« 前の記事を読む | BLOGトップ | 次の記事を読む »
足立 禮子 (著)
2007年10月 発行
出版社 三五館
この本は、観世流能楽師である足立禮子氏が、ご自身の体験を含めた能の世界を、
初心者にも分りやすく紹介しています。
こう観るとおもしろい能の観賞ポイントや、能楽師のこと、師弟関係など、
能についてほとんど知識のなかった私にとっては、すべてびっくりすることばかりの内容でした。
能の世界での著者の生き様には、とても心打たれるものがあります。
著者の師、観世流初の女性師範の生涯から始まり、自身の生い立ち、
そして能の世界に入ってからの苦労話の数々・・。
女性が能の世界で生きていくことは、どれだけ大変なことか、
まさに能が好きという情熱と力強い意志、そして継続力がないと出来ないことだと思いました。
著者の、人生を精一杯生きている力強いエネルギーが文章からも伝わってきて、
読了後、自分ももっと頑張らなくては、という気持ちにさせてくれます。
現代人が忘れかけている、人のあるべき姿―。
そんなエッセンスが織り込まれた本書でした。
“能の目的は、人を幸せにすること。”
能の世界を通して、人生の生き方を学べるおすすめの一冊だと思います。
(にんげんクラブ会報誌2007年12月号より抜粋)