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「悪行の聖者聖徳太子」

日本の歴史上の人物で、聖徳太子ほどミステリアスな聖人はいないのではないでしょうか。

普段は、船井は、小説はほとんど読むことがないそうですが、

たまたま書店でこの本に目がとまり、読んだらとても面白かった!とうれしそうに紹介してくれました。

(ちなみに船井は、この本を国際問題研究所「太陽の会」を主宰する中丸薫さんに読んでもらいたい、
 今度プレゼントしようと思うんだよ、とうれしそうに言っていました。)

それでは以下に、この本の感想を述べたいと思います。

今週の推薦図書
「悪行の聖者聖徳太子」
篠崎紘一 著 新人物往来社刊  定価1,800円+税

「人間は弱く愚かだかこそ、強くなれると教えてくれた一冊」

聖徳太子は、法隆寺の建設や、遣隋使、冠位十二階、十七条の憲法などで知られています。

その他に有名なエピソードは、10人の人が話すことを同時に理解ができたということ。

しかし、聖徳太子についての資料が少ないため、本当に聖徳太子はいたのだろうか・・・

後の権力者が架空の人物をでっち上げたのでは?と疑われる意見もあるほどに
ミステリアスな人物です。

その謎に包まれた聖徳太子を、面白い視点で見事なまでに人間くさく書いた小説が、

この著書「悪行の聖者聖徳太子」です。


この小説に書かれている聖徳太子は、仏教を世の中に広め、

良い世の中をつくろうと命がけで行動する傍ら、自らの父の敵を討つため、自制心の不足のため、

自らの地位を守るためなどの理由で、様々な悪行を繰り返します。

肉親を殺したり、策略を巡らせたり、女性に手を上げたり、と読んでいて気分が悪くなるほどです。

しかしそのすべてを、その時はそれを良いことと思って行動しているため、

後になってなぜあんな過ちを犯してしまったのか・・・と自責の念にかられ、

悩み、葛藤する姿が描かれ、「悪行の聖者」の名にふさわしい人間らしさを醸し出します。

後には後悔しても、その時にはそうするしかなかったのです。

また、自ら引き起こす悪行とは別に、自分ではどうすることもできない、

不幸な事柄が次々と起こり、聖徳太子を苦しめます。

まるで、日本版オイディプス王のような不幸な境遇です。


心はまさに聖者のような聖徳太子が、悪行に手を染めなければならなかった理由は、

まわりの環境と人間関係にありました。

人生の幸せとは人間関係で決まる・・・と聞いたことがありますが

まさにその通りで、聖徳太子のまわりの環境は、蘇我馬子を筆頭として、

人を裏切り、騙し、悪行がまかり通るような環境が出来上がっていました。


この本の面白いところは、たとえ過去に悪人であったとしても、

人間は生きていくうちに、悪人で終わらず聖人にもなり得ることを教えてくれることです。

悪行をして悩み苦しみ、そして磨かれていき、ひとたび聖人になったかと思うと、

また忘れた頃にその弱さゆえに悪行をしてしまう・・・。


人間とは、弱くはかないものと教えてくれます。

しかし、悲しみ、傷つき、ぼろぼろになっても、それでも仏はこの世にいると悟った聖徳太子からは、

弱さから生じる強さを教えてもらいました。


また、聖徳太子だけでなく、この本の中では終始悪役で登場する蘇我馬子の人間らしさも、

非常に楽しく感じました。


単なる小説では味わえない、歴史ロマンと人間模様を楽しめる傑作の本だと思いました。

ぜひお読みください。



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