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第16回 野生のオランウータンのくらし その2 ~枝わたり~   

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
第15回 野生のオランウータンのくらし その1
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オランウータンは一日のほとんどを森の中を移動しながら食べ物を求めて過ごします。
オランウータンは樹上生活者であるということをすでにご紹介しましたが、移動時も
地面に降りることは少なく、多くは枝から枝へと樹上を移動します。

見ていると、実に巧みにスイスイ移動していくのですが、本当のところ体重が軽い生き物
ではありませんから、枝から枝へ移動するといっても簡単なことではありません。
子供は母親から生きていく術を学ぶということを前回お話ししましたが、この「移動する」
ということも子供が母親から学ぶ重要なことの一つです。
リハビリのオランウータンの孤児に「木の登り方を(人が)教える」なんてことが言われて
いますが、野生のオランウータンの巧みな技術というか、移動の様子を見ていると、人が
教えるといっても「いったい何を?」と思わざるをえません。

枝から枝へ移動することを私たちは「枝わたり」といいますが、この枝わたりのスタイル、
技術にも実に様々なものがあります。
折れにくい木だとか、折れやすい木だとか、しなやかな木だとか、樹木にはそれぞれ特徴が
あります。
熱帯の森の樹種は多様ですが、そうした特徴をオランウータンは熟知し、またどの木が
どこにあり、自分はどのようなルートを行くか。
そうしたことがわかっているからこそ森の中を自由自在に動き回っているのだなあと思う
ことがよくあります。

細い枝を大きくゆすって、弾みを利用して隣に移動していく。よく折れないものだと感心
してみていたことがありましたが、後で樹に詳しいスタッフに聞くと、その木(枝)は
特別にたわみに強い、めったなことでは折れない木で、当然オランウータンはそのことを
知っていたのでしょう。
オランウータンの枝わたりを見ていると、大変大胆であるかのようでいて、実はとても
慎重で注意深いということがよくわかります。

子供を連れた母親は子供が小さいうちは自分の身体に子供を下げた状態で移動していきます
が、少し大きくなって子供が自分で動くようになってくると、子供の動きには全く無頓着で
あるかのように、突然子供を置いて移動を始めたりもします。
それまでゆっくりと一ヵ所に腰を下ろして採食していたのが何の前触れも、当然声も出す
ことなく突然動き出すのです。
子供は母親から少し離れて遊んでいたりするのですが、遅れて母親の後を追います。

こうしたとき、結構母親はマイペースであまり子供の様子を気にしているようには思えません。
でも母親は肝心なところではかならずさりげなく手を貸すのです。
たとえば枝と枝とが大きく離れているとき。
こうしたときオランウータンは自分の体重で枝をしならせ渡っていきますが、体重の少ない
子供には枝を大きくしならせることができません。
子供には無理そうだなというとき、母親はいつのまにかやってきて子供が無事渡り終える
まで自分の体重で木をしならせてあげるのです。

子供はまた、母親の移動のタイミングというものを熟知していて、時には母親が移動を
始めるとさっと近くに戻ってきて母親にしがみつく。
こうしてかなり体の大きくなった子供でも母親に「運んでもらっている」こともあります。
この母子間の阿吽の呼吸というか、無意識の意識の巧みさをみていると本当に感心します。
どうしてわかるのでしょうか。
私たち地上にいる観察者は、突然オランウータンが動き出すといつも大慌てです。

子育てをしている母親は注意深く子供の面倒を見ているのかといえば、そんなことはなく、
どちらかというと「自分が食べる」ことに集中しているように見えます。
オランウータンの授乳期間はとても長いのですが、とくに授乳中の母親にとって、自分が
十分に栄養を取ってお乳をよく出すということはもっとも重要なことなのです。
先ほど紹介した、突然子供を置いて移動を開始ということでもわかるように、母親の行動を
見ていると一見、子供には無頓着であるかのような行動が多々見受けられます。
それでいて、実は「よく見ている」というのがオランウータンです。

次回は枝わたりの続きでブリッジ行動について書きたいと思います。

(鈴木南水子)


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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