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第19回 森林火災のあとの熱帯雨林   

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
第15回 野生のオランウータンのくらし その1
第16回 野生のオランウータンのくらし その2 ~枝わたり~
第17回 野生のオランウータンのくらし その3 ~母子の橋渡し~
第18回 熱帯雨林とバランス ~森林火災~
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第19回 森林火災のあとの熱帯雨林

この写真は森林火災の後の熱帯雨林の写真です。
2006年の11月に撮影したものです。
東カリマンタンの森は1983年に史上初の森林火災で広大な面積が燃えてしまいました。
その後再び1997年に2度目の大火災がこの地を襲いました。
この2度目の火災から10年近く経ったときに撮影したのがこの写真です。

AfterForestFire1.jpg

写真の中で白く見える木が、火が入ったために枯死した木です。
かなりの数の樹が枯れてしまっていることがわかります。
この写真はクタイ国立公園内の広域調査の際にヘリコプターから撮影したものですが、
どこまで飛んでも、こうした白化した森が広がっているわけです。

熱帯雨林の火災は火が林床の落ち葉を伝わって燻りながら何日もかけて燃え広がります。
この火が勢いを増すと、単に林床を焼き尽くすだけではなく、太い幹の大きな木の中心
にまで火が入ってしまい、こうなると火力もさらに強くなっていくわけです。

一部の木は火が入っても、火災後やがて再び若葉をつけ、再生するものもありますが、
多くの木々は次第に葉を落とし枯れていき、幹だけがこのように白化して残ります。
再生した木もあるので写真のように一見緑が多く、それほど燃えていないように思う
かもしれませんが、実際は森林全域に火が入っているわけです。

こうしてダメージを受けた熱帯雨林の高木は、すぐに燃え尽きてしまったり、倒れて
しまったりするわけではありません。
この写真のように森林火災後10年近く経っても立ち枯れのままの姿で森の中に残って
いるのです。
やがてこうした枯死した木が、火災後10年以上経ち朽ちてくると、雨が降った後になる
と水分を含みその重さに耐えきれなくなって突然倒れます。

写真でこのように見ますと細い木に見えるかもしれませんが、実際は1本が50メートル
もの高さがあるような巨樹です。
これが倒れるのですからものすごい音がします。
どちらの向きに倒れていくのかもわかりません。
こうした倒木に巻き込まれては逃げようがありません。
私たち観察者にとっては焼け跡の雨後の森でのこうした倒木がもっとも危険なわけです。

結局ひとたび森林火災が起こると、1本の樹が枯れて倒れるだけでも10年近くかかる
わけです。
まして林内の環境が再生していくには大変な時間がかかるわけです。
オランウータンのくらすクタイの森は、1983年と1997年に大火災に見舞われました。
とくに1997年の火災は、1983の最初の火災からようやく少し森が復帰してきたかな
という矢先に再び火が入ったわけで、熱帯雨林の復活、再生にとっては大変な打撃と
なったわけです。

私たちはこうした焼け跡の森でくらす野生のオランウータンの姿を見てきたわけです。
研究開始当初はオランウータンの研究者たちでさえ、森林火災にあったクタイのような
場所ではオランウータンは生きていけないのではないかと単純に考えていました。

ところが、実際には火災によって死んだ個体はいないうえに、彼らは火災後の劣悪な
環境にもかかわらず、こうした環境の変化にもうまく対応し、森林の復活を待ちながら
ともに暮らしてきたわけです。

前回にも書きましたが、熱帯雨林の火災の発生自体が人類史上はじめてのことであり、
その後の森林がどのような状況にあり、そしてどのように復活していくのか。
こうしたことは全く知られていないし、研究する人もいませんでした。

ヒトの社会は災害からの復活は人為的に働きかけ、短時間で文字通り「復興」して
いきます。
でも自然の世界ではそのような短期間での「復興」はありません。
枯れた木が倒れるだけでも10年かかり、そこに暮らす生き物たちは、中には絶滅する
ものもあるわけです。
火災の場合は小さな生き物ほどその影響は強いですので、元の環境に戻るには大変な
時がかかります。

熱帯雨林を代表する生き物に「ヒル」がいます。
ヒトの血を吸うヒルですから、私たちのように森の中を歩くものには歓迎せざる生き物
ですが、本来熱帯の森の中にはヒルがいっぱいです。
このヒルなどは火災の影響でほぼ死に絶えたように見えましたが、つい最近になって
また少しずつ森の中に戻ってきたようです。

AfterForestFire2.jpg

つづく


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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