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エリザベス・ハイチ・著
紫上 はとる・訳
ナチュラルスピリット 刊
定価2,980円+税
本書は、著者であるエリザベス・ハイチ氏の自伝的な作品です。自伝とは
いえ、生い立ちから普通に歳を重ねる物語ではなく、ある時は古代エジプト
で王妃と神官を兼ねた人生、ある時は哀れな物乞いの人生、と時空を超え
て物語が展開していきます。それらの物語が、複雑なパズルのピースのよ
うに現実とピタリとあっていくさまは、驚きと発見の連続です。
著者であるハイチ氏は、1897年生まれ、ヨーロッパで最古・最大のヨガス
クールを設立し、97歳で生涯を終えるまで、終生人々を教え導きました。
本書は、1953年に書かれ、その後世界17カ国語に翻訳されて、数百万部
のベストセラーになり、現在も読み継がれています。日本語では、2015年
8月に待望の刊行がされました。これほどのベストセラーが、なぜ今のタイ
ミングで日本語に訳されたのか。そこにも必要・必然・ベストな神の計らいを
感じます。実際に悲惨な戦争を体験した著者のメッセージには、地球や人
類に対する愛と平和の思いが溢れています。
本書は60年以上も前に書かれた古いものですが、古さを感じさせないどこ
ろか、永遠・普遍性を感じさせる物語で、非常に面白かったです。ページ数
は700ページもあり、スイスイと小説のように読める箇所から、エジプト時代
の神官の教えなどじっくりと何度も読まねば理解できない箇所もあり、本書
を読むことだけに集中して取り組んで、読み終えるのに丸三日かかりました。
それも読んだというより、文字を辿ったと言ったほうが適しているくらい、まだ
本当に本書を理解できたとは思えません。それほど読み応えのある本です。
本書を読むことで、今ある三次元の現実は、たんなる夢なのか、それとも夢
が現実なのか......と世の中のしくみや自分の本質について嫌でも考えさせ
られます。著者の、真摯に自分の人生や運命から目を逸らさず、本当の《自
己》を体現するに至るまでの生き方は、多くの学びをもたらしてくれました。
何年後かに、またもう一度読みたい本だと思いました。ぜひ、多くの人にお
読みいただきたい一冊です。
(編集室 兒玉裕子)
にんげんくらぶ会報誌2月号より