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第15回 野生のオランウータンのくらし その1

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第1回 森の人 オランウータン
第2回 野生オランウータンの研究
第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?
第4回 外出自粛で考えること
第5回 緊急事態宣言
第6回 インドネシアとオランウータンと日本人
第7回 オランウータンの棲みかと石炭の露天掘り
第8回 エネルギーのはなし
第9回 ご存知ですか、自然エネルギーのホントのこと
第10回 霊長類学、霊長類研究とオランウータン
第11回 社会を考える -日本の霊長類学―
第12回 温泉に入るサル ~サルの文化的行動~
第13回 世界に知られたスノーモンキー
第14回 オランウータンいのちの学校
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このところ鈴木先生が連続で書いてきましたが、今日は私がバトンを引き継いで書こう
と思います。
よろしくお願いします。

さて、「野生のオランウータンとはどのような生き物なのか」ということを私たちヒト
はまだまだ何も知らないということを前回オランウータンの孤児のリハビリの話で
ふれられていますので、今日はその辺から思いつくままですが、野生のオランウータン
ってこんな生き物なんだよという話をすこしづつしていきたいと思います。

実はにんげんクラブ主催で10月17日にお話し会を開催してくださることになっています。
こんなブログの読者の方がいらっしゃるのかわかりませんが、お目にかかれましたら
感激です。
声なきオランウータンの声を届けていきたいなと思っています。
こちらが当日のお知らせチラシですが、まずはここにも使った写真の説明から始めたい
と思います。

オランウータン(0).jpg

この写真は熱帯雨林の中に暮らすオランウータンの姿そのものを表現していて、まさに
森の人のイメージそのままだなあと私が昔から気に入っている一枚です。
最近はデジタル機器がいろいろと発達していますが、この写真はまだフィルムカメラの
時代に撮ったものです。

熱帯の森のなかは薄暗く、高温多湿、その上突然大雨が降ってくることも年中です。
オランウータンは普段は何十メートルもあるような高木の上で暮らしていますから
写真を撮るのも容易ではありません。
私たちは基本的には一日中、朝から夕方陽が落ちるまで、オランウータンを地上から
追跡することで観察を続けます。
オランウータンは自由に木から木へと移動していきますが、私たちヒトは、つるや藪を
かき分けながら地上を移動するわけですから、望遠レンズだ、三脚だと重い機材を
抱えていては、なかなか長時間の追跡は難しいものです。

この写真はその、木から木へ移動する途中の母子のオランウータンの一瞬を撮った
ものです。子供が母親の腹にしがみついているのがわかりますか。
森の中のオランウータンのメスのほとんどはこのように子供をつれています。
子供を連れていない独り者はオスか、若い子供だけです。
オランウータンの出産サイクルは野生下では6―7年ということが観察からわかって
きました。
母親は次の子供が生まれるまで一頭の子供だけを育て、次の子供が生まれると、
上の子供は母親から独り立ちしていきます。

オランウータンの子育てに関して、だいたいはこんな説明がされますが、観察を続けて
いくと実はもっと複雑で、かつ母親の個性、性格によっても子育ての様相がかなり違う
ということもわかってきました。
次の赤ん坊が生まれても、長い間母親と行動を共にし続ける子供がいたり、独り立ち
したかのように見えても、実は母親のそばで着かず離れずの生活をしていたり、
そうかと思えば、赤ん坊が生まれるころまでには完全に親離れする、させられる
子供もいます。

共通して言えることは、オランウータンの母親の子育ては大変丁寧で、時間をかけて
いるということ。
でも見ていて子供に敢えて「何かを教える」というようなことはほとんどありません。
彼らはコミュニケーション手段に音声をほとんど使っていません。
「無言」です。
冒頭「声なき声」といいましたが、オランウータンは文字通り、なき声というものを
ほとんど出さないのです。
長い時間をかけて、ともに生活していく中で子供は母親の行動を見て学ぶ。
生活の中から自然に学んでいきます。

どの母親も、自分の生活圏の「森」というものをよく知っています。
森といいましたが、森の中には一本一本の樹があり、草があり、単に動植物だけでは
なく、そこに暮らす他のオランウータンたちとの関係などすべてが含まれています。
私たち観察者から見ると他のオランウータンというのはほとんど姿が見えないほど、
オランウータン一頭一頭は距離感をもって生活しているのですが、「ときたま出会う」、
そのお互いのオランウータン関係こそが実は彼らの生活の上では非常に需要なわけです。
そうしたすべてを体得してこそ、彼らは独り立ちしていけるわけです。

このようなオランウータンという生き物にとって、リハビリで育てられた孤児、そして
見ず知らずの森に戻されるということが、いかに過酷なことかは想像に難くありません。
そして一頭一頭の孤児には実はみんな母親がいたわけです。
孤児の数を言うとき、それはそのまま野生から間引かれたオランウータンの母親の数、
間引かれたということはヒトに殺された野生のオランウータンの数を表しているのです。

(鈴木南水子)


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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