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第14回 オランウータンいのちの学校

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鈴木南水子さんお話し会『オランウータンに、いつまでも熱帯の森を。』
を開催します。

10月17日(土) 15時〜16時30分
お申し込みは、こちらから↓
https://www.ningenclub.jp/blog01/archives/2020/09/1017.html

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こんにちは、鈴木晃です。

先日(2020年9月13日)のNHKスペシャルで オランウータンいのちの学校 
という番組が放送されました。
孤児となったオランウータンを森に返そうという取り組みを紹介した番組です。
このような孤児を養育する活動をリハビリといいます。

オランウータンの保護というとリハビリがよく紹介されるので今日はこのことに
ついて書こうと思います。
オランウータンの生息地の多くの部分を占めるインドネシアでは保護の問題は、
親を失った孤児をいかにしてヒトが育てるかというリハビリ事業にその資金と
労力の多くが費やされてきました。

ではまず先日の番組のあらすじを番組HPから紹介します。
「森林破壊や密猟などで親を奪われた孤児たちを保護し、野生復帰に向けて育てる
学校がある。
人間が親代わりとなって、食べ物を手に入れる方法、危険から身を守る方法など、
野生で生きる術をひとつひとつ教えていく。
人間が奪ってしまった未来を人間の手で取り戻そうと、悪戦苦闘する人とオランウータン。
その成長を、森へかえる日まで見つめ続けた貴重な記録です。」

放送内では2年間取材を続けたとナレーションがありましたが、この夏にもかなりの
連続シリーズで、確か ジャングルスクール とかいう番組名でBSでも放送されて
いました。
昨晩の放送はおそらくこのダイジェスト版のようなものと思います。

こうして繰り返し放送されるのですから、視聴者の評判の良い番組だったのでは
ないでしょうか。
しかし、実はこのリハビリこそが野生のオランウータンの生存、保護という面からは
多くの問題を抱えている ということを今日は書きたいと思います。
とはいえ、この問題は私が野生オランウータンの研究と保護に取り組んできた当初
からの大きな問題でありながら、本質的にはいつになっても問題が問題として表面化
しない奥の深いことなので今日はそのさわりを書きます。

「何も知らないオランウータンの子供に、野生で生きる術を教えていこう」という
関係者の懸命な取り組み。
こうした姿を愛らしいオランウータンの孤児の映像と高度なカメラワークやプロの
ナレーション、最高の技術で伝えられると多くの方は、「感動した」という思いに
駆られるようです。
でも実は、この ヒトの感情に訴える という点において多くの支持を得続ける
ところにリハビリ事業の大きな問題点があるのです。

結論から言うと、リハビリでオランウータンが救える というのは、ある意味非常に
危険なヒトの思い込みです。
そういう個体もいるかもしれない。
でもオランウータンはそんなに単純な生き物ではないし、彼らの野生の生息地である
森自体も、そんなに安穏な状況にはないのです。

オランウータンにとって本当の意味で「野生が何か」「自然が何か」ということを
ヒトは知りません。
当然のことではないでしょうか。
そのヒトがオランウータンに生きていく術を教える。
そもそもこんなことを考えるという大前提がおかしいのですが、ヒトのひたむきな
姿にそんなおかしさに気づく人があまりでてこない、なんとなく教えれば学ぶように
思ってしまうのです。

私は野生のオランウータンの母子の姿をずっと見てきた研究者です。
その専門家から見ると ヒトがオランウータンの子供に教える という取り組みの
あまりの突飛さと滑稽さになんとコメントしていいのかわからなくなります。
まして「保護」と言って大きな資金が投入されているわけです。
私たちヒトは野生のオランウータンの何を知っているのでしょうか。

確かにエサをあげれば生き延びることはできます。
そして、今回のNスぺの美談のように見方によっては「野生に復帰できるように教えて
森に返す」こともできます。
でも実際はそんな表向きの美談だけでは済まされない、書ききれない諸々があるのです。
そうした問題点を、こうした番組の映像は覆い隠し、美談がもたらすインパクト、
感動だけが多くの人々の心に残るわけです。

もちろん当事者たちは私が指摘したような問題点を無視しているわけではなく、
いろいろ悪戦苦闘しています。
でも、正直こうした取り組みの数々は、問題の本質を解決することにつながらない
どころか、逆にリハビリの美談、賢明さのインパクトばかりが広がってしまう結果
となり、結果として孤児ばかりが増えていくことにつながっているのです。

ヒトは野生の、自然の何を知っているのか、こういうことを言うといろいろな
反論もあると思います。
しかし、私の研究の根底を流れる「自然を大きな自然全体として捉える」という
考え方、ものの見方からオランウータンという生き物を見たとき、
現在の「オランウータン保護」の取り組みは、あまりにもおかしなものだと思い
ますし、それを大々的に報道するマスコミの在り方にも大きな疑問を持つのです。

オランウータンの保護の過去と、現在と、未来を考えるとき、私はヒトとは何か
ということを常に自問自答するのです。


(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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