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第25回 インドネシアの大雨と大洪水      

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
第15回 野生のオランウータンのくらし その1
第16回 野生のオランウータンのくらし その2 ~枝わたり~
第17回 野生のオランウータンのくらし その3 ~母子の橋渡し~
第18回 熱帯雨林とバランス ~森林火災~
第19回 森林火災のあとの熱帯雨林
第20回 2021年の年頭に思うこと  ~GOTOの先~
第21回 科学の力
第22回 自然のバランスとスピード
第23回 オランウータンは何頭いますか?
第24回 オランウータンは何頭いますか? その2
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第25回 インドネシアの大雨と大洪水

お久しぶりです。
助成活動の年度末でバタバタしてしまいましてお休みをいただいていました。
また再開したいと思います。よろしくお願いします。

さてこの間、インドネシアも日本と期を同じくして年明けからコロナウィルスの再拡大
となり大変だったのですが、これに加え、今度は度重なる洪水がジャカルタを襲い、
二重苦三重苦の状態となっています。
現地は2月から3月にかけて雨季のピークとなります。
もともとジャカルタは海に面した海抜の低いところに位置する都市で、大雨の度に河川や
下水、排水が溢れだし洪水となっていますが、ここ数年は特に被害が大きくなっています。

地下水の過剰くみ上げ、下水道などのインフラの不備、いろいろ原因はありますが、これに
加えて最近特に目立つのが異常気象。一度降り出した雨が止まないのです。
実は昨年も同様に年明け早々、1月1日から大洪水だったのですが、これも大みそかから
降り始めた雨が止まずに、降り続け、一気に増水した川からの水が急激に住宅街に流入。
一度浸水すると、堤防が決壊する日本の河川の氾濫と違い、低地であるため何日間も水が
引かない状態となってしまいます。

30度を超える暑い国ですから衛生上の問題も加わり、被害はさらに大きくなっていきます。
こうして未曽有の災害で明けた2020年は、さらに新型コロナウィルスも加わり、本当に
大変な一年となりました。
そして2021年、今年もまた、1月、2月と何度も洪水の被害がジャカルタを襲っています。
特に2月下旬の豪雨では、幹線道路が水没し、首都の大半が機能不全になる事態となって
います。
この時の被害は市内の広範囲に及び、私たちの協力者も被災。
その片付けが今でも続いています。

日本はこうしたインドネシアの状況には関係なく年度末となり、例外なく私たちもいろいろ
報告作業に追われるわけで、こちらの事情でこの間、無理を押して協力してくれているインド
ネシアの方々に本当に申し訳なく思っています。
日本では、コロナ、コロナのニュース一色で、他国のこうした状況はほとんど報道されない
ので、みなさんほとんど知らないのですが、実はこの大雨、他人事ではない話です。

こうした大雨、豪雨をもたらしているのは熱帯低気圧、サイクロンの影響です。
この熱帯低気圧が発達して日本にやってくるのが台風ですが、南に行くとサイクロンに
なります。
インドネシアでは4月に入ってまた、今度は東ティモールで大被害となっています。
オーストラリアでも3月に、「50年に1度の大雨」が続き、雨が降りやまない状態で、なんと
一部の地域では降雨量が1000ミリ越えだとか。
ジャカルタの異常な大雨も、こうした熱帯低気圧の影響だと考えられています。

とにかく日本の台風も昨年こそ被害がなかったものの、近年その威力を増しています。
熱帯低気圧の発生と、発達。このメカニズムが狂ってきているのでしょう。
赤道に端を発した「異常」といわれる事態が、あちらこちらで今起こっているのです。
熱帯の雨の特徴はバケツをひっくり返したような大雨ですが、これは短時間のものです。
雨は止むものなのです。
よく日本の梅雨を体験したインドネシアの方に、「日本の雨は長い」と驚かれましたが、
インドネシアの雨は一時降ると止むのが普通なのです。
それが止まない。
ヒトはどんなに科学技術を発展させても雨を止ませることはできないのです。

熱帯雨林は文字通り、熱帯の雨を生み出す「雨の森」です。
この熱帯の雨の森の異常が、雨の異常を生み出し、大気の異常を生み出し、大きな気候の
異常を生み出している。
熱帯雨林の今の状況を見ていると、私はこのことを実感し、確信します。
熱帯の森の少しずつの狂い、バランスの狂いが、雨の異常をもたらしている。
私たちは気象学者でもないので、説明しろ、科学的に証拠を出せと言われても、そんな
ことはできません。
しかし、気象学者に任せて、こうした地球の異常を科学的に解明しようなどといっていては、
遅すぎます。

インドネシアの、オーストラリアの大洪水は私たちへの警告だと思います。
コロナ、コロナでこうした他国のニュースに目を向けることもなく、台風が来たときだけ
大変だと言っているのではなく、やはりもう少しこの地球の気候、気象の警告に対して
関心を持たなくてはいけないと思います。
日本の天気予報は、洗濯日和だとか、コートを着ろだとか、ジャケットがどうだとか、
その場限りの注意喚起が中心ですが、地球の気象という大きな枠組みで考えると、のんきに
ファッションショーをしている場合ではない状況です。

気象というのは、その場だけの話ではなく、「つながり」なのです。
台風をはじめ、日本の出来事も、日本だけの話ではなく、大気の動きであり、その要(かなめ)
である熱帯の出来事と大きな関係があると私は思います。


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』
【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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