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第21回 科学の力          

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
第15回 野生のオランウータンのくらし その1
第16回 野生のオランウータンのくらし その2 ~枝わたり~
第17回 野生のオランウータンのくらし その3 ~母子の橋渡し~
第18回 熱帯雨林とバランス ~森林火災~
第19回 森林火災のあとの熱帯雨林
第20回 2021年の年頭に思うこと  ~GOTOの先~
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第21回 科学の力

前回の続きで生物の絶滅について考えようと思っていたのですが、連日コロナコロナと
大騒ぎなので、今日はちょっとそちらの方向から書いていきたいと思います。
新型コロナで感染者急増というけれど、大変だと騒ぐ一方で、マスク着用ぐらいで人は
出歩き、ソーシャルディスタンスだの、新しい日常だの、わけのわからない言葉が躍る
ばかり。

たいして有効な手がとられているとも思えないのに、テレビのアナウンサーには
「国民の皆様ご協力ありがとうございます」みたいなことを言われるし。
どうして?なんだかおかしいなとは思うものの、私自身に余裕がなく、この騒ぎ自体を
あまり深く考えたり、調べたりすることがなかったのですが、この機に改めて考えて
みました。

これまでもしばしば目にしたのが「コロナは風邪とおなじ。たいしたことない。怖がる
ことはない。」という言説。
これに関しては正直どうしてこんなことを言う人がいるのだろうと思っていました。
「インフルエンザでも何万人と亡くなるのだからコロナの死者はたいしたことはない。」
ということもよく耳にします。

こうした声に対しノーベル賞の山中伸弥先生は昨年の早い段階から二つの点を指摘され
コロナへの危機感を訴えられていました。
新型コロナウイルスの怖さはまず、あっという間に重症化して、 それまで元気だった人
が急激に悪くなり、しかも発症から亡くなるまでが凄く早いという点。
もうひとつは長期の対策が必要だという点。

その中でも、とくに私は、あっという間に致命的になるという病気の進行の速さと、
その反面、対応にはじわじわと気長に取り組まなくてはならないという対極的な二つの
スピードの問題に恐ろしさを感じていました。
そしてさらに明らかになってきたことは、その重篤化する患者がごく一部の少数者である
ということ。
自粛自粛ということでいま盛んに個人の取り組みが強調されていますが、本来は社会と
して、枠組みとして、もっと大きなところでの長期の展望に立った切り替えが必要な問題
だと感じているのです。

前回も書きましたが、人類は移動することによって発展してきた生き物です。
コロナはその根本的なところにじわじわと食い込んできているわけです。
しかも、「経済」という魔法の言葉の前には人は何ごともGOGOです。
人類の「動く」という欲求とウイルスの拡散。
ウイルスに勝ってオリンピックを、なんて言っていますがそんなに簡単に短期間に勝てる
相手なのでしょうか。
何かとても短絡的です。

ということで、世の人は今の現状をどうとらえているのでしょうか。
今はちょっとネット検索するだけでいろいろな情報が出てきます。
政府や、マスコミ報道はもちろん、陰謀論だとか、楽観論だとか、説明、解説、感想、
本当に情報に溢れています。

ネット意見を見ていく上で、ひとつ大変興味深かったのは「科学的エヴィデンス」という
言葉の持つ重さ。
この言葉が何だか金科玉条といって持論を展開する人が多い。
時には全くの素人ですとか、門外漢ですという人が、「これは権威ある論文が元」などと
言及して、科学的根拠に基づいてと、いろいろ解説しています。
それに対して賛否またいろいろな意見が拡散していくと、もはや問題の核心がすり替わり、
全くおかしな話になってしまう。
そのおかしな話にたくさんの人がいいね!といったりするわけです。

さて、私が当初から疑問だった「コロナは風邪と同じ」という話。
実はこれは徳島大学名誉教授の大橋先生という方の話が拡散された結果らしいということ
がわかりました。
なぜコロナは風邪と同じなのか。
科学と学者と数字、そして世論というものの構図は非常に示唆に富んでおり考えさせられ
ました。

私たちがいかに「科学論文」という名前に弱いか、DNAや遺伝子データという言葉に
弱いか、科学のごまかしということを細かく実例をとって解説されているように思います。
(たくさんの動画を発信されているなかで、ほんの一部を拝聴して書くのでおかしな点が
あったらお許しください。)
そうした話の中で確かにコロナは風邪と同じというような話もされています。
こうした言質をとって、反論される方や一方で賛同される方、それが一部で大いにうけ、
さらには陰謀論のように解説されているのを知りました。

しかし、問題はそこではありません。
言葉の表層ではなく、その人がもっとも伝えたいことは何なのかということをよく考える
ことが大切ではないでしょうか。
先生は「科学」というものの怖さを言っているのです。
もしかしたら「存在しないものを存在しているかのように論文の上で言う」こともある
わけです。
そういえば理化学研究所のスタップ細胞、スタップ騒動というのもありましたね。

なんでも「科学的」と大きな声でいわれると、それをおかしいとも思わないで信じて
しまう私たちがいる。
たいした科学的根拠も本当はないのに、それをもとにおかしな騒動が起こってしまう。
それはおかしい。
むやみに恐れずに、そのおかしさに気づかなくてはいけない。
こうした現実の一面、世論の問題点と科学的なことの怖さを学者の眼で種明かしして
くれているのではないでしょうか。

それにしてもみなさん、科学者でもないのになぜこんなに科学的なことが好きなので
しょうか。
別に科学論文を否定するつもりはありませんが、おかしなことをおかしいと思うこと、
怖いことを怖いと思うこと、なにも科学論文に裏付けられなくても感じるべきことだと
思いませんか。

とはいえ、ウイルス自体をたいしたことがないとは私は思いません。
確かに多くの人にとってコロナは風邪と同じなのかもしれません。
でもなかに、一部だけ重篤化する人がいる。しかもそのスピードはものすごく速い。
もしそうした症状の原因となるウイルスがあるとしたらそれは怖いと私自身は思います。
しかも感染力が強く、世界中に短期間に広まるとしたら、それは本当にソーシャル
ディスタンスなんて呑気なことを言って出歩いていて何とかなる話なのでしょうか。

実はそんな危険なウイルス自体が今回の騒動の産物だという考え方もあるようですが、
いずれにしろ現在を含めた、近い未来の人類にこうした脅威のウイルスが襲い掛かる
ことは十分に考えられるわけで、人類は単に怖がったり、無視したりするのではなく
もっと深く考えるべきだと思います。


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』
【DVD】鈴木南水子さん お話し会 『オランウータンに、 いつまでも熱帯の森を。』


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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