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時代を背負ったアニメ作家・富野由悠季が家族をテーマに、歴史・社会・世界そして未来の回路を拓く『ガンダムの家族論』

みなさん、こんにちは!
東京支部代表世話人の川端淳司です。

まもなく師走ですが、お元気にお過ごしでしょうか。

私は26日(月)に会社での映画「飯館村」の自主上映会に参加してきました。

原発事故で家族を分断され乳牛を手放さねばならなかった酪農家の方たちを
見るにつけ、被災地の現実に無知な自分を恥じ、この教訓を生かさねばならない
と感じました。

また27日(火)は東京支部の定例会を船井本社で開催しました。

様々な活動や情報の共有が行われ、分断された人のつながりを結び直す為の『場』
として、愛知支部が2年も継続しているファミレス定例会の可能性について話合い
ました。内容は大空リーダーのにんげんクラブメルマガを参照くださいね。


さて、連載第35回目は、30年以上前に、人類の覚醒(アセンション)を、主人公の
少年アムロと少女ララァの心と魂の邂逅で描いた時代を背負うアニメ作家・富野由悠季
さんの『「ガンダム」の家族論』です。


20年以上前の中高生時代に私が最も影響を受けたものがアニメであり、ガンダム
(Zガンダム、逆襲のシャア含む)は今でも心と魂の奥底に深く刻みつけられています。

それは、ロボットものというマンガ世界に、富野監督が言うところの「嘘八百の
リアリティ」が深く織り込まれていたからでしょう。

嘘八百のリアリティとは、人が最もリアルに感じることができる家族の要素が丁寧に
深みを持ってアニメ世界に描かれていることに他なりません。

本書では、富野監督の原点とも言える『海のトリトン』と『無敵超人ザンボット3』
から、過去の全てのガンダムを全否定し、また全肯定した『ターンAガンダム』、
そして本HPでブログ掲載中の白鳥哲監督が主人公の声優を務めた第二の処女作足る
『ブレンパワード』等の作品に、いかに家族の物語が織り込まれたかが詳述されて
います。

そして、10万年後に存続している人類を想像した上で、リアルに300年後の良き世界
を創造すべく、シンプルで深いメッセージが散りばめられています。

アカシックレコードから情報をダウンロードできる鬼才・澤野大樹さんをして唸らせ
た富野由悠季監督の『ガンダム』。

日本人はアニメを通じて既にアセンションの下準備が出来ているというのが6年程前
からの僕の持論ですが、精神世界が散りばめられた日本のアニメが世界中で人気を
博しているところに、日本から世界への弥勒の世への潮流が見て取れるのではないで
しょうか。

以下に富野由悠季監督の心に響く言葉をご紹介します。



・今、人類の文明は非常に危ういところにさしかかっているように見える。現代は
 二百~三百年に一回あるであろう時代の変革期にある。

・311後の社会的な危機によって、我々はようやく日本がとてもか細いシステムに
 乗っていたのだと実感する。そして、この国家的な危機が家族の本来の役割を思い
 出させてくれた。

・今の世の中の仕組みには屈服せざるを得ない。それは不幸な生き方ではあるのだ
 が、それは過剰な資本主義に覆われた現代の中で、正気を失わずに生きる一つの
 知恵である、と覚悟するしかない。

・グローバル化した虚業とは正反対の、身近にあってリアルなもの。つまり家族を
 考え直すということは、今の時代を捉えなおし、未来を考える上で有効なのでは
 ないかと思う。家族は狭いように見えて、歴史や社会や世界へと通じる回路を
 持っている。

・少子高齢化をいち早く迎える日本は世界の未来を生きている。そこで、日本がどこ
 よりも早く痛みを引き受けて、新しい規範を打ち立てたとしたら、日本はそこで
 世界のオピニオンリーダーになることができる。

・未来の姿を見るには、極端に発想を跳ばすしかない。読者に想像して欲しいのは
 10万年後の世界なのだ。10万年後の世界を真摯に想像できた人間だけが、
 300年後の未来のビジョンを具体化できる。

・問題は10万年後、人類が存続して欲しいと思った時に、では、人類が生き延びる
 ためには何をしなくてはいけないかを、今、考えることなのだ。
 それが現実を変える指針になる。

・きっとその未来では、人は、家族と一緒に食事をすることを本当に大切にする
 ようになる。そして、古典的な大家族が新たな形で復活してくるだろう。
 社会も再構築され、農業ベースの自給自足の集落ができ、半鐘とかお寺の梵鐘の
 音が聞こえる範囲が、未来の我々の集落になるだろう。

・家族というのは、単に親子の間の関係だけではなくて、過去から連綿と続いてきた
 文化を受け渡していく場所だ。

・結婚とは、その社会を構成する最小単位としての自覚を持って、世間と対峙して
 いくことの始まりなのだ。そこから家族の生活という過酷なレースがスタートする
 のだ。

・結婚を通じて僕は他人(妻や子供たちを含む)との付き合いのハウツーを学ばせて
 もらったし、自分の中にある破滅的な性格を軌道修正することができた。妻と子供が
 いる場を維持しなくてはならないという意思を最後まで貫かなくては、家族という
 ものは維持できないものだ。

・恋愛というのは、メディアが提供する大衆向けの一番わかりやすいファンタジーと
 いう顔を持っている。本来、恋愛と結婚ははっきり別物である。

・父性とは、子供を律し、社会性を与えようとする役割で、母性とは、子供を包み
 受け止める役割だ。そして、父性は母性の上にあってこそ自然なものとして成り立つ。

・結局男の子が外へ出て行く回路は、父親の背中を見ていくところにしかない。しかし、
 高度成長以降、サラリーマンばかりになった日本の父親は、父親らしさを理屈では
 語れず、家にいなくなった。日本の家族における父性の不在と母性の寡占。そこに
 秋葉原無差別殺人事件等の現在社会の病理がある。

・子供を育てるには必ず父性と母性という二つの論理が必要である。ひと組みの男女
 というのは、子供に示すことのできる最小限の「社会の様」だ。

・なんの変哲もない「健康で一人前に育ってほしい」という願いは、根源的であるが
 故に、思考停止に陥る「時代の言葉」への抗体になりうる。

・子供たちが未来を生き延びていくためには、親から得たなまじっかな知識などは
 役に立たない。不安定化、流動化する時代に対応できるセンス、勘のようなものを
 養っていくしかないのだ。そしてそれは当人が当人の努力、鍛錬で涵養するもので
 あって、親が具体的な手出しをできる種類のものではない。

・家族とは他人の偶然の集まりだからこそ意味がある、と僕は考えている。肌が合う
 という理由で集まっているのでは、集団はどんどん内向して行くだけだろう。

・僕は家族とは修行の場だと考えている。間違っても安らぎの場所とは思わないほうが
 いい。安らぎの場所には停滞しかない。停滞が生むのは、淀みであって、残念ながら
 未来ではない。「安らぎの場所であらねばならない」という思いこみから自分を解放
 すると、家族の在り方についてもっと自由になれる。

・親子というのは「教える/教えられる」という行為を通じても深く結びついている。

・かわいがられた記憶は、子供が社会的な存在として成長していく上でとても重要な
 糧となる。

・男の子とうまく関係を結べるのは、壁となって男の子と切磋琢磨できるタイプの
 父親か、逆に壁にも何にもならないおバカな父親かのどちらかだろう。賢しい父親は、
 子供を追い詰めてしまうので、子供が真っ直ぐに育つのには障害になると思う。

・二歳になる孫の前ではTV禁止というルールを設けている。

・女の子にとって一番危なっかしいのは「依存」の癖をつけてしまうことだと思う。

・過去から連綿と続き、家族を包み込んでいる文化。それを実感できる一番分かり
 やすいものは地元で開かれるお祭りだろう。

・お祭りというのは、端的に言うと1年間無事に生きられたことを神様に感謝して、
 大騒ぎすることだ。

・ある風土があり、その風土の中で生きていくための術があり、そしてそこに定住して
 いくことで何代もの血族が紡がれ、文化、気質というものが育まれていく。祭りが
 本来、風土から切り離せないように、家族もまた風土からは切り離せないものなのだ。

・家族と風土を切り離し、ニューファミリーだ、核家族だ、と都市生活者を生み出して
 きたのが戦後日本の歩みだった。

・家族と風土が切り離された一番の原因は、テクノロジーの発達とそれによる経済の
 グローバル化だ。

・人類の知恵と感覚は全く技術に追いついていない。それを「使いこなせる」と思って
 しまうところに、現代の虚業が跋扈する背景があるのだろう。この虚業の跋扈は、
 原子力を思い出させる。

・アニメーションが必要とする「嘘八百のリアリティ」の根拠となるはずの「現実」が、
 当の現実の中からどんどん消えていくのだ。まるで悪い冗談である。
 それは一つの恐怖と言ってもいい。

・「音楽とは共有するものである」と、ロシアの音楽家のウラジミール・アシュケ
 ナージが語っているのを見て、アニメは公のものであると自覚した。

・創作というのは自己の概念とか美意識を表現し、なおかつそれが視聴者・観客と
 いった不特定多数の人々に伝わらなくてはならない。それには、伝えるべき内容と、
 伝える技術のトレーニングが両方必要なのだ。

・『ガンダム』のシリーズ後半、アムロはニュータイプへと覚醒する。ニュータイプ
 とはここでは認識力と洞察力が拡大した人間とだけ定義しておく。そして、アムロ
 は、同じくニュータイプの少女ララァと出会い、戦闘中に、ニュータイプ能力者同士
 ゆえ深く心を通わせたことで、二人は人類の未来を幻視することになる。
 (参考:「アムロ、時が聞こえる」)

・『聖戦士ダンバイン』では、地上の人間は死ぬことで異世界バイストン・ウェルに
 生まれ直し、生まれ直した魂は、そこで自由に生きて、また修行の場である現世
 (地上)に戻るのだ。

・ガンダムの富野というレッテルを僕は突破できなかった。天才じゃないんだから
 普通の人間にできるのはこんなものだろうと受け入れるしかない。むしろ『ガンダム』
 ファンの人にはそこをしっかり認識してもらいたい。そういう悲惨な富野由悠季が
 いることを知ってもらいたい。

・『ガンダム』はそれで人生が学べたと言えるほど広く深いものではない。自分が
 『ガンダム』で幾ばくかの人生を学んだと思っているのなら、その足場は案外脆い
 ということを思い出して欲しい。自分が『ガンダム』で学んだことこそまず疑い、
 最後は忘れるぐらいでちょうどいい。


補足 ~今後の東京支部活動のご案内~

12月15日(土)和田晃一の読書塾
12月17日(月)東京支部 忘年会
12月23日(日)Re-born ~ネオ縄文・ヤマト誕生記念祭 
 講演  池田整治さん、澤野大樹さん、中山康直さん
 ライブ Seiさん&内田充さん、キリロラ☆さん
(チラシ表面)  
 http://5074ed5a3f5625dd.lolipop.jp/20121223v1126/20121223_omote_v1126.pdf
(チラシ裏面) 
 http://5074ed5a3f5625dd.lolipop.jp/20121223v1126/20121223_ura_v1126.pdf




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