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畑田 天眞如・著
桃青社 刊
定価1,905円(税別)
こんな人生は小説の中でもないのではないかと思うほど、
壮絶な事実が淡々と語られていきます。
実の母は生後十一ヶ月でなくなり、三才の時に来た継母にも、嫁ぎ先の義母にも、
人間としての存在すら否定されるような仕打ちを受け続けるのです。
自分がいないほうがいいのではと、生命を絶とうとまで考えるのですが、
著者は心からすべてに感謝しているのです。
それがとても素直で無理がないので、
不思議なほど清々しく穏やかな気持ちになるのです。
それは著者が、すべては守られていると知っているからなのでしょう。
著者は、なんと母親のお中に入る前からの記憶があるのです。
「これから"学び"ですよ。
何があっても怖くはないから、落ち着いてしっかりとよく学ぶのですよ」と
美しい優しい女の神様に言われたことをはっきりと覚えているのです。
そして生後十一ヶ月で母が亡くなる前の寂しそうな顔も覚えているのです。
幽体離脱ができて、もうひとりの自分と遊んでいたので寂しくなかったそうです。
大人の本音と建前もすべて見えてしまって、
純粋になぜ変わるのだろうと不思議がっていたのです。
母の代わりに育ててくれた祖母の影響も大きく、
全て神様のおかげと感謝して成長しました。
ひらがなには意味があるのに、大人に聞いてもわからないので、
どん底の環境でもいつか学ぼうと真理の追求を、忘れませんでした。
著者は自分が赤ちゃんだった時の記憶に繋がり、
声をかけられないだけでどれだけ赤ちゃんが不安になるかを伝え、
赤ちゃんが安心できる親の接し方を教えてくれます。
日本語の持つ意味の不思議を興味を持って学んだから、
日本が元々持っている素晴らしさを、
誇りを持ってしっかりと思い起こさせてくれます。
「私が命懸けで神や人から学んだこと、それは先祖の知恵であり、
人間として日本人としての生き方です。
その教えを子供たちにつないでいくこと、
それが生命をつなぐこと。」
この使命のために、著者の壮絶な人生があったのでしょう。
ぜひお読みいただきたい本です。
(編集室 柴切純子)
にんげんクラブ会報誌4月号より