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孤塁の名人―合気を極めた男・佐川幸義


 
津本 陽 (著)
2008年3月刊
出版社: 文藝春秋
 
 
本書は、著者の津本陽氏が、大東流合気柔術宗範(そうはん)佐川幸義氏の道場に通い、
体験したことや、佐川氏の生涯について小説仕立てで表されています。
 
個人的には、以前から合気道に興味があったため、楽しみにしながら読み始めたこともありますが、
久しぶりに最後まで一気に読み終えられた本でした。

合気、そしてそれを極めた佐川氏の不思議な魅力を感じながら、
迫力ある道場の光景を思い浮かべることができます。
 
合気は、相手の力を無効化して投げ飛ばすという術ですが、文章で
書き表されたものを読むだけでも、そのすごさが伝わってくるので、
実際に見たり、体験したりするのはもっとすごいものだと思います。
 
実際に合気を体験したことがないので、想像の域でしかありませんが、
本書からリアルに伝わってくる情景は、合気のことをよく知らない私でも充分楽しむことができました。
 
目次としては、「魔法を見た」「合気の秘密」「コップからこぼれた水」
「体(たい)の合気」「繊細な感覚」「言外の理」「残されたもの」「彼岸からの声」
という8章から成りたっています。
 
内容は、著者が知人からの誘いで合気柔術の稽古を見るため、佐川氏の道場を訪ね、
門下生として通い始めるところから始まりますが、ページが進むにつれ、
佐川氏の伝記的小説へと移っていきます。
 
もちろん、佐川氏の話だけではなく、師である武田惣角氏の話など、佐川氏を
取りまくエピソードがたくさん盛り込まれ、興味深く読むことができました。
 
合気は、武術の一つではありますが、突き詰めていけば「気」を操るものなのではないかと思います。
文中で、相手の力を無にする技術、合気とは、力でなく、
皮膚の下の筋肉を動かせることだという表記がありました。
技をかけるためには、技術的なものだけでなく、鍛錬と直感が必要なようです。

何事でもそうだと思いますが、一つの事を追求して極めることは、
何かを超越しなければできないことではないかと思います。
 
本書は合気がメインの内容で書かれてはいますが、合気を通し、人の本質や、今の現代社会人が
忘れてかけている人切な気質など、もっと深いものを教えてくれたような気がします。

武術や合気に興味がある方はもちろん、ご興味がない方にも、
精神の本質を教えてくれるような気がする、おすすめの一冊です。どうぞお読みください。
 
                                 (にんげんクラブ会報誌2009年3月号より)



コメント

「会津の武田惣角」の著者池月映です。新作「合気の発見」を出版するにあたって、「孤塁の名人」は大変参考になりました。究極的には「気」を操るものではないかという指摘は正しいと思います。合気の秘法は気を養生することと大東流会報に書いてあります。惣角は真言密教を天才占い師に学びました。身体観の身口意は気功と同じです。直観力、超能力が会得できるのも同じです。
武田惣角は理論的指導者に恵まれ、多彩な技を会得しました。佐川幸義は理論的な説明を受けなかったために時間がかかったと理解しております。

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