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第10回 音のメッセージ 

 にんげんクラブの皆様、こんにちは。

 カトリックの暦では日曜の復活祭まであと一週間となりました。
今週はキリストの受難の週です。

 受難の週は、イエスのエルサレム入城を記念する「ラモー(枝)の日曜日 」に
始まり、木曜の「最後の晩餐」、金曜の「受難」、土曜の「葬られたイエス」から
深夜の「復活」へと続きます。


リサ330-1.jpg
復活祭一週間前の日曜日に売られるラモーと呼ばれる枝
(枝の種類は地方により異なる) は、キリストのエルサレム
入城のときに群衆がナツメヤシの枝を持って迎えたことに
由来するそうです。 

リサ330-2.jpg
復活祭のチョコレート(卵、鶏、うさぎ、魚の形) 


  
 復活祭前は、教会のイエス像が布に覆われ、パイプオルガンの音は聞かれ
なくなります。土曜深夜のミサでイエス様の復活が宣言された瞬間、オルガンの
華々しい音が再び教会に響き渡ります。

パイプオルガン

 オルガンは、中世のころに教会の楽器として演奏されるようになったそうです。
現存する古い楽器では、場所や時代によってピッチにずいぶん差
(A=380Hz〜500Hz)があります。
 
 鍵盤を押すことで、パイプに空気を流す弁をあけて音を出す仕組みになって
います。大きなオルガンだとパイプも長く、かなりの重低音がでます。ストップと
いうレバーを引いて、一つの鍵盤で違うピッチの音を同時に出したり、音色を
組み合わせたりします。

 演奏中は、両手の鍵盤と両足のペダルに加え、音色を変えるストップの出し
入れ作業があるので、オルガン奏者は猫の手も借りたいくらい忙しいのでは
ないでしょうか。


リサ330-3.jpg
スウェーデンマルメ市の芸術博物館に保存されている、
まだ演奏可能な最古のオルガンの一つ(16世紀製作)。
楽器を管理している方がオルガンを習っている長男に
演奏許可を下さいました。
現在のオルガンよりもピッチが一音程高く聞こえます。

リサ330-4.jpg
これは、演奏者の座る鍵盤側。
左右にたくさんついているストップと呼ばれる
レバーを引くと、音色を変えられる。 

 パイプオルガンは大抵の場合、教会入り口上方に設置されており、奏者の
姿は聴衆からは見えません。聴衆の座る長椅子は、ミサのため祭壇の方に
向いているので、オルガンの音は背後から聞こえてくることになります 。

息子が初めて習った楽器はオルガンです。

もともとパーカッションをやりたかったのですが、音楽学校で「もう定員オーバー
です。オルガン、ハープ、ファゴットならまだ空きがあります」と言われ、彼は
オルガンを選びました。

教会の大きなパイプオルガンに案内され、そこにちょこんと座った当時8歳の
息子は、とても小さく見えました。

リサ330-5.jpg
オルガンは大抵、教会上部に設置されているため演奏者が見えない。
(オルガン修復記念コンサートのあったArbresleという小さな街の教会)


 教会のオルガン奏者は、必ずしもキリスト教徒である必要はありませんし、
教会のミサは信者でなくとも参列できます。司祭様の祝福の際には、カトリック
教徒でないことを示すサイン(腕を胸の前にクロスする)をすれば、聖体である
パンは食べずに、祝福だけを受けることができます。
 
 息子が10歳の時、オルガンの先生のお手伝いでミサの譜めくりをしたのです
が、どうしてもあのパンが味見したい、と言い出して困りました。ご聖体のパンは
信者でなければ食べられません。


オルガンの響き

 息子が練習している、フランスの20、21世紀の作曲家の作品を聴いていると、
時折、神社で鳴っている笙を連想させる響きが聞こえてきます。

 高音部の音をいくつか重ねて保持した響きなのですが、不協和音が空間で
融合され、永遠を感じさせます。
 
 オルガンも笙も「菅に空気を流して複数の音を鳴らす」という点で似ている
からでしょうか。笙の方が息を直接吹き込むので表現が繊細でしょう。
オルガンは大きなフイゴでパイプに空気を送ります。

 Olivier Messiaen オリヴィエ・メシアン(1908-1992) 作曲の『主の降誕』
曲集4番目『御言葉』の冒頭は、オルガンの荘厳な重低音と、重ねた音を
保持した笙のような響きが一緒に使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=CqGv9_tvzck

  39歳の若さで亡くなった、 Jean Alain ジャン・アラン(1911-1940) の
オルガン作品は、フランスで人気があり、よく演奏されています。
『Le jardin suspendu(空中庭園)』という曲はとても神秘的です。
https://www.youtube.com/watch?v=fQiS_iA6UuE

 パイプオルガンの音を聞くと実際に教会にいなくても、教会の雰囲気が
伝わってくるような気がします。
笙の音を聞くと清められた神社の空間をイメージするのに似ています。


 
 
教会旋法

 オルガン曲のプログラムには、『プレリュードとフーガ ・ト短調』といったような
調性(短調・長調)音楽の他に、トン(Ton) とかモード(Mode) という表記がよく
見られます。『ドリアン《Mode》によるカノン』とか、『教会の全ての《Ton》による
100の作品集』といった具合にです。
 
『Ton』は、直訳すると『音』ですが、これは、メロディーの進行にある特徴を
もった音列のことだそうです。『8つのトン』とか『6つのトンと12のモード』と
して昔の楽理書には紹介されているようですが、グレゴリア聖歌に使われて
いる教会旋法といえば、イメージが湧くと思います。
 
 教会旋法を使ったオルガン曲は中世から現在に至るまで盛んに作曲されて
います。このことは、ヨーロッパでは調性音楽が興隆するよりも随分前に、教会
旋法に基づいた音楽が存在し、現在に至るまでずっと受け継がれてきていたと
いうことを示しています。
 
 フランス人の多くは家族で教会に通いますから、子供達はカトリックミサの
グレゴリア聖歌を何気なく耳にしています。まず司祭様が詠唱して、その続きを
皆で斉唱します。CDで聴かれるようなプロの人たちが歌うグレゴリア聖歌では
ありませんが、教会の音響のおかげでとても厳かに聞こえます。
 
 ミサに来た人々に配られる典礼文のテキストの入ったパンフレットには、
グレゴリア聖歌の楽譜がネウマ譜で掲載されています。

楽譜.png
 ネウマ譜
先週のミサで歌われたグレゴリア聖歌(Vexilla Regis ) 

 

クリュニー修道院

 フランスのブルゴーニュ地方にあるクリュニーという小さな町の修道院には、
10世紀末の柱頭が保存されており、そこには八つの教会旋法についての
表記があるそうです。知人にその写真を見せてもらったことがありますが、
各旋法の示す意味がラテン語で綴られ、そのシンボルとなる楽器をもった
人物が彫刻されています。
 
 第一旋法のところには、リュートのような楽器を抱えた人物がいます。
第一旋法は、他の全ての旋法を統括しているのだそうです。

 第三旋法は小型のハープを抱えた神話のアポロのような人物が彫られ、
ラテン語で「TERTIUS IMPINGIT CHRISTUMQUE RESURGERE FINGIT」と
いう文章が刻まれています。この旋法はキリストの復活を示すものだそうです。

リサ330-6.jpg
 クリュニー修道院博物館に保存されている柱頭(Wikipediaより)
教会旋法についてその性格とシンボルが彫刻されている。
(写真は第3旋法)

 
 クリュニーは、リヨンから車から一時間ほどです。
実際に訪れて、この柱頭を見てみたいと思っています。

リサ 3月29日 リヨンにて



追記
 今、スウェーデンのルンド大学に通う夫の長女が日本に行っています。
ヴェガ・クワイア(http://vegachoir.com)というポップスとスウェーデンの歌を
アレンジして歌う女声合唱団に所属しているのですが、最近Youtubeで人気
だそうで、初来日が実現しました。

コーラス.jpg

 4月1日は午前11時よりフォーラム男女共同参画センター横浜にて、
4月2日は小田原市民会館ホールにて(小田原少年少女合唱団と共演)
18時より、どちらも入場無料、予約なしの先着順300名です。

共演する小田原少年少女合唱隊のホームページ

 スウェーデンの人は合唱が大好きで、どんな曲でも合唱曲にアレンジできて
しまうようです。




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