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第28回 見守ることの大切さ ~キャンプ・カカップの取り組み~      

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
第15回 野生のオランウータンのくらし その1
第16回 野生のオランウータンのくらし その2 ~枝わたり~
第17回 野生のオランウータンのくらし その3 ~母子の橋渡し~
第18回 熱帯雨林とバランス ~森林火災~
第19回 森林火災のあとの熱帯雨林
第20回 2021年の年頭に思うこと  ~GOTOの先~
第21回 科学の力
第22回 自然のバランスとスピード
第23回 オランウータンは何頭いますか?
第24回 オランウータンは何頭いますか? その2
第25回 インドネシアの大雨と大洪水
第26回 緊急事態宣言 再び
第27回 「自然」について考える
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第28回 見守ることの大切さ ~キャンプ・カカップの取り組み~

前回に引き続き再びKan. さんに訊く。からです。
前回の記事を書いたところ、早速にんげんクラブの編集部の方がKan.さんのインタビュー本を
届けてくださいました。
いろいろと感慨深く拝見しているのですが、その中で特に今日みなさんにもご紹介したいと
思ったのは、「見守る」ということの大切さという一節。

「行動する」のではなく「見守る」ということが大切なのだ。

うわ~、そうです、そうです。
私は今までうまく言葉にできていなかったけれど、実は私たちのオランウータンの活動って
まさにこれです。「見守ること」。

行動は目に見えるのでわかりやすいし、深く考えないでも動けてしまうので理解しやすい。
でも静かに見守ることって、実はすごく難しい。
すぐ口を出しちゃうし、何かやりたくなっちゃう。

みなさんオランウータンの窮境をお伝えするとすぐ、「では何をしたらいいでしょうか」と
聞かれます。
具体的にどういう行動をしたらいいのか。
「保護のために何をやっているのですか?」とも問われます。
でも行動することも大事ですがもっとも効果があるのは、見守っていること、見守っていく
ことなのです。

ただ、なんか言葉にするとパッとしないですよね。
非常に地味な作業で、全然アピールしません。
研究って何をするのですか?といわれて、木の下で見ているだけなんてね。
その本当の意味を理解しようとしないで、もっと効率の良い研究方法があるのではないか、
GPSをつけて追跡をしたり、ドローンで上から見たり、今は情報がたくさんあるのでいろいろ
なアイディアを言われます。
遺伝子がどうだ、こうだとかいうとすごく難しい研究っぽいですし。

保護というと、孤児に餌をあげたり、木を植えたり、という行動はわかりやすいですけれど、
オランウータンを守るためには、何もしないで静かに見守っていける場所(森)を残すこと。
何よりも見守れる人を増やしていくこと。見守るって、一時のことではなく続けなくては
意味がない。
続けることは大変です。
まして見えにくいことを続けることは骨が折れます。

対岸の森が石炭の開発のために切り開かれていく中で、鈴木先生は1993年に現地に研究基地
となる建物を建て、そこをキャンプ・カカップと名付け、村人たちが常駐しながらオラン
ウータンとオランウータンの森を見守っていく体制を作りました。
1、現地拠点主義 2、村人参加 3、長期継続 が鈴木先生の野外研究の三本柱ですが、
これを一研究者で作り出し、維持運営しながら研究を続けることは本当に困難なことでした。

対岸からは入植者が押し寄せ、国立公園内も違法入植者が後を絶ちません。
それでいて国立公園は公園内に村人がスタッフとして常駐することに良い顔をしないことも
多々ありました。
しかしキャンプに人がいる限り、周辺の森は度重なる木材伐採や森林火災の被害を免れ、
今でもオランウータンの森として、多くのオランウータンのお母さんが子育てをしています。

もちろん私たちは大火災の際は消火活動を行い、密猟者や伐採者を取り締まり、森の中の
観察路を維持し、その時に応じてあらゆる行動をします。
でも最も大切なこと、基本は見守ることです。
GPS装置を野生のオランウータンに取り付けることはオランウータンにとっては負荷を負わ
せることで、こうした手法を野生の観察として取り入れることを私たちはしません。
そもそも野生動物をヒトが「見る」という行為自体、すでに野生のバランスを欠くことに
つながるわけです。

ヒトが頭で考えて何かをやろうとすることに対して、私たちヒトはもっと謙虚でなくては
いけないと思います。
「見守る」という言葉は、相手に対する思いやりや、責任が伴う、とても重い、心のある
言葉です。
前回もふれましたが、百聞は一見に如かず という言葉。「見る」だけでは、見ているよう
で何も見えていない。
わずかに残っている森に、観光客がオランウータンを見にやってくるわけですが、こうなっ
ては「見る」だけで、「見守る」とは全く違うこと。

自然のために、オランウータンのために、何かをするのではなく、ただ身守っていくことが
できたらいいのですが、現実はなかなか難しいようです。


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』
【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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