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本当の文化

 日本を代表する宗教学者である山折哲雄先生のお名前に、高知県梼原
町の町制施行50周年記念式典の中で初めて触れさせていただきました。

 町のコンサルティング並びにプロデュースを請け負っている、株式会社八
百万INGカンパニー
が作成した町が目指す方向を示すイメージ映像の中に、
梼原をもっとも有名にしている建築家の隈健吾先生(国立競技場の設計を
担当されることになりました)と山折先生のインタビューがあったのです。

 私は不勉強で山折先生のご著書に触れたこともなく、東京に帰ってから
急いで本を取り寄せて読んでみると、そこには赤塚高仁さんとの共著『聖
なる約束3 黙示を観る旅』(きれい・ねっと)
で、書きたくても私の能力では
とても書き著せなかった世界があり、いまさらながら自分の不勉強を悔い
ています。そして、50周年記念式典の中でスピーチに立った人が「高知の
チベット」という表現をされるほどの中山間地域の過疎の町で、日本の最
先端の文化を教えていただいたことに衝撃を受けています。

 当日50周年記念式典を記念して作られたリーフレット「水光る森」をいた
だいたのですが、そこに記念寄稿された八百万INGカンパニーの長野アミ
社長の文章の中に次のような一説がありました。


 
(引用開始)

 梼原には、いにしえの智慧に満ちた、かつての日本人のありようの「記憶」
を蘇らせるかのような場所が、いくつも遺っている。

 例えば、百年あまり森と共に時を刻んできた水路。静かに語りかけるよう
に流れる水に導かれて歩みを進めると、谷底から川のせせらぎ、頭上から
葉ずれの音と鳥の声、そして、水辺を覆う苔の緑と青の点描画、時に風が
運ぶ甘やかな香りにいざなわれ、いつしか、自らもその大きな有機体の中
に溶け込んでしまう・・・・・・。「人工」の水路が、辺りの自然に働きかけ、自
然と人が一体となった循環を生み出し、情緒溢れる風景をももたらして、独
自の「自然界」をつくり出しているのだ。

 それは、自然を支配しようとする人間中心的なものではなく、自然の中に
居場所をいただく日本人ならではの「人工」。人のつくったものが、母なる自
然と調和し、それを支え、その中に息づく。

 森の水路が教えてくれるのは、多彩、豊穣にして無常なる自然を持つ日
本に住まう民がつくり得た、日本らしい文明の原石のありかに他ならない。

(引用終了)

 東京には文化があふれています。大きな書店が、世界の超一流の絵画を
日常のように鑑賞できる美術館が数多くあり、超一流の演奏家のコンサート
を毎日のように楽しめる環境があります。しかし、ここに表現されているよう
な日本人ならではの「人工」を見つけることはかぎりなく難しいように思えま
す。もしかすると、それを発見できるのは自然との共生ができている中山間
地域のような場所だけなのかもしれません。

 逆に考えると、ある程度の豊かさを担保されている場所では、危機感がわ
かないために本質的な文化は作れないのではないでしょうか。梼原のよう
なところで生きていくことを選択するのならば、この日本の本当の文化を磨
いていくしかないという町づくりの方向性に対する覚悟が感じられて、矢野
富夫町長とそれを見事に表現された長野社長の力量に舌を巻きました。

 私は小川雅弘さんからのご紹介で梼原にご縁をいただいて、同町のみら
い大使をさせていただいており、今回の50周年記念式典にも小川さんと一
緒に参加させていただきました。式典が始まる1時間ぐらい前についたので、
小川さんがお気に入りのカフェ「COFFEE FLAG」にお茶を飲みに行ったの
ですが、その途中の道で偶然にも長野社長とすれ違い、「こんにちは」と声
をかけていただきました。


 その時の透明感がとても印象的だったのですが、記念式典で長野社長
を紹介されて、なるほどなあと思いました。民俗学者の宮本常一、司馬遼
太郎や山折哲雄、それに隈健吾という日本を代表する賢人を惹きつける
魅力を持つ梼原の素晴らしさを、私も微力ながら伝えていきたいと思って
います。そして、この梼原という原石が磨けたときに、日本の未来も見え
てくる気がしているのです。



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