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第35回 野生オランウータンの観察 その4 長期の追跡      

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
第15回 野生のオランウータンのくらし その1
第16回 野生のオランウータンのくらし その2 ~枝わたり~
第17回 野生のオランウータンのくらし その3 ~母子の橋渡し~
第18回 熱帯雨林とバランス ~森林火災~
第19回 森林火災のあとの熱帯雨林
第20回 2021年の年頭に思うこと  ~GOTOの先~
第21回 科学の力
第22回 自然のバランスとスピード
第23回 オランウータンは何頭いますか?
第24回 オランウータンは何頭いますか? その2
第25回 インドネシアの大雨と大洪水
第26回 緊急事態宣言 再び
第27回 「自然」について考える
第28回 見守ることの大切さ ~キャンプ・カカップの取り組み~
第29回 オランウータンの長い子育て
第30回 森を残そう ~鎮守の森の意味 熱海伊豆山の土石流~
第31回 オリンピックの陰で
第32回 野生オランウータンの観察 その1 -年齢ってどのようにわかるの?-
第33回 野生オランウータンの観察 その2 長期間の観察の重要性
第34回 野生オランウータンの観察 その3 バユールの誕生
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第35回 野生オランウータンの観察 その4 長期の追跡


野生のオランウータンの研究は、地上からの地道な観察の積み重ねによって成り立っています。
最近ではカメラだの、ドローンだの、GPSだの、いろいろな機材が発達し、あらゆる場面でこう
したものに頼ろうとすることが当たり前となっていますが、野外観察の基本は道具ではなく、
森を知り、相手を知ること、森を歩くことです。

樹上何十メートルの熱帯の高木の上に暮らすオランウータンですが、彼らの暮らしを知るため
には、まず私たちは地上から彼らを追跡し、実際に彼らの暮らしを見ていくことが大切なので
す。
オランウータンの追跡は毎朝オランウータンが巣から起きるところから始まり、夕方巣を作って
眠るところまで続けられます。
オランウータンは一度巣をつくって眠ってしまうと、夜のうちに移動するということはほとんど
ないので、巣の場所を確認するということが次の日の追跡のためには欠かせないのです。

追跡は現地のスタッフたちが二人一組になり、1日三交代で行われます。
雨が多く、蒸し暑い森の中での追跡を一人の人が長時間行うのは無理があります。
私たちは時には一ヶ月、二ヶ月という単位で一頭のオランウータンを追っていくわけですが、
追跡を長期間継続するためには何交代かで、なるべく無理のない体制を整えることが必要です。

たいていは1日三交代なので1個体を追うためには少なくとも6人が必要です。
1度見失ったら最後、再び見つけ出すことは困難な広い森の中で、こうして長期の場合は連続で
1年以上追跡を続けることもあります。
相手は高い木の上で生活していますから、追跡しているとはいえ地上から見える部分は限られて
います。
しかしオランウータンのくらしを邪魔しないこの距離感を保ちつづけながら観察を続けることが
非常に重要なことなのです。

オランウータンの目覚めは普通朝6時ごろです。でも早い日はまだ暗い5時半ごろから動き出し
ます。逆に、いつになっても動き出さないこともあります。
このためスタッフはオランウータンの不確かな目覚めに合わせて夜明け前から巣の下で待機しな
くてはなりません。
キャンプから遠いところに巣を作った場合などは、朝の4時ごろにはキャンプを出発します。

一方雨の日など、いつになっても起き出さずスタッフは雨の中で何時間も待たされることもあり
ます。
オスでは最高6日間も巣から出てこないものもありました。
そんなときでも、いつ移動し始めるかわからないので辛抱強く樹の下で待っていなくてはいけ
ないのです。

長期の追跡

こうして追跡スタッフは、はるか頭上20~30mのオランウータンの行動の一つ一つを観察、
記録していきます。
どこを動き、何を食べ、どれくらい休息するか等、その時間と距離を細かく記録していきます。

2人一組で追跡する大きな理由は何よりも「オランウータンを見失わないこと」にあります。
突如移動をはじめるオランウータンの行動はなかなか予測がつきません。
樹の上でのんびりと採食していると思っていると、急に移動し始めます。
相手は慣れたもの、樹上をひょいひょいとあっという間に消えてしまいます。
一方追跡する側は、ジャングルの中。もちろん道はないし、山あり谷あり、川まである。
そうした中を倒木や下草を刈りながら、必死に後を追わなくてはなりません。一人がとにかく
後を追い、残ったもう一人が荷物をまとめて後から追いかけていきます。
森をよく知っている現地の人でさえ方向感覚を失い、森に迷ってしまうこともあるくらいです。

夕方巣作りを終えたことを確認して1日の観察は終わります。
キャンプに戻り、1日の観察を報告し、追跡地図を書き、翌日の観察への引継ぎをします。
巣の場所を確認した2人のうちの1人が翌朝の追跡メンバーの1人になります。
追跡はこのように実に見事なチームプレーで続けられているのです。
私たちのこのシステムは長い間の森の中での観察経験から編み出されたものです。

なんとまあ気の長い、効率の悪い話なのだろうと思う読者の方、そう、研究とはまったく気の
長い話なのです。


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』
【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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