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第11回 社会を考える -日本の霊長類学―

こんにちは。はじめまして、鈴木晃です。

私がはじめてアフリカの地を踏んだのは、
先の東京オリンピックが開催された1964年の
4月のことでした。
当時は高速道路の設置をはじめ建設、建設と
日本中がオリンピック景気に沸いていましたが、
オリンピックの開会式が行われた1964年10月10日は、
私は広大なタンザニアのサバンナ・ウッドランドで
チンパンジーを追って過ごしていました。

その後、アフリカのチンパンジーから
東南アジアのオランウータンへと研究の場を
移しながら私の研究は続けられています。
あれからすでに半世紀以上が経ち、
次の東京オリンピックの開催ということで、
またもや日本人はオリンピックに期待を
抱いているように見えますが、老朽化という
名のもとに壊された国立競技場の問題一つを
とっても、ヒトの社会の自然との在り方、
自然の中でのヒトの存在とは何かを考えさせ
られています。

私の師である今西錦司先生は日本の霊長類学の
創始者といわれますが、人間と人間社会の
起源の問題を類人猿研究から探ろうと
アフリカの地でのチンパンジーの研究を
構想しました。
それまでの欧米の動物学というのは動物の行動を
探ろうという動物行動学や動物生態学が主でした。
人間は特別なものであり、その特別な存在に
対しての動物であり、動物に対する知的好奇心の
探求、そうしたものが動物学の根底でありました
から、「個体」や「個」を考える視点自体が
研究者にはなかったわけです。

動物は、一匹一匹違う。
自然観察の中で個体に着目し、個体識別を
することでその個性までもを研究視野に
入れる。
物事の全体をとらえるにはどうしたらいいか。
先生のこうしたものの考え方は霊長類学だけに
とどまらないのですが、まずは動物の世界に
「社会」というものをとりいれて理解しようと
した、その点だけをとっても大変画期的なもの
だったわけです。
そういった意味で今西先生の構想した日本の
霊長類学というのはスタートの時点では大変
ユニークなものであり、欧米中心主義の学問の
指向の中に在っては考えられないものだった
のです。

こうした流れのなかで1967年に設立されたのが
京都大学霊長類研究所でした。
霊長研のなかには「社会研究部門」という部門が
設置されましたが、今西先生はこの部門が
一部門として設置されたことをとても喜んで
おられました。
私は以来、この社会部門に所属してチンパンジーや
オランウータンの研究をしてきたわけですが、
残念なことに当の研究者たち自身がこの日本の
お家芸でもあったはずの「社会構造」の研究への
本当の意味での理解が進まなかったと言わざるを
えません。

世界をリードする日本の霊長類研究などと
マスメディアでは取り上げられますが、
実際の現場では「社会」などの研究は言葉だけが
踊っているだけで、多くの研究者は相変わらず
「行動」のデータを積み重ねるばかりです。
「個性」や「文化」などの言葉もよく耳にしますが、
議論は表層的なことで、本当の意味での文化論も
沸かず、文化論を議論するデータに足るデータを
フィールドで積み重ねているような研究は一向に
進みません。
そもそも研究者自体がまったく育っていかないのです。

霊長類研究所も先ごろ創立50周年を迎えたと
聞きますが、国立競技場よろしく老朽化どころか
大変なことになっているようです。
私的流用はない、研究者も研究費がなくて大変
といった言葉で片づけてしまうのは簡単ですが、
これは何ら本質的問題をとらえていません。
今西先生のアイデンティフィケーション理論
という素晴らしい構想の下はじめられた日本の
霊長類学でしたが、その成果はと問われたとき、
マスメディアは大きな賛美を贈りますが、
私としてはまったく残念な現状と言わざるを得ません。

今、オランウータンの研究ひとつとっても
今西先生が最も重要としていた「自然観察」
自体が成り立たないようなフィールド環境に
なっています。
これはおそらくどの類人猿の研究フィールド
(現場)でもいえることではないでしょうか。
地球の環境はいま本当に危機的状態にあります。
こうした状況下で研究者は呑気に自分の研究
だけを考えていていいのでしょうか。
オランウータンをはじめ多くの類人猿が
もはや自然下、野生下の社会などというものが
ほとんど観察できない状態にあります。
にもかかわらず研究者自身がそのことを知らず
(知ろうとせず)、「野生」と思って観察し、
科学的手法と思い込んでデータを蓄積する。
各フィールド間で観察の競い合いよろしく、
あれも見たこれも見た。
こうした細部を寄せ集めても、もちろん彼らの
社会全体など見えようはずもありません。

「自然全体を見なければ何も見えない。」
自然全体をトータルにみることの重要性を
今西先生は自然学の提唱(1983)の中で
打ち出したわけですが、
その意味を今改めて考えます。


つづく

(次回へつづく)

オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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