
うな気がします。ただ、大きなトレンド、父の言い方だとマクロに見れ
ば日本は世界の中でも格別に存在感を高めていく年になるのではと予想
します。ぜひ、にんげんクラブの皆さまには前向きの心持ちをもってい
ただいて、このトレンドを一緒に作っていただければと思います。


アベノミクスが変えた日本経済

 あけましておめでとうございます。
昨年は振り返ってみると激動の1年でいろいろなことがありました。
今年は今上陛下が退位されて皇太子殿下が新しい天皇に即位されることが
決まっているという、めったにないことが体験できるのが間違いない年に
なります。舩井幸雄は、組織はリーダーによって99.9%決まるといつも
言っていました。日本のリーダーは総理大臣ではなくやっぱり天皇陛下な
のだと思います。

振り返ってみると、昭和天皇はかなり政治家だったのではないでしょうか。
例えば、2014年に出版された豊下楢彦著「昭和天皇・マッカーサー会見
(岩波現代文庫)には、日米安保条約の成立に対して昭和天皇が吉田茂
総理を飛び越えた外交をマッカーサーや日米安保の生みの親と言われてい
るジョン・フォスター・ダレス国務長官顧問(後にアイゼンハワー政権で
国務長官に就任)との会談をしていたことが状況証拠をあげて書かれてい
ます。


日本の共産化を防ぐために昭和天皇が完全な不平等条約であった初期の
日米安保をアメリカ側がさすがに、そこまでは無理だろうと思っていた
全土基地化(アメリカ軍はいつでも好きなところを基地にできる権利)
を含めて昭和天皇が主導的に進めていたらしいことが明らかにされてい
るのです。


 
(引用開始)

(旧)安保条約は、日米の力関係から、どのみち不平等な条約になるべ
く運命づけられていたというのではなく、実は安保条約を対等で相互的
なものにする「論理」があったけれども、吉田の稚拙な技巧のせいで、
そのロジックを貫徹できなかったと主張し、さらに、吉田外交が稚拙に
なったのは、天皇裕仁の「二重外交」があったからではないかと推測し
ているところである。

(引用終了)


 戦後の日本の政治体制を作ったのは、世間で言われているように吉田
茂元総理がつくりあげたのではなく、昭和天皇がアメリカと交渉して、
何があっても日本が共産化しないように、作りあげたのだというのです。
それに対して今上陛下は昭和天皇が日本の安全を何があっても守るために
犠牲にしてしまった沖縄や太平洋戦争の激戦地への慰霊の旅を意図的に
続けられてきたのではないかというのです。
再び、「昭和天皇・マッカーサー会見」から引用します。


 
(引用開始)

 自ら「憲法の子」と任ずると言われるように、「日本国憲法の遵守」
を明確に掲げたところがきわめて印象的であるが、その前提として、
明仁天皇の言動には、悲惨な戦争の過去への痛切な反省の気持ちを見る
ことができる。かって、八月六日(広島原爆忌)、八月九日(長崎原爆
忌)、八月十五日(終戦の日)に加えて、「沖縄慰霊の日」である六月
二十三日をも「忘れることのできない日付」と述べたことがあったが、
現に天皇一家は毎年六月二十三日に祈りを捧げていると言われている。
明仁天皇にとって沖縄は、父親の戦争責任とのかかわりにおいて、文字
通り、"贖罪の島"と看做されているのであろう。翻って、およそ本土に
おいて、どれだけの政治家が「沖縄慰霊の日」に同様の祈りを捧げてい
るであろうか。

(引用終了)


 岩波文庫で出版されているのでかなりリベラルな考えを持っている
著者が書かれたものであることはうかがえますが、それでも昭和天皇、
今上天皇のあり方をかなり客観的にとらえていると思います。5月に
即位される新天皇がリーダーとして何を目指されていくのであろうかと
いうことが大変気になるところです。

 いい悪いは別にして、昭和天皇が象徴天皇の枠を超えてまで作りあげた
安保条約もいまや共産主義化の脅威が考えられない世の中になったいま、
見直しが迫られていくのは間違いのない事実なのだと思います。それが、
憲法改正にまで向かうのかは私には判断できない重要事項ですが、世の
中が大きく動くきっかけになるような気は強くしています。

 就任7年目を迎えた安倍政権ですが、お正月なのでその実績を高く評価
しているリフレ派の経済学者である野口旭専修大学教授が書かれた
アベノミクスが変えた日本経済」(ちくま新書)を最後に紹介させてい
ただきたいと思います。東京で暮らしているからかもしれませんが、仕事
をしていると日本経済が格段によくなってきたことを肌で感じています。


 故・竹田和平さんから託された、日本を元気にして豊かな国に再びする
という前提条件ぐらいはアベノミクスによって達成されてきたように思い
ます。年末のレポートで書いたように、唯一の失政が消費税を上げたこと
だというのがリフレ派の経済学者の主張です。今年の10月に予定されてい
る消費税の引き上げが好調な景気に影を落とさないようにするための叡智
が必要とされているように思います。


 最後になりましたが、本年も
にんげんクラブをどうぞよろしくお願い申し上げます。


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