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GINZA SIX

 
 父は日本を代表する小売業界の経営コンサルタントでした。実は、
いまの船井総研は小売業界に対するコンサルティング業務の売り上げ
は全体の売り上げの5%を切るところまで下がっていて、必ずしも流
通業界のコンサルタント会社とは言えなくなっているのですが、私が
大学生の頃は小売業界を仕切っていると言っていいほどの勢いでした。

 そんな背景もあって、私は将来は流通業界のコンサルタントになる
のだという思いがあり、大学では百貨店研究会というサークルに入っ
ていました。

 少し詳しく書くと、当時は船井総研ともうひとつメジャーな流通業
界向けのコンサルティング会社があって、お互いに切磋琢磨していま
した。その頃の父の本を読むと、「未だに流通業界で私の悪口を言っ
ている人がいるが、ちゃんと耳に入ってきているぞ」、というような
ことが書いてあって、かなりやんちゃな父の側面にちょっとびっくり
します。

 そのサークルはいまでは名称がマーケティング研究会に変わって、
とても人気のあるサークルに変貌しています。私の頃は古めかしいイ
メージで部員数も少なく、普段はお酒を飲んでいるか麻雀をするため
の集まりだったのですが、さすがに文化祭の時だけは真面目に研究し
て発表をしていました。

 記憶は遠くなっていますが、その研究でたしか銀座の百貨店戦争を
テーマに取り上げたことがあったように思います。当時は、西武百貨
店と阪急百貨店が旧朝日新聞跡に出店したり、ダイエーの子会社であ
るプランタン銀座が出店したりして、百貨店という業態が銀座でも最
後の輝きをはなっていた時期になります。現在でもそのまま営業して
いるのは三越と松屋だけですので時代の移り変わりを感じます。

 当時の船井総研はダイエーやイトーヨーカドーという、いまではこ
の業態自体もまったくダメになりつつある量販店という業界のコンサ
ルティングが得意でした。ですから、なかなか伝統と格式のある百貨
店業界とは付き合ってもらえなかったという話もよく耳にしていまし
たが、やはり小売りの商売をするからには百貨店をやってみたいとい
う思いはみなさん強く持っていたのです。

 先週、銀座6丁目の旧松坂屋百貨店の跡地に新しい商業施設「GINZA
SIX」がオープンしました。私が学生の頃というか、父が流通業のコン
サルタントとして一番活躍していた頃は、百貨店のような大型店は大
鑑巨砲主義と言われる大型店が有利な時代でした。

 売り場面積の大きな店が他を圧倒する場合が多く、新規出店であっ
ても大きな店を作ると商圏が変わって人の流れが変わってしまうよう
なインパクトがありました。父はそんなダイナミックなコンサルティ
ングで人気を博していたのですが、「GINZA SIX」のコンセプトは
脱百貨店だということです。

 銀座地区は、大きな百貨店が三越、松屋、松坂屋と3つあったのです
が、どれも他を圧倒してメチャクチャ儲かるほどの面積ではなく、ど
んぐりの背比べ状態が続いていました。その中でも、どうしても地方
百貨店のイメージがあり、売り場面積でも微妙に負けていた松坂屋は
特に目立たない百貨店でした。

 近隣の敷地も合わせて大規模開発をしたのは時宜を得た選択ですが、
百貨店ではなくブランド店の集積点を目指すやり方は昔を知るものか
らすればかなり思い切った選択です。やはり、そういう意味でも銀座
は日本でも一番大事な商業地なのだということを証明したように思い
ます。

 テレビ番組で、銀座で長年不動産屋さんをやっている方のコメント
が流れていましたが、銀ブラを楽しむのが基本の銀座にあって、それ
を立体的にしたのが「GINZA SIX」のコンセプトだとすると、本来
の銀座の商売のあり方に戻っただけなのかもしれません。オープニン
グのあいさつで安倍総理が訪日外国人客の過半数が銀座を訪問すると
いう話と、銀座の路線価格がかなりアップしたことを話されていまし
た。なかなか同意してくれる人がいないのですが、やっぱり景気は緩
やかに回復している気がします。

 オープン最初の土曜日に雨の中、私も「GINZA SIX」に行ってき
ました。昔、仕事でお世話になった会社が出店されたのでお祝いを言
いに行ったのですが、ものすごい人手で少し気分が悪くなるほどでし
た。

 少し長期的に考えると商業施設の最上階に出展された蔦谷書店がど
れだけ集客力をキープするかがポイントになると思っています。代官
山の蔦谷書店の成功を銀座に持ち込んだ形になりますが、中長期的に
見ると本当のターゲットは訪日客ではなく、日本人の高齢者であるこ
とがよく分かる店づくりです。

 世界一のお金持ちである、日本の高齢者の財布の紐をいかに緩める
かが日本の商業施設がうまくいくかどうかのポイントですね。そうい
う意味では、まだまだ足下を固めれば儲かる方法があるということを
再確認した1日になりました。



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