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オランウータンに、いつまでも熱帯の森を。

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外出自粛で考えること

桜の花も満開でいよいよ春本番ですが、世界はコロナウィルスで
大変なことになってしまっています。ヒトにとって怖いものはない
とばかりに、地球上を凌駕しているような人類ですがこうなって
みると改めてヒトの力の限界を感じます。


コロナウィルス対策としては、各国の大都市が封鎖するしかない状態
になっていますが、このことは現在のグローバル化の動きの中で、
とても皮肉なことです。いま私たちができることは「出歩かないこと」。
方策として「外出自粛」とはなんとも基本的。ついこの間までは、
どこもかしこも「観光、観光」で大騒ぎをしていたのに、
一気にそのツケがまわってきた感じです。


ヒトは原始の時代から、遠くへ、未知の世界へと出ていくことで
未来を切り開いてきた種といえます。今や地球上でヒトがいない
場所はなく、果ては月まで行こうという有様。東京はもちろん、
観光客も世界中に散らばっています。そんな時代だからこそ、
ここまで短期間に世界中にウィルスが広がってしまったのでしょう。


さて、その「観光、観光」騒ぎやウィルスのことですが、
実はオランウータンとも深い関係がある話なので、
今日はこのことを書きたいと思います。


ヒトにとって、未知のものを見たいという欲求はとても
強いものらしく、希少動物を現地まで見に行こうという人が
たくさんいます。こうした人たちを相手にした「エコツーリズム」は、
なんだか良いもののように受けとめられるのでしょうか、
あちらこちらで自然を相手にした旅行がブームとなっています。


旅行をすることで、自然や環境のことを知り、同時にそれが地域の
経済を支え、人を育てて保全のために役立っていく。
確かに言葉の上ではとても理想的で、こうしたことが実際に良い効果を
発揮している例もあるとは思います。
しかし、現実はそう簡単ではない、見えない問題をたくさん抱えている
場合も多いのです。


オランウータンはヒトに最も近い生き物、類人猿ですが、
この類人猿を見ようというツアーは大変人気があります。
とくにアフリカのゴリラやチンパンジーを見に行くというツアーは、
アフリカの大自然の観光ということで世界中からのニーズが
あるのでしょう。ルワンダのゴリラツーリズムなどは国をあげての
一大事業として発展しているそうです。


こうした成功例に続けと、様々なところで「エコツーリズム」の話が
でるわけですが、とくにこの「ヒトに最も近い生き物」に
人が近づくということは、実は大きな危険性があるのです。
ヒトに近いということはインフルエンザや肺炎といったヒトの病気も
容易に伝染するということです。未知の病原菌の伝播という意味では
その反対もありえます。当然こうした指摘に対しては、様々なルールや、
制限を設けて対処していると説明はするでしょう。
でもどうでしょう?

こうした説明がほとんど説明でしかないことを私たち現場は
よく知っています。そして非常に心配しているのです。
ヒトが野生に近づくことは保護の上では決して良いことではないのです。
マスクをすればうつらないのでしょうか?実際にチンパンジーなどが
感染症で死亡した例もあるのですが、そうしたことの因果関係を追求し、
問題化するのは非常に大変なことで、相変わらず観光は盛況です。


私たちのオランウータンの研究地は赤道直下、インドネシアの
熱帯雨林にあります。研究をはじめた当初は、道もなく、
川をボートでさかのぼること何時間という場所でした。
しかし、こうした場所も時代とともに、「新首都」になろうとしている現代。
オランウータンを見てみようかという人の動きを止めることは
非常に難しいことです。


自然や野生動物との垣根がなくなり、「観光、観光」のノリで、
望めば手軽に気楽に世界中をヒトが歩きまわれる時代。
でも、ちょっと待ってください。オランウータンは熱帯雨林の中で
ひっそりと暮らしてきた生き物です。彼らには彼らの暮らしがあり、
ヒトはむやみに近づくべきではないのです。彼らをずっと研究してきた
私たちが言うのでは矛盾するように感じるかもしれませんが、
私はほかの生き物に対してもこのように考えています。
ヒトは遠くからそっと見ているだけ、と思っているかもしれません。
でも実はそれが・・・ということもありえるのです。


ヒトはすべてを知っているわけではない。
未知のウィルスと闘っている今、改めてそう思います。
「外出自粛」でわかるように、ヒトが動くということはすごいことなのです。
歴史上も数々の病と闘ってきたヒトですから、これからもなんとか
困難を克服していくと信じています。しかし、やはりこれを機会に
物事の一面だけではなく、例えば「観光」ひとつとっても
グローバル化の今こそ、さまざまな面から深慮していく必要があると思います。
どうか事態が改善していきますように。


                     (次回へつづく)


オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com

外出自粛で考えること

桜の花も満開でいよいよ春本番ですが、世界はコロナウィルスで
大変なことになってしまっています。ヒトにとって怖いものはない
とばかりに、地球上を凌駕しているような人類ですがこうなって
みると改めてヒトの力の限界を感じます。


コロナウィルス対策としては、各国の大都市が封鎖するしかない状態
になっていますが、このことは現在のグローバル化の動きの中で、
とても皮肉なことです。いま私たちができることは「出歩かないこと」。
方策として「外出自粛」とはなんとも基本的。ついこの間までは、
どこもかしこも「観光、観光」で大騒ぎをしていたのに、
一気にそのツケがまわってきた感じです。


ヒトは原始の時代から、遠くへ、未知の世界へと出ていくことで
未来を切り開いてきた種といえます。今や地球上でヒトがいない
場所はなく、果ては月まで行こうという有様。東京はもちろん、
観光客も世界中に散らばっています。そんな時代だからこそ、
ここまで短期間に世界中にウィルスが広がってしまったのでしょう。


さて、その「観光、観光」騒ぎやウィルスのことですが、
実はオランウータンとも深い関係がある話なので、
今日はこのことを書きたいと思います。


ヒトにとって、未知のものを見たいという欲求はとても強いものらしく、
希少動物を現地まで見に行こうという人がたくさんいます。
こうした人たちを相手にした「エコツーリズム」は、
なんだか良いもののように受けとめられるのでしょうか、
あちらこちらで自然を相手にした旅行がブームとなっています。


旅行をすることで、自然や環境のことを知り、同時にそれが地域の
経済を支え、人を育てて保全のために役立っていく。
確かに言葉の上ではとても理想的で、こうしたことが実際に良い効果を
発揮している例もあるとは思います。
しかし、現実はそう簡単ではない、見えない問題をたくさん抱えている
場合も多いのです。


オランウータンはヒトに最も近い生き物、類人猿ですが、
この類人猿を見ようというツアーは大変人気があります。
とくにアフリカのゴリラやチンパンジーを見に行くというツアーは、
アフリカの大自然の観光ということで世界中からのニーズが
あるのでしょう。ルワンダのゴリラツーリズムなどは国をあげての
一大事業として発展しているそうです。


こうした成功例に続けと、様々なところで「エコツーリズム」の話が
でるわけですが、とくにこの「ヒトに最も近い生き物」に
人が近づくということは、実は大きな危険性があるのです。
ヒトに近いということはインフルエンザや肺炎といったヒトの病気も
容易に伝染するということです。未知の病原菌の伝播という意味では
その反対もありえます。当然こうした指摘に対しては、様々なルールや、
制限を設けて対処していると説明はするでしょう。
でもどうでしょう?

こうした説明がほとんど説明でしかないことを私たち現場は
よく知っています。そして非常に心配しているのです。
ヒトが野生に近づくことは保護の上では決して良いことではないのです。
マスクをすればうつらないのでしょうか?実際にチンパンジーなどが
感染症で死亡した例もあるのですが、そうしたことの因果関係を追求し、
問題化するのは非常に大変なことで、相変わらず観光は盛況です。


私たちのオランウータンの研究地は赤道直下、インドネシアの
熱帯雨林にあります。研究をはじめた当初は、道もなく、
川をボートでさかのぼること何時間という場所でした。
しかし、こうした場所も時代とともに、「新首都」になろうとしている現代。
オランウータンを見てみようかという人の動きを止めることは
非常に難しいことです。


自然や野生動物との垣根がなくなり、「観光、観光」のノリで、
望めば手軽に気楽に世界中をヒトが歩きまわれる時代。
でも、ちょっと待ってください。オランウータンは熱帯雨林の中で
ひっそりと暮らしてきた生き物です。彼らには彼らの暮らしがあり、
ヒトはむやみに近づくべきではないのです。彼らをずっと研究してきた
私たちが言うのでは矛盾するように感じるかもしれませんが、
私はほかの生き物に対してもこのように考えています。
ヒトは遠くからそっと見ているだけ、と思っているかもしれません。
でも実はそれが・・・ということもありえるのです。


ヒトはすべてを知っているわけではない。
未知のウィルスと闘っている今、改めてそう思います。
「外出自粛」でわかるように、ヒトが動くということはすごいことなのです。
歴史上も数々の病と闘ってきたヒトですから、これからもなんとか
困難を克服していくと信じています。しかし、やはりこれを機会に
物事の一面だけではなく、例えば「観光」ひとつとっても
グローバル化の今こそ、さまざまな面から深慮していく必要があると思います。
どうか事態が改善していきますように。


                     (次回へつづく)


オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com

ちょっと待って!エコな話はいい話?

インドネシアの新首都がkaltimに決定というニュースが昨年夏、
飛び込んできました。このニュースは日本でもその後いろいろ
報道されているようなので、ご存じの方もいらっしゃることで
しょう。日本のマスコミの関心も一気に跳ね上がり、どうして
日本人はそんなことに関心があるの?と逆にインドネシア人から
不思議がられています。

人口が集中する首都ジャカルタからどこかほかの場所へ首都を
移すという話は、インドネシアの人にとっては、大統領が変わる
たびにこれまでも何度も出てきた話で、正直なところ現実を
帯びた話として取り合う人はほとんどいない状態。
「ジョコ(大統領)は、いままで何もできなかったので、
最後にこれまでだれもやれなかったこと(首都移転)をやろうと
いっているにすぎない」とけっこうジャカルタ人は辛口です。

ちなみにkaltimなんて場所、発表当時はインドネシアでも
どこかわかるひとはほとんどいませんでした。
そもそもカルティムというのは、
カリマンタン・ティムール(東カリマンタン)という意味で、
固有の場所を指す地名ではないのです。

新首都予定地は石油の町バリックパパンから州都サマリンダへ
行く一本道の途中、何もない森の中です。予定地の北側、赤道を
はさんで数百キロのところが私たちのオランウータン調査地です。
バリックパパンからは尾根沿いに道がつけられているのですが、
アップダウンが激しく、左右に蛇行するうえに舗装状態も
見通しも悪い道でしたが、これが唯一のサマリンダへの
幹線道路でした。私たちが調査に入るときにもいつもここを
車で通ります。

しかし、この道路は首都誘致合戦の結果、新規格の大規模な
高速道路建設が行われ付近は今や昔の面影は全くありません。
空から見ると熱帯雨林はどこもかしこもすでに道だらけで、
いったいどこに熱帯雨林などというものがあるのだろうという
状態です。


一方で、新首都建設に関しては「環境にやさしい」「自然と調和した」
「エコな」都市の建設がうたわれています。
でもこうしたキャッチコピーは、まさにキャッチコピーでしか
ありません。実際の現場で、こうした美辞麗句がどこまで
「真」のものとなっているのか。
世界が「エコ、エコ」という割に、熱帯の森の減少はますます
加速しているように思います。


昨今のコロナウィルス騒ぎでも注目されている東京オリンピック。
こちらも何かと「環境」をうたっています。新国立競技場は
「自然にやさしい」、「木と緑のスタジアム」だそうで、国産材を
豊富に使い、自然の光や風を取り入れたエコな云々の宣伝で溢れて
います。こうした宣伝を、「なんだかとてもいい話」と感じた方、
どうぞうわべに騙されないでください。

日本の林業の再生をうたった国産材の使用は目に見える屋根や
ひさし部分だけで、肝心の基礎工事に使われる型枠用合板
(コンクリートパネル=コンパネ)には熱帯材が大量に使い捨てに
されています。そしてこうした熱帯材の合板の供給のために、
マレーシアやインドネシアの森からは今日も合法、違法に木材を
調達しようとするビジネスの動きが絶えないのです。

日本は世界最大の熱帯材合板の輸入国だそうです。
今回のオリンピックは「持続可能な大会」の開催を掲げ、
国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)への貢献も
約束していますが、関連施設の建設ひとつをとっても、
うわべはともかく実は全然「持続可能な」大会とは
なっていないのです。

こんな話を聞くと、一見「いい話」につくられた話ほど
「わるい話」はないなあと思います。一般のインドネシア人の
多くがその実現性を疑っているような新首都建設の話ですが、
動き出した開発の波はすでに現地では大波となって地域の森林を
覆いつくそうとしています。あちらこちらで合法、違法の
森林伐採が進む現状を見ると、「持続可能な開発」などという
美辞麗句がむなしいばかりです。

                     (次回へつづく)


オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
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野生オランウータンの研究

鈴木先生がクタイの森(インドネシア)で野生オランウータンの
研究を開始してから、すでに30有余年が経ちます。今日はこの間を
簡単に振り返ってみたいと思います。

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写真:研究開始当時の初期のスタッフと

鈴木先生がはじめてクタイの地に入ったのは1983年、熱帯地域初と
いわれる大規模な森林火災がこの地を襲った直後のことでした。
当時は、現在のキャンプ・カカップより上流のシナラ山にキャンプを
設営しました。キャンプといってもブルーシート張りのテント暮らし。
近くには道路などはなく、一番近くの村に下りるだけでも川をボートで
下って何時間もかかるため、食料も川で魚を釣りながらの自足の生活
でした。


こうした中で森林火災後の森の再生の様子を見ながらの、調査が
つづけられました。特に1983年10月に行ったクタイ内陸部の調査、
1985年のセンガタ川上流部における森林火災の影響調査と
オランウータンの現状調査は初期の調査として貴重なものでした。
当時のメンバーが全員参加し、全部で12ある滝を上っての大調査
でした。現地は地図もないところなので、森の中を観察路を切りながら、
地図を作りながらの調査です。


こうして自分の足で調査をしながら森の中に張り巡らせた観察路は
全長数100キロを越します。一帯の森は1985年に国立公園に指定
されることになりますが、同時に現在キャンプ・カカップがある場所に
常駐していた自然保護局の役人は町の役所に撤退し、皮肉なことに
この地域は監視人がいない状態になってしまいます。


すでに対岸では石炭開発の大計画が動き出しており、森を守るために
苦肉の策として、村人たちが常駐できる拠点を自前で設けること
にしたのです。


image3.jpeg
写真:建設中のキャンプ・カカップ


image2.jpeg
写真:高床式の基礎部はスタッフたちが地下杭を打ち込んで作った


こうして誕生したのがキャンプ・カカップです。資金がない中
やりくりし、1994年10月にはついに建物の外郭が完成。10年間
続いたブルーシートでの調査に別れを告げました。村人たちの手で
建てられた新しいキャンプを中心に森林パトロール、
オランウータンの調査が始まります。


1998年の2度目の大規模な森林火災に際してはクタイ国立公園の
大部分に火が入った中、連日の懸命な消火作業でキャンプの周りの
森だけはどうにか延焼から守りました。川の水をキャンプの
屋根に運び上げ、村人たちが総出で火の粉を払ったといいます。


image4.jpeg image5.jpeg


この写真は石炭景気で急速に発展したセンガタの町なみです。
ここは10数年前は何もない荒野でした。開発景気は急激な人口の
増加を生み、到る所で盗伐が横行しました。キャンプの近くの
森の木も伐採用の×印が付けられました。地元センガタの警察は
すでにお金が回っていて動かないので遠方の警察に訴え、盗伐者
18人を逮捕、チエーンソー38台を没収してもらったことも
ありました。こうした数々の努力の積み重ねで、キャンプ周辺の
森では多くのオランウータンが子育てを続けています。


この森に愛着を持ち、オランウータンを見守っていこうという
村人たちがいる限り、クタイの森はオランウータンの森として
健在であると私たちは頑張っていますが、昨年夏にはインドネシア
政府がこのクタイの森のある、東カリマンタン州への新首都移転を
表明しました。キャンプを取り巻く厳しい状況は相変わらずです。
環境に配慮したとか、自然に優しいとか言うことは簡単で魅力的
ですが、現場はなかなかそのような理想では動いていないものです。
次回は開発の期待に沸く現地からその辺を書きたいと思います。


オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
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森の人 オランウータン

はじめまして。こんにちは。

今日からこのブログにオランウータンの話を
連載させていただくことになりました。

読者のみなさんには、えっ??何?
オランウータンって?という方もたくさん

いらっしゃるかもしれませんが、

オランウータンという生き物の姿を通じて、
オランウータンのことだけではなく、

ヒトのこと、私たちの暮らしのこと、
地球のこと、日々感じることをお伝えできたらと思っています。
よろしくお願いします。

オランウータンは東南アジアの熱帯雨林に生息する
赤毛の大型霊長類で、
ヒトの進化の過程では一番私たちヒトに近い
生き物と考えられる類人猿の一種です。

大型霊長類というのはオランウータンのほかに
チンパンジー、ゴリラ、ボノボがいますが、
アフリカに暮らすこれら3種と違って、
オランウータンだけがアジアに暮らす生き物です。

今年3月号の「にんげんクラブ」会報誌に
「オランウータンに、いつまでも熱帯の森を。」
というインタビュー記事を載せていただきましたが、

私たちはこのオランウータンの生態の研究を
インドネシアの森の中で続けてきました。

野生のオランウータンの観察を続けて
40年近くになりますから、
まあ、オランウータンのことを
一番よく知っているヒトだと思います。

さて、オランウータンの研究というと
「ああ、動物の研究ね。」と思うかもしれませんが、

実はね・・・という、
もっと深い部分、「ヒト=にんげんのおはなし」なんですということを、
ぜひみなさんにも知ってほしいとインタビューでお話しましたら、
こんな素敵な機会をいただきました。

オランウータンのことを一番よく知っていると今書きましたが、
実はこの「知っている」という言葉、
オランウータンを見れば見るほど、
実はヒトって、何にも知らないんだなと思ってもいます。

いま、ネットでちょっと検索するだけでも、
オランウータンという生き物の概説、知識は
それなりに溢れています。

でも知識、情報って何なんだろう?
こんなことを言うのは変かもしれませんが、
オランウータンのことをヒトは知らない、
ということを私たちは一番よく知っているヒトだと思います。

無知の怖さは知らない人には
その意味さえもわからない。

情報社会といわれる現代ですが、
オランウータンが伝えてくれることは
「ヒトはほとんど知らない」ということ。

文字や言語はヒトの最も人たる所以ですが、
それらが伝える情報、知識の表面的な部分だけに
とらわれていては、
ヒトは何も見えていないのに等しいのではないのでしょうか。
そんなことを徒然考えつつ、では今日の本題。

オランウータン ORANGUTANという言葉は、
「ORNGオラン=人」と「HUTANフタン=森」
ということばをあわせたもので、
現地の言葉では文字通り「森の人」という意味を持っています。

人が近づかないような熱帯雨林の奥深くに棲み、
その生態はほとんど知られていませんでした。

それにしても、「森の人」とはよく言ったなと思うほど、
野生のオランウータンは「賢い」生き物です。
その賢さは、なかなかひとことでは説明のできない賢さです。

彼らを「森の人」と呼び、
長いあいだオランウータンとともに
熱帯の森の中で暮らしてきた私たちの先人。

彼らは、研究者でも専門家でもありませんが、
熱帯の森とともに生きてきた彼らは、
おそらくどんな研究者たちよりも
「オランウータン」という生き物をよく見ていたのだと思います。

もちろん人類進化なんてことは考えても
みなかったでしょうし、知識もなかったでしょう。

でも、オランウータンの姿に「人」を感じ、
ヒトとして親しみを感じたのであろう先人たち。
その自然をありのままを見る目や感覚、
自然の中で生きてきた姿に私はいつも感慨を覚えます。

面白いことにこうした人たちは自らをも
「森の人 オランフタン」とよび、
村に住む「村の人」とは区別して認識しているようです。

このオランフタンとオランウータン
「森の人」。あえて2通りの表記しましたが、
音声的には現地では全く同じものです。

熱帯の奥深いジャングルの中で永々営まれてきた
こうした「森の人」たちのくらし。

オランウータンという呼び方、
名前はそういう人と自然との接し方、
アジアの先人たちの長い歴史の中から
生まれてきた言葉だと思うと
なんだか本当に感慨深いのです。

日本はアジアの一部ですが、
日本人にもそもそも自然は克服するものではなく、
ともに歩むものだという考え方があります。

オランウータン 森の人という言葉は
こういう感覚とも何か共通するものを感じるのです。
オランウータンという言葉自体、
そういう意味でとてもアジア的な言葉なのです。
                     (次回へつづく)


オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
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TEL 03-5363-0170
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ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
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