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第57回 オランウータンの森の痛(いた)みを感じる   

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
第15回 野生のオランウータンのくらし その1
第16回 野生のオランウータンのくらし その2 ~枝わたり~
第17回 野生のオランウータンのくらし その3 ~母子の橋渡し~
第18回 熱帯雨林とバランス ~森林火災~
第19回 森林火災のあとの熱帯雨林
第20回 2021年の年頭に思うこと  ~GOTOの先~
第21回 科学の力
第22回 自然のバランスとスピード
第23回 オランウータンは何頭いますか?
第24回 オランウータンは何頭いますか? その2
第25回 インドネシアの大雨と大洪水
第26回 緊急事態宣言 再び
第27回 「自然」について考える
第28回 見守ることの大切さ ~キャンプ・カカップの取り組み~
第29回 オランウータンの長い子育て
第30回 森を残そう ~鎮守の森の意味 熱海伊豆山の土石流~
第31回 オリンピックの陰で
第32回 野生オランウータンの観察 その1 -年齢ってどのようにわかるの?-
第33回 野生オランウータンの観察 その2 長期間の観察の重要性
第34回 野生オランウータンの観察 その3 バユールの誕生
第35回 野生オランウータンの観察 その4 長期の追跡
第36回 京大、霊長類研究所を事実上「解体」
第37回 京大、霊長類研究所を事実上「解体」 その2
第38回 お話し会「オランウータンにいつまでも熱帯の森を」
第39回 「シンプルで幸せな生活」は壊れやすい
第40回 <響き合ういのち> ヒルデガルト聖歌コンサート
第41回 2022年 年頭に考える 100年前の日本のこと、これからの日本のこと
第42回 熱帯雨林の現実 ~インドネシア、新首都建設へ~
第43回 熱帯雨林の現実 その2
第44回 春に考える
第45回 オランウータンの「考える」
第46回 霊長類研究を考える
第47回 さまよえるウラナミシジミ 霊長類学者としての私の原点
第48回 高校時代の思い出 ~清澄山の蝶と蛾の話~
第49回 海からの手紙 ~陸地と海はつながっている~ 瀬戸内最後の楽園、祝島から
第50回 里山、里海、そこにある人々の暮らし
第51回 鼎談 ~ていだん~
第52回 イチモンジセセリの渡り ~大集団の実態と謎~
第53回 G20 インドネシアで開催 -世界の動きは-
第54回 万博とオランウータン
第55回 愛・地球博2005 オランウータンウィークの訴え
第56回 人間は自然界の一部か
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第57回 オランウータンの森の痛(いた)みを感じる


今日は来る3月21日に予定されているお話し会のお知らせを掲載します。
万博、愛・地球博2005、そしてオランウータンウィークについて何回かご紹介しましたが、
当時のこと、これまでのことを振り返りつつ、オランウータンの、そしてヒトの未来を語ろう!
という、お話し会です。

お話し会
『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』 Part 5(2023年3月21日)

スペシャルゲストには古屋和子さんにお越しいただきます。
古屋さんは「ひとり語り」の世界の第一人者。
愛・地球博開催当時、鈴木先生の呼びかけに真っ先に賛同して下さって駆けつけてくれた思い出
深い方でもあります。
古屋さんの語りは、「平家物語」などの古典物はもちろん、アメリカ先住民のお話しも、スーホ
ーの白い馬のお話しも、あれもこれもいいなあと、レパートリーは幅広く言い尽くせませんが、
3月21日には万博で披露してくれた写真絵本「オランウータンの森」の読み聞かせを再度特別
リクエストしました。

ところで、先日大学生に「愛・地球博2005」の話をしたら、
「ああ、ぼくが生まれたころ?いや、生まれる前のことですね。」だって。

オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。

当時、会場で私たちの話を熱心に聴いてくれたこの子供たちも考えてみれば、いまはみなさん
社会人ですね。
あの時私たちが願った未来をともに創っていくためにもどうぞみなさん手を貸してくださいね。

21日のお話し会は、これを機に久しぶりにみなさんに再会できたら、そして当時生まれていな
かった?みなさんにもお会い出来たら嬉しいです。

さて、2005年でさえ、「生まれたころ」という年代が増えてきた今、「昭和」さえが昔。
昭和レトロブームというのが今の世の中らしいのですが、先日、昭和のくらし博物館館長の小泉
和子さんのこんな記事を読みました。
《昭和レトロ》な家事とくらしから、地球に優しい生き方が見えてくる

全文をぜひ読んでいただきたいのですが、
今日はこの記事の中からの一節をご紹介します。
「もちろん電化製品の使用をすべてやめるのは、現実的ではないでしょう。電気の使い方で
いえば、現代のオール電化ではなく昭和30年頃のハーフ電化。消費生活としてもその時代
あたりを参考にすると、地球に優しい生き方ができるのはもちろん、手足や頭を使うことで
老化予防にもなると思いますよ。」

電力をつくるためにどれだけの熱帯の森が、世界の森が切られてきたかという話をすると、
「でも電気を使わない生活には戻れない」とみんなが言います。
でも、「すべてやめなくてはいけない」「火を燃し、ろうそくで暮らそう」というわけでは
ないのです。
そんな「使うか」、「使わないか」という二元論、極論ではないのです。

まさにこの小泉さんのおっしゃるとおり。
オール電化ではなく、ハーフ電化に。
少しでもあなたのくらし方から実際に使う電力の使用量を減らしてみませんか。
節電ではなく減電です。
無意識に、知らないうちに使い続けた電力が、地球から奪ったものの大きさ、痛みを想像して
みてください。

でもこうは言うものは、なかなかその実感が持てないものです。
「地球にやさしい生き方」なんて耳障りのよい言葉ではなく、文字通り「オランウータンの
くらす森を奪うことで成り立つ生き方」
を日本人は送ってきたし、今でも送っているのです。
耳に痛い話ですが、このことを自ら意識して初めて、ヒトは少し一歩を踏み出せるのでは
ないでしょうか。

クタイのオランウータンの森の石炭開発が本格化したのは1990年以降です。
バブル崩壊後、日本の石炭需要の増加の一端を支えたのが、実はこのクタイ産出の石炭でした。
日本には最初は専売契約で優先的に売られていました。
当時最大の顧客が日本。そのクタイ炭田は今や世界有数の炭田です。

このクタイ炭田の石炭は当時インドネシア産出のものには珍しく大変質の良い石炭だったので
開発が始まったころは主に製鉄用に使われていましたので、必ずしもすべてが電力になったわけ
ではありません。
でも日本人がこんなに石炭に依存する、電気に依存する生活を送り続けなければ、オランウー
タンの森にとってはずいぶんよかったはずです。

「今だけ、お金だけ、自分だけ」ではなく、もうちょっとオランウータンの森に思いを馳せる。
すでにかなり遅すぎますが、それでもまだ遅すぎない。
いまでもオランウータンの森で暮らすオランウータンたちは健在です。
「オランウータンだけ」とは申しませんが、ヒトも「自分だけ」ではなく、もう少し目線を
広げてほしいものです。

そんなきっかけとなるお話し会になればと願って回を重ねています。
今回はプロの語りで写真絵本「オランウータンの森」をお届けします。
森の中で元気に生きるオランウータンの母子の姿に思いを馳せてください。

3月21日のお話し会はこちら
オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。

(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』Part 4
【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』Part 4


【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』Part 2
【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』Part 2


【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』
【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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