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第3回 ちょっと待って!エコな話はいい話?   

インドネシアの新首都がkaltimに決定というニュースが昨年夏、
飛び込んできました。このニュースは日本でもその後いろいろ
報道されているようなので、ご存じの方もいらっしゃることで
しょう。日本のマスコミの関心も一気に跳ね上がり、どうして
日本人はそんなことに関心があるの?と逆にインドネシア人から
不思議がられています。

人口が集中する首都ジャカルタからどこかほかの場所へ首都を
移すという話は、インドネシアの人にとっては、大統領が変わる
たびにこれまでも何度も出てきた話で、正直なところ現実を
帯びた話として取り合う人はほとんどいない状態。
「ジョコ(大統領)は、いままで何もできなかったので、
最後にこれまでだれもやれなかったこと(首都移転)をやろうと
いっているにすぎない」とけっこうジャカルタ人は辛口です。

ちなみにkaltimなんて場所、発表当時はインドネシアでも
どこかわかるひとはほとんどいませんでした。
そもそもカルティムというのは、
カリマンタン・ティムール(東カリマンタン)という意味で、
固有の場所を指す地名ではないのです。

新首都予定地は石油の町バリックパパンから州都サマリンダへ
行く一本道の途中、何もない森の中です。予定地の北側、赤道を
はさんで数百キロのところが私たちのオランウータン調査地です。
バリックパパンからは尾根沿いに道がつけられているのですが、
アップダウンが激しく、左右に蛇行するうえに舗装状態も
見通しも悪い道でしたが、これが唯一のサマリンダへの
幹線道路でした。私たちが調査に入るときにもいつもここを
車で通ります。

しかし、この道路は首都誘致合戦の結果、新規格の大規模な
高速道路建設が行われ付近は今や昔の面影は全くありません。
空から見ると熱帯雨林はどこもかしこもすでに道だらけで、
いったいどこに熱帯雨林などというものがあるのだろうという
状態です。


一方で、新首都建設に関しては「環境にやさしい」「自然と調和した」
「エコな」都市の建設がうたわれています。
でもこうしたキャッチコピーは、まさにキャッチコピーでしか
ありません。実際の現場で、こうした美辞麗句がどこまで
「真」のものとなっているのか。
世界が「エコ、エコ」という割に、熱帯の森の減少はますます
加速しているように思います。


昨今のコロナウィルス騒ぎでも注目されている東京オリンピック。
こちらも何かと「環境」をうたっています。新国立競技場は
「自然にやさしい」、「木と緑のスタジアム」だそうで、国産材を
豊富に使い、自然の光や風を取り入れたエコな云々の宣伝で溢れて
います。こうした宣伝を、「なんだかとてもいい話」と感じた方、
どうぞうわべに騙されないでください。

日本の林業の再生をうたった国産材の使用は目に見える屋根や
ひさし部分だけで、肝心の基礎工事に使われる型枠用合板
(コンクリートパネル=コンパネ)には熱帯材が大量に使い捨てに
されています。そしてこうした熱帯材の合板の供給のために、
マレーシアやインドネシアの森からは今日も合法、違法に木材を
調達しようとするビジネスの動きが絶えないのです。

日本は世界最大の熱帯材合板の輸入国だそうです。
今回のオリンピックは「持続可能な大会」の開催を掲げ、
国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)への貢献も
約束していますが、関連施設の建設ひとつをとっても、
うわべはともかく実は全然「持続可能な」大会とは
なっていないのです。

こんな話を聞くと、一見「いい話」につくられた話ほど
「わるい話」はないなあと思います。一般のインドネシア人の
多くがその実現性を疑っているような新首都建設の話ですが、
動き出した開発の波はすでに現地では大波となって地域の森林を
覆いつくそうとしています。あちらこちらで合法、違法の
森林伐採が進む現状を見ると、「持続可能な開発」などという
美辞麗句がむなしいばかりです。

                     (次回へつづく)


オランウータン(0).jpg


プロフィール

鈴木晃(すずきあきら)
京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。
京都大学霊長類研究所を経て、
現在「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」代表。
(一社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)理事長。
1983年よりインドネシア、カリマンタン島にて野生のオランウータン
の研究を続ける。

鈴木南水子(すずきなみこ)
生後6か月よりウガンダに渡り、チンパンジーの研究をする父のかたわら、
アフリカの大自然の中で育つ。自然によって生かされているヒトの生き方
を求めて、オランウータンと熱帯雨林の保護の問題とその普及啓発活動に
取り組む。


(社)オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)
(事務局)
〒162-0065
東京都新宿区吉町8-23 富井ビル2F
TEL 03-5363-0170
FAX 03-3353-8521

ホームページ http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス mof.orangutan@gmail.com



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