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里山資本主義

 藻谷浩介さんとNHK広島取材班が書かれた「里山資本主義
(角川Oneテーマ21)を読みました。藻谷さんは50万部を突破した「デフレの正体
(角川Oneテーマ21)の著者であり、私は「デフレの正体」はいままでの貨幣価値
を基準に考える経済学を脱却した新しい世界を提示してくれた名著だと思ってい
ますので、まだ読まれていない方はぜひお読みいただければと思います。

 お金がすべての基準であるという考え方で、私たちは経済を発展させてきました。
私が小さな子供のころは少なくとも子ども目線で考えると普段の生活にほとんどお
金は必要ではありませんでした。兄によくザリガニ釣りに連れて行ってもらいました
が、それにはお金がかかりません。近所の友だちと公園で缶蹴りをして遊びました
がやはりまったくお金はかかっていません。

 野球が好きで三角ベースでよく遊びましたが、バットやグローブ、ボールにはお金
がかかっていますが、いまのように少年野球でユニフォームを揃え親が送り迎えを
してくれる本格的なものではないので、それにかかっている金額は比べ物にならな
いでしょう。習い事をしている友だちもいましたが、せいぜいそろばん教室やお習字
教室が主体で小学校受験のための習い事とはそれこそ桁が違うのだと思います。

 「里山資本主義」の対局にある「マネー資本主義」(「里山資本主義」の共著者であ
るNHK広島取材班の井上恭介さんが東京で勤務していた頃、NHKスペシャルで取
材した番組のタイトル)の考え方では、昔はタダかほとんどタダだった小さな子ども
に関する消費がいまでは、小学校受験を前提にした習い事や、それに準じた高額な
お金を払って教えてもらうことが当たり前になったことは、それだけGDPの発展に寄
与するのだから望ましいことになります。

 昔は子どもの面倒は近所のおばさんが報酬という形でお金を取ることなくやってく
れていたのが、いまは高額な月謝を払うことで雇用の機会が生まれたということを
考えれば、マネー資本主義的にはすばらしい経済発展の機会が創造されたことに
なります。日本は成熟国になりましたので、輸出ではそれほどGDPを伸ばすことが
できなくなり、だからこのような形で内需を増やすことで経済を発展させるステージに
30年ぐらい前から入っているのです。

 欧米や日本などの先進国はどこも同じことをやっています。昔は額に汗して働いて、
また、交通手段もいまのように発達していませんでしたので長い距離を歩いて移動し
ていたのが、いまはすぐ近くに買い物に行くのでも車を使ってしまいます。そのために
運動不足になってしまい、だからそれをなんとかするためにスポーツクラブに通いま
す。これも、マネー資本主義的にみるとGDPの増加に寄与するのでとてもすばらしい
ことですが、私は何か変だなと思ってしまいます。

 クレジットカードのCMではありませんが、お金にならない価値を見直す時がやって
きたのではないでしょうか。「里山資本主義」では中国・四国地方の限界集落のそこ
でお金に変えられない価値を謳歌している達人たちにスポットをあてることで、行き詰
まってしまったマネー資本主義の次の生き方を提示しているのです。そして「里山資
本主義」は幸いな事に、アメリカのようなマネー資本主義には本質的になじめない多
くの日本人の感性にフィットしており、これが広がりを見せれば新しいライフスタイルを
日本発で世界に示すことができるのです。

 この週末は船井メディアの「朝倉慶の21世紀塾」で講演するために福岡に行きま
した。マネー資本主義的な視点でこれからの経済がどうなるかを考えるとてもいい機
会になりました。
そして、その後にんげんクラブの「寄合カフェ101」に参加しました。こちらはカフェ101
という場所を中心に活動を続けている馬渡さんが皆さんを招いていただいて1500円
でとてもおいしい手作りの有機野菜を中心とした料理を出してくれます。その味の美
味しさは決して贅沢な素材を使っているわけではありませんが、それこそプライスレス
なもので、こちらは「里山資本主義」を象徴しているように感じられました。


福岡寄合.JPG   福岡寄合2.JPG


 寄合で話す内容も経済のことではなく宇宙的な話が中心で、さっきまでの「マネー資
本主義」の世界での自分とは同一人物と思えないぐらい次元の違う話を私も楽しくさ
せていただきました。ここで大事なのは「マネー資本主義」が間違っていて、「里山資
本主義」が正しいということを言いたいわけではないということです。藻谷さんもそんな
ことは全然言っていません。ただし、朝倉先生の主張でもありますが、「マネー資本主
義」だけの価値観で生きていたら早晩行き詰まることは誰の目にも明らかになってき
たのです。


福岡寄合3.JPG   福岡寄合4.JPG

 だから、それに代わる新しい生き方の模索を始めなければいけないし、そのひとつ
の形が「里山資本主義」だし、にんげんクラブの寄合なのです。ファミレスで行われて
いる寄合は「マネー資本主義」的には大きな価値は生み出していませんが、参加して
いただいている皆様の心に確実に新しい社会を作ろうという萌芽が生まれています。
でもいまは、「マネー資本主義」もまだまだ大切なので、その両者をバランスよく行った
り来たりすることが大事なのだと思います。



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