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絶対悪


 台風がやってきています。この原稿は月曜日の朝に書き始めたのです
が、皆さんがこれを読む頃は台風一過でさわやかな天気になっているの
でしょうか。

 昭和の時代の台風は多くが秋にやってきて街の汚れを洗い流し、過ぎ
去った時にはすがすがしさを感じたものですが、猛暑の季節の台風には、
また暑い夏が戻ってくるのでしょう。ちょうど甲子園の高校野球が始ま
るタイミングで、昭和の時代も夏と言えば甲子園という記憶は同じなの
かもしれません。

 もうひとつ夏といって思い出すのが、広島長崎の原爆の日です。特に
8月6日の広島市長が読み上げられる平和宣言を聞いていると、平和な世
の中を創り上げるにはどうしたらいいのかということを真剣に考えさせ
られます。

昨年、大ヒットした戦争中の広島が舞台になっているアニメ映画「この
世界の片隅に」を、経営者の友人に強く勧められて見に行きました。
NHKの番組でもそのことが取り上げられていて、世の中ドンドンおかし
なことも増えていますが、大事なことをちゃんと言えるようにもなって
いることが感じられます。

 映画だけではなく、昨年は久しぶりに広島の原爆ドームや平和記念公
園なども訪れました。そこでは、伊勢サミットの後、オバマ大統領が訪
問されたことで、広島の位置づけが大きく変わりつつあることを感じる
ことができました。

それまでのノーモア広島の運動は、原水爆禁止運動をやっている方が中
心でした。それが、一般の市民の方や、まだまだヨーロッパの方が中心
ではありますが、多くの外国人の方が、広島の意味を真剣に考えながら、
市民ボランティアの方の説明を一生懸命に聞いていらっしゃるのが印象
的でした。

 8月6日のテレビの映像でも、そんな外国人の方の姿が多数映されてい
て、戦後72年の時間が経って、人類はようやく原爆という大きなトラウ
マに向き合う準備ができてきたのかなという感想を個人的には持ってい
ます。


 広島市長の平和宣言の中で一番気になったのは、原爆が「絶対悪」だ
と何度も言い切られていたことです。アメリカには、「広島と長崎の原
爆があったから日本が早く降伏した。もし、原爆を使っていなかったら
上陸戦になり、何十万人かそれ以上の犠牲が日米双方に出ることが予想
されたので、相対的には犠牲も少なくすみ、日本の復興も早まったと言
える。だからあの当時の原爆は「必要悪」なのだ」という論理が根強く
あります。

 そして、現在も「大国の核抑止力のおかげで第二次大戦以降、世界は
大きな戦争に巻き込まれていないのだ」という、核兵器「必要悪」論が
安全保障の根幹をなしています。国連の拒否権を保有している米英独仏
中に加えて、インドやパキスタン、イスラエル、それに北朝鮮が核兵器
を保有しているだろうとみられていますが、少なくとも米ソの冷戦構造
が機能していた時代は確かに、核抑止力でなんとか最悪の事態がまぬが
れていたことは間違いのない事実だったと思います。

 しかし、国際秩序に公然と反抗する北朝鮮という独裁国家が核兵器を
持ち、ことと次第によってはその使用をまったくためらわないであろう
ことが十分予想される事態にまで至った現在の世界情勢を考えると、核
兵器が「絶対悪」であり、広島や長崎にそれを投下して何十万人もの市
民を殺戮したことは人類が犯した「絶対悪」であるということを、私た
ち人類がしっかりと直視する時代がやってきたのだと思います。


 「絶対悪」といって最初に連想されるのはヒトラーという存在です。
何百万人ものユダヤ人を優性主義の考え方で、ただユダヤという民族を
断種するためにだけ虐殺したヒトラーだけは、誰が何と言っても「絶対
悪」であり、彼の業績を評価するなどとんでもないとうのが、昭和の時
代の論理だったように思います。

 しかし、ヒトラーはその当時にアウトバーンという制限時速がなくて
も走れるような高速道路を作って、あっという間に失業者をなくすとい
う経済政策を採用し、まれにみる成功を収めたことで知られています。
しかも、彼がドイツで政権を取った過程はまったく合法的なものなので
す。だから、ユダヤ問題に対してほとんど当事者意識を感じることがな
い日本人である私は、心の奥底のどこかで彼のすべてを「絶対悪」とす
る論調には少し違和感を持っていました。

 そのドイツでは『帰ってきたヒトラー』(河出文庫)という小説がベ
ストセラーになり、映画化もされました。2011年に本物のヒトラーがタ
イムスリップして現れるというストーリーですが、難民問題をはじめと
するドイツの社会問題を的確に風刺していて、ヒトラーという存在が今
ここに現れても、我々は彼に政治を委ねてしまう危険性があることを鋭
く感じさせてくれるストーリーが評価されているのでしょう。

   

ただ、私が本書から感じるのは、ヒトラーがこの小説ではほんのすこし
だけ「絶対悪」ではなくなっていることです。

 そして、もっと驚いたのは、イスラエルでもこの本の翻訳と出版が認
められたということです。
まず、広島長崎の原爆が「絶対悪」であったことをきちんと直視して、
その上でそのトラウマを克服して人類の未来を考えていかなければいけ
ないことを考えさせられた今年の8月6日でした。



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