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第4回 外出自粛で考えること   

桜の花も満開でいよいよ春本番ですが、世界はコロナウィルスで
大変なことになってしまっています。ヒトにとって怖いものはない
とばかりに、地球上を凌駕しているような人類ですがこうなって
みると改めてヒトの力の限界を感じます。


コロナウィルス対策としては、各国の大都市が封鎖するしかない状態
になっていますが、このことは現在のグローバル化の動きの中で、
とても皮肉なことです。いま私たちができることは「出歩かないこと」。
方策として「外出自粛」とはなんとも基本的。ついこの間までは、
どこもかしこも「観光、観光」で大騒ぎをしていたのに、
一気にそのツケがまわってきた感じです。


ヒトは原始の時代から、遠くへ、未知の世界へと出ていくことで
未来を切り開いてきた種といえます。今や地球上でヒトがいない
場所はなく、果ては月まで行こうという有様。東京はもちろん、
観光客も世界中に散らばっています。そんな時代だからこそ、
ここまで短期間に世界中にウィルスが広がってしまったのでしょう。


さて、その「観光、観光」騒ぎやウィルスのことですが、
実はオランウータンとも深い関係がある話なので、
今日はこのことを書きたいと思います。


ヒトにとって、未知のものを見たいという欲求はとても強いものらしく、
希少動物を現地まで見に行こうという人がたくさんいます。
こうした人たちを相手にした「エコツーリズム」は、
なんだか良いもののように受けとめられるのでしょうか、
あちらこちらで自然を相手にした旅行がブームとなっています。


旅行をすることで、自然や環境のことを知り、同時にそれが地域の
経済を支え、人を育てて保全のために役立っていく。
確かに言葉の上ではとても理想的で、こうしたことが実際に良い効果を
発揮している例もあるとは思います。
しかし、現実はそう簡単ではない、見えない問題をたくさん抱えている
場合も多いのです。


オランウータンはヒトに最も近い生き物、類人猿ですが、
この類人猿を見ようというツアーは大変人気があります。
とくにアフリカのゴリラやチンパンジーを見に行くというツアーは、
アフリカの大自然の観光ということで世界中からのニーズが
あるのでしょう。ルワンダのゴリラツーリズムなどは国をあげての
一大事業として発展しているそうです。


こうした成功例に続けと、様々なところで「エコツーリズム」の話が
でるわけですが、とくにこの「ヒトに最も近い生き物」に
人が近づくということは、実は大きな危険性があるのです。
ヒトに近いということはインフルエンザや肺炎といったヒトの病気も
容易に伝染するということです。未知の病原菌の伝播という意味では
その反対もありえます。当然こうした指摘に対しては、様々なルールや、
制限を設けて対処していると説明はするでしょう。
でもどうでしょう?

こうした説明がほとんど説明でしかないことを私たち現場は
よく知っています。そして非常に心配しているのです。
ヒトが野生に近づくことは保護の上では決して良いことではないのです。
マスクをすればうつらないのでしょうか?実際にチンパンジーなどが
感染症で死亡した例もあるのですが、そうしたことの因果関係を追求し、
問題化するのは非常に大変なことで、相変わらず観光は盛況です。


私たちのオランウータンの研究地は赤道直下、インドネシアの
熱帯雨林にあります。研究をはじめた当初は、道もなく、
川をボートでさかのぼること何時間という場所でした。
しかし、こうした場所も時代とともに、「新首都」になろうとしている現代。
オランウータンを見てみようかという人の動きを止めることは
非常に難しいことです。


自然や野生動物との垣根がなくなり、「観光、観光」のノリで、
望めば手軽に気楽に世界中をヒトが歩きまわれる時代。
でも、ちょっと待ってください。オランウータンは熱帯雨林の中で
ひっそりと暮らしてきた生き物です。彼らには彼らの暮らしがあり、
ヒトはむやみに近づくべきではないのです。彼らをずっと研究してきた
私たちが言うのでは矛盾するように感じるかもしれませんが、
私はほかの生き物に対してもこのように考えています。
ヒトは遠くからそっと見ているだけ、と思っているかもしれません。
でも実はそれが・・・ということもありえるのです。


ヒトはすべてを知っているわけではない。
未知のウィルスと闘っている今、改めてそう思います。
「外出自粛」でわかるように、ヒトが動くということはすごいことなのです。
歴史上も数々の病と闘ってきたヒトですから、これからもなんとか
困難を克服していくと信じています。しかし、やはりこれを機会に
物事の一面だけではなく、例えば「観光」ひとつとっても
グローバル化の今こそ、さまざまな面から深慮していく必要があると思います。
どうか事態が改善していきますように。


                     (次回へつづく)


オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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