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前著の311論を更に深化させた、辺見庸氏自身と世界への、『死と滅亡のパンセ(思考)』

みなさま、素敵なお盆休みを過ごされたことと存じます。
(お盆休みのなかった方、お仕事おつかれさまです!)

東京支部リーダーの川端淳司です。
私はお盆休みにかけて、色んな気づきと出会いがありました。
8月9日には、大下伸悦先生の『言霊の真髄』最終講義で、日常における不安や恐怖を、
心の中庸に戻し、更には真善美へ昇華する大切さを改めて学びました。
また、8月11日には、10数年ぶりに大阪の小学校の同窓会があり、今はその小学校校長の
先生と同級生7人に再会してきました。

川島伸介さん(前代表会員)のミロクの世を祈るパワスポツアーで知り合った良き仲間たちにも
増して、小学生の多感な時期に時空間を共にした先生と同級生との繋がりの深さを、10数年
ぶりにとても新鮮かつ鮮明に感じた素敵な体験でした。
同級生の一人は東京と大阪で職場は違うものの同じ会社で働いており、縁の不思議さを
実感します。

現校長の恩師へは、大下先生から最終講義で頂いた、神宮文庫に保管されている中臣連鎌子
(鎌足)ら日本の為政者達が神代文字(漢字輸入前から日本で使われていた文字)で伊勢神宮
へ奉納した文のコピーをお渡しました。

日本の教育現場から子供達に、真実への気づきの渦が拡散するビジョンが見えた気がして
います。

さて、連載第24回目は、前回に続き、辺見庸さんの著書『死と滅亡のパンセ』(毎日新聞社)を
お届けします。 
  
 

 

前著「瓦礫の中から言葉を 」で3・11を奥深く論考した辺見氏が、その思考を更に深化させ、
3・11に纏わる自身と日本と世界の死と滅亡に思いを馳せ、その研ぎ澄まされた
言葉=パンセ(思考)を綴った心魂の文章です。

あとがきの代わりの最後は

「わたしはそれとなく待っていたのだ。いまもそれとなく待っているのかもしれない。世界の
すべての、ほんとうの終わりを。目路のかぎり渺々(びょうびょう)とした無のはてに立って
はじめて、新しい言葉 - 希望はほの見えてくるだろう。本書の各文章はそのような気持ちで
書かれた。」

という内容でした。

石巻市出身でその心のふるさとというトポス(場)を失い、大地震と原発事故を3・11前に
予見し得た、実時間に実相を看破できる稀有な作家・辺見庸さんだからこそ、今、我々日本人
の心魂にコダマする生きた言葉を、以下に抜粋します。

皆さんが3・11やこれからのミロクの世について、再考するきっかけになれば幸いです。
 

~文中抜粋~

・非常無比にして荘厳なもの、人智では到底制し得ない力が、なぜか満腔の怒気を帯びて
立ち上がっていた。テレビ画面の中に母や妹、友達の姿を探そうと必死になった

・もっと畏れるべきであった。畏怖すべきであった。人は超えられるだけで、人が超え得ないもの
があること。それは何も不当なのではなく、我らの事理を超えた更に巨きな宇宙的な
ことわりであることを

・旧約聖書コヘレトの言葉 
 ~ 「かつてあったことは、これからもあり、かつて起こったことは、 これからも起こる。
 太陽の下、新しいものは何一つない」

・我々はこれから、人として生きるための倫理の根源を問われるだろう。これまでの余裕の中で
 はなく、非常事態下、絶対的困窮下で、愛や誠実の実現が果たして可能なのか

・カミュは小説『ペスト』で、主人公の医師ベルナール・リウーに、人がひたすら誠実である
 ことのかけがえのなさを語らせている。悪魔以外の誰も見てはいない修羅場だからこそ、
 あえて人に対し、誠実であれと

・悲しみの位置と深さを言葉で語りえないために、ひたすらに茫漠としてむなしく哀しいので
 ある。こうなったら、荒れ廃れた外部に対し、新しい内部の可能性をあなぐる以外に生き延びる
 すべはあるまい。新たなる内部では、2011年3月11日の前よりも、もっともっと人と言葉の深み
 に関心を向けようと私は思う。潮騒と讖(シン)と兆しにもっと謙虚に耳を傾けよう

・物象を意思あるもののように活写する才能を持った武田泰淳が戦中の日本を表した「巨大な
 海綿のようなもの」は、実の所、私の中に音もなく棲んでいるもののようだ。それは神と言えば
 神、悪魔と言えば悪魔である。滅びの形と言えばそうでもあり、なかんずく、私の中の「死」の
 形であるのだろう

・これからこの国に展開するであろう悲劇が、先の敗戦時に散見された奈落よりも甚大かつ
 無限の連続性をおびている公算が大であるにも関わらず、全的滅亡に備える心の構えも言葉
 も、殆ど持ち合わせないのは、けだし幸せであり、同時に絶望的に不幸なのである

・詩を俺はメッセージとは考えない。けれど、意識の犯罪であってもいいのだから

・詩の言語域は空間的にも時間的にも無制限でかまわない。この世とあの世、過去・現在・未来
 を往還するにはどんな言葉が要るのかよく考える。いま流通している言葉はほぼコマーシャル
 に浸された言葉、コピー。言葉はもっともっと自由で挑戦的で挑発的で秩序破壊的であって
 いい

・見慣れたものや正常とされるもの正気とされるものを根底から疑り、何気ない日常に奇異の
 念を抱かしめる言葉も詩の力であっていい

・『眼の海』(詩集)はファシズムの今に、私という個が、よるべない他の個に届ける
 「ひとすじの声」なのです

・我々は戦争協力記者や戦争協力詩人や戦争協力作家、戦争協力農民や戦争協力
 クリスチャンたちの末裔だということです。例外はないのです。自分の父母、祖父母は違うなど
 ということはありえない。その歴史と血を負うたわれわれがいま、個としてどのように振舞うの
 か、何を表現するのかということです

・非常事態の名の下で看過される不条理に、素裸の個として異議を唱えるのも、倫理の根
 から導かれる人の誠実の証である

・3・11前に地震と原発事故を予言した朝日ジャーナルへの投稿文再掲に際して 
  ~ しいて言うならば、世界の更なる天変地異とシステムの全的瓦解、人間社会の内面決壊
 のスピードは予測を超えて早まっている

・毎年三万人以上の自殺者、何らかの精神疾患を持つ人は一説には八百万人とも言われ、
 増え続ける一方の失業者、貧者たち。震災・原発メルトダウンは「棄民」に拍車をかけて
 います。これがこの国の実相です

・世界は良くなりながら、全く同時に、より酷く悪くなっている。富みつつより貧しく、自由でより
 不自由で、限りなく荒んだ世界が今である

・私達は結果、命令や強制によらずに、自動的にニコリとわらい、いまある権威と権力とつまらぬ
 上司たちに摩擦なく服従するようになってしまった

・人の思念、言葉を、資本が絡むなにか視えないシステムが無力化させているとは思う

・1980年代に推し進められた肯定的思惟の時代には思考と言語表現の射程が短くなり、複雑さ
 が削がれてどんどん単純化して行くけど、実はそうすればする程内面の抑うつ的な状態は
 進む。これはちょっと他国に例を見ないぐらい進んでいるんじゃないかな。この国は僕を含め
 ほぼ全員が何らかの精神疾患にかかっていると思う

・現在は巨大な出来事や異常な現象は幾らでもあるのだけれど、本質が見えない。というより、
 本質に求心しようという思考の力が決定的に衰微して欠落している

・この社会は大震災後もヘラヘラ笑いながら新型ファシズムの道を歩んでいるし、橋本がいよう
 がいまいが、今後もそうだろう。問題な無論、テレビが放(ひ)り出したガスのような大阪府知事
 ひとりにあるのではない。わたしたちひとりびとりの、あるべき位置からのずれを、醒めて
 みつめるべきではないか

・「事物の価値増大にぴったり比例して、人間世界の価値低下がひどくなる(マルクス)」のは
 単に資本のせいやない。価値の全てを資本と事物の世界に譲り渡した人間のせいやで。
 (対談相手のキリヤット・F・コーエン)

・吉本隆明(日本の思想家・吉本ばななの父)は晩年いいように使い回された感がある。団塊
 世代からは、資本や政治権力と戦わないで現状を受容するために吉本は用いられた。ダメな
 自分の存在肯定の"知的"正当化のためにね

・文化は経済の液汁によって養われるので、文化が成長し、多様化し、繊細になろうとすれば
 物質上の余剰が必要であると言ったのは誰だと思う? トロツキーさ

・NHKが巨額の金を投じて製作した「坂の上の雲」には開いた口が塞がりません。日露戦争に
 おける日本人の勇ましいこと、美しいこと。満州・朝鮮の支配を巡って戦われた実に悲惨な
 戦争なのに、本質が隠され、民族心高揚が煽られている

・独裁者らを裏から支え、中東、アフリカをさんざん食い物にしてきた米欧は、ここにきて、
 ムバラクやカダフィをただの狂(たぶ)れ人のように決め付けた。私達は何が分かったという
 のか。激動の最中、中東及びアフリカ地域最大の国際兵器見本市(IDEX)が、
 アラブ首長国連邦のアブダビで開かれたことに、もっと注意しなければならない。実相が
 これだ

・世界という名の無意識はたぶん、今戦争規模のダイナミズムで自らをシャッフルし、リセット
 したがっているかもしれない

・極限の悲しみが人から声を奪うことがある。それは知の饒舌より、生体の反応として、
 哀しくも潔く美しいと感じられてならない


******************************

<追記>

東京支部企画の『読書塾』と、知人の長谷川章子さん企画の『コンサート』をご案内します!

1.和田晃一の読書塾のご案内

8月6日(日)PM6時より、元先輩の和田晃一さんの読書塾を開催します。
プロの読書家による、知的刺激満載の気づきの超リーズナブル講座。
読書好きな方もそうでない方もごひご参加下さい。

◎読書塾 8月26日(日)18時ー20時 1000円。 懇親会 20時-22時(予定) 3500円。

◎游無(ゆうむ) 〒160-0007 東京都新宿区荒木町20  03-3355-8781
   http://www.arakicho.com/shop/yumu.html

◎お申込・お問合せ先 new-jj.k_72@docomo.ne.jp  川端淳司

全6回シリーズの第2回: 一瞬早く未来から現在に到着する方法?

未来への関心が高まる一方で、現在というディメンションをできるだけ新鮮な過去から知ろうと
する行動は弱まる気配がありません。
温故知新という言葉の意味をもう一度考えなおしてみると、大津波への備えも可能だったのか
もしれません。
清水博の『場の思想』を軸に時間について考察します。
  
 
2.白鳥哲監督作品『祈り』応援プロジェクト 祈りのハープコンサートのご案内


映画「祈り」応援プロジェクト実行委員会代表の長谷川章子さんが企画されているコンサートを
ご紹介します。

7月の幸塾定例会で司会中に、飛び入りでお話頂いた白鳥哲監督のご挨拶もあり、音楽好きな
方はぜひ足を運ばれてみては如何でしょうか?

日時:
2012年9月11日(火) 18時開場

コンサート:
19時~20時

出演:
ご挨拶 ~ 白鳥哲監督
ハープ演奏 ~ ハープ・セラピスト 中野智香子

会場:
東京カテドラル聖マリア大聖堂
東京都文京区関口3-16-15

入場料:
3500円(当日4000円)

お問い合わせ・申し込み先:
映画「祈り」応援プロジェクト実行委員会 
Tel:03-5373-8031
Fax:03-3339-2922
yume@tokyo.email.ne.jp
 
 
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