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大石順教尼について

にんげんクラブの皆様あけましておめでとうございます。
ドイツ在住のこだまゆうこです。本年もよろしくおねがいいたします。

新年のはじまりは、一年の無事を祈願したり、今年の目標をたてたりと、
心新たにスタートできる日ですが、私はというと恥ずかしながら正月早々に風邪をひいてしまいました。
(この原稿も、ベッドの中にパソコンを持ちこんで書いています(苦笑)。)

というのも、年末の冬休みを利用して三日間ほど、フィンランドのロヴァニエミという町に
オーロラを見にいきました。おかげさまで運良く美しいオーロラを見ることができましたが、
外の気温はマイナス30度、まつ毛も凍る寒さにすっかり体力を奪われてしまったようです。
 
日ごろから、もっと体力づくりをしないといけないなぁと新年早々気付かされた出来事でした。
ということで、今年の目標は心と体、そして霊的な「真の健康」にしたいと思いました。
 
 
さて、今回のブログでは、2010年に読んでもっとも感動した本を紹介したいと思います。

それは、大石順教さん(1888〜1968)の書かれた『無手の法悦』(むてのしあわせ)
(春秋社刊)という本です。

大石順教尼の過酷な人生は舞台などで繰り返し上演されたそうですから、
ご存じの方も多いかもしれません。
 
映画『四分の一の奇跡』の入江富美子監督も、この本に感動されて、
大石順教尼の人生とそのお弟子さんである南正文さんの映画を製作されていらっしゃるそうです。
 
 
順教尼は、四歳の頃から舞踊を習い、大坂で名の売れた踊り手でした。
17歳の時に、舞踊の修行を指導していた養父の狂乱によって、一家五人が
惨殺される事件が起こり、その巻き添えとなり両腕を失いましたが奇跡的に生還し、
その後は絶望を乗り越え身体障害者の救済に命を捧げた方です。

私が大石順教尼を知り、この本を買ったのは二年ほど前でした。
ご縁があって順教尼の創設した京都の仏光院を訪れる機会があり、
その場からあふれる癒しの波動に、とても驚きました。

すぐさま本を購入したものの、二年ほどこの本のページを開けられずにいました。
というのも、一家五人惨殺事件の詳細と、その後の順教尼の過酷な人生を、
順教尼の綴った言葉で読む勇気と心がまえが、かつての私にはなかったのです。
 
 
今回フィンランドへの行き道でこの本をようやく読みましたが、何度も何度も涙があふれ、
感動を押さえることができませんでした。
順教尼の書かれる文章はとても美しく、情緒にあふれ、色どりがあります。
 
順教尼は19歳までひらがなも知らない無学な方でしたが、籠に入ったカナリヤの姿から、
口で文字を書くことを教えてもらい、その後は必死に勉学を続けたそうです。
 
このすばらしい文章は、手でなく、すべて口で書かれたものであることに驚き、
さらにそれは心で書かれたものであることが、読後よくわかりました。

私が二年間この本が読めなかったように、たしかにその事件の部分は、
かなり残酷な事件のため、読むのに力がいります。
順教尼ご自身も、事件後何十年たっても、この事件の話は用意に口にできないものだったそうです。
 
講演などで話さなければならない場合は、ある種の心がまえが必要であり、話した後は、
必ず疲労したそうです。
本書ではじめて事件の顛末を文字にするにも、かなり疲労されたようでした。
 
 
しかし、この事件を語らずして、順教尼の人生は語ることができません。
この部分は本書になくてはならない大事な個所ですが、最も大事なのは、
この事件の顛末でなく、その後の順教尼の生き方、考え方です。
 
事件の直後、まだ十数時間しかたっていない時に
「君をこんな目にあわせた養父を憎いと思うか」との取り調べに来た判事さんの質問に、
 
「お養父さんを憎むのは嫌です。やったことの罪のつぐないはお上がとりますでしょう。
 けれども四年間養ってもらったご恩は私かえしていません。
 お養父さんの罪が軽くなるのでしたら、裁判所でもどこでも行って証人にたちます。
 お養父さんのためにできることは何でもします。」
 
と、順教さんは言って、まわりの人にあきれられ、驚かれたようです。

「罪を恨んで人を憎まず」という言葉もまだ知らない17歳の少女の、純粋な思いから出た言葉です。
死んでいても全くおかしくない容体から生かされたのは、この清らかな心があったからではないか、
と思いました。
 
 
本書は、昭和43年3月に初版が刊行され、その4月に順教尼は亡くなっておられます。
この本は、順教さんの遺言のような本だと言えるでしょう。

私の拙い文章では、この本の良さを上手く表現することができませんが、
どうぞ多くの方に手にとってお読みいただきたいと思います。
 
 
IMG_0355.JPG IMG_0494.JPG
写真は、フィンランドで見たオーロラです。



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