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あなたは誰に看取られたいですか


 8月23日に第二回看取り士全国大会に参加させていただきました。本木雅
弘さんが好演された映画「おくりびと」の原作と言ってもいい「納棺夫日記」の
作者、青木新門先生が基調講演をされた後、何人かの先生方と一緒にシン
ポジウムに参加させていただきました。

 シンポジウムのテーマは「あなたは誰に看取られたいですか」でした。柴田
先生とは父が亡くなるちょうど1ヶ月前に初めてお会いしました。父が死んで
いくということに対してまったく準備ができていなかった私のことをもどかしく
思ったサムシング・グレートが、このままでは父が死んでも死にきれなくなる
ことを不憫に思って、柴田久美子先生に会わせてくれたのだと思います。

 そう言えば、大会の最後に、「親を看取る準備がまったくできていないのだ
けれど、どうすればいいですか」という質問が出ました。柴田先生は丁寧に
「看取りに決まった形があるわけではありません。病院で亡くなって行くのな
ら手を握って話しかけながら、魂を感じて魂を受け継いで行けばいいのです
よ」という主旨のとても本質的な答えをされていたのが印象的でした。看取り
をするのだ、という気持ちがあればいいのだという事が分かっていただけれ
ば、まずはそれでいいという事を伝えられて柴田先生はとても満足気でした。

 私もたった数時間、柴田先生とお話しただけですから、テクニックとしての
十分な看取りはできませんでしたし、自宅ではなく病院で父を送ることになり
ました。また、残念ながら死に目にも会えませんでしたが、そんなことよりも
もっと大事な、魂を受け継ぐという覚悟だけはできていたことを改めて確認さ
せていただき、本当にホッとした思いを持ちました。


 さて、「あなたは誰に看取られたいですか」というテーマに対して、私が話す
場面がやってきました。ファシリテーターの奥健一郎先生からは5分ぐらいで
まとめてくださいと言われていたのですが、正直、何を話せばいいのかうまく
整理できないまま話を始めてしまいました。先週、書かせていただいたように、
ちょうどにんげんクラブ愛知のメンバーの皆様も参加をされていたので、ちょっ
とカッコをつけた発言をしました。

 「私が父から受け継いだ役割は真実の情報を皆様に勇気を持ってお伝え
することです。柴田先生が命がけで取り組まれている看取りを普及するとい
うことは、世界中の宗教が死を忌み嫌っているという死生観を変えて、死ぬ
ことは素晴らしいことだという真理を伝えるというとても大事なことです。だか
ら、私は実況中継までやるかどうかはわかりませんが、にんげんクラブの皆
様に見守られながら、自分の看取りを通じて死は悲しいことではないという
ことを伝えていきたいと思います」と言ってしまったのです。

 ときどき、やってしまうのですがカッコをつけた発言はその場はいい気分に
なりますが、後でバランスを崩してしまうことになります。にんげんクラブの寄
合なんかでやってしまうと、その後の懇親会でバランスを取り戻そうという本
能が働いて、飲み過ぎてしまうことになります。翌朝、二日酔いになってやっ
てしまったということが分かるのですが、もっと本音をお伝えできるようになら
なければといつも反省しています。

 ところが、そのカッコをつけた発言が奥先生にとっては突っ込みどころがあっ
たようで、その後のシンポジウムはその流れで進んでしまいました。まずいな
と思ったのですが、そこはさすがに柴田先生、私にとっては結構きつい発言
をされてシンポジウムの流れを変えてしまいました。

 「自宅で看取りをしてほしいという希望を本人がされても、結構奥様に拒否
されてしまうケースがあります。離婚まではしないけど、どこかにご主人のこ
とを許せないという気持ちがあるようですね。もちろん、自宅で看取るという
覚悟を持つのは大変なのでということもありますが」とおっしゃったのです。

 私の隣には、私と同い年の北名古屋市にある曹洞宗平田寺の長谷川史道
住職がパネリストとして参加されていたのですが、二人で思わず顔を見合わ
せてしまいました。二人とも妻に看取ってもらえる自信がないということに気
がついてしまったのです。仲良くはしていますが、命がけで自宅で看取りをし
てくれるほど愛されている自信がなかったのです。

 冒頭の私の発言も、本当は妻に看取ってほしいのに、それが無理だと心の
奥底で感じているからついついカッコをつけた発言をしてしまったことを、柴田
先生に気付かされてしまったのです。最後に、もう一度発言の機会が回ってき
たので、そのことを正直に言うことができ、その日の懇親会は飲み過ぎること
がなかったので本当によかったと思っています。

 もちろん、柴田先生はそれが長谷川住職や私にとってキツイ発言だというこ
とを意識されていたわけではないのですが、本質的なことを真正面から見つめ
ている柴田先生の大会でカッコをつけ続けることはできませんでした。
舩井フォーラム2015」でも、そんな自分が知らず知らずのうちに隠している本
音が導かれるシチュエーションがあるかもしれません。楽しみにしています。

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