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第6回 異文化に生きる

 何語が一番得意なの?

 2月5日の演説でオランド大統領は、幼稚園からのフランス語学習について
言及しました。先の教育改革でも、小学校低学年ではフランス語習得評価が
重視されると発表されたばかりです。
 
 移民の多いフランスにおいて、フランス語習得は子供たちが社会に溶け込む
必要不可欠な要素と考えられています。2つ、または3つのオリジン(ルーツ)を
持つ子供達にとって、祖国、そして自分の言語とは何なのでしょうか。彼らの
心理は、日本人の両親を持ち日本で生まれ育った私には、到底理解できない
ように思います。


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(あなたのルーツは?)


 我が家を訪ねて来てくれる人たちが、息子によくする質問は
「何語が一番得意なの?」です。息子は、コミュニケーションの手段として、
イタリア語、フランス語、スウェーデン語、日本語を使いますが、「正直な
ところどれも自分の言語ではないのでは」という漠然とした気持ちを
抱いているようです。

 知り合いのピアニストが、「モーツァルトが、同じようなことを言っていた
らしいよ。幼い時から旅することの多かった彼は、母国語のドイツ語の
他にコミュニケーション手段として多くの言語を話せたけど、自分の言語と
いえるものは特になかったらしい」と話してくれましたが、どの言語もきっと
完璧だった天才モーツァルトとは違い、息子の場合はどの言語も不完全
なのでは、と私は少々心配なのです。


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(あなたは誰?)

 
あなたの祖国は?

 日本人の私は、ヨーロッパに於いて日々異文化に接しています。
夫もフランスに暮らすスウェーデン人で、やはり異なる文化を肌で感じて
います。
子供達はどうでしょうか。2歳の娘はこのままずっとフランスで育てば、
フランス人としての感覚を身につけるでしょう。

 息子は、6歳までイタリアで育ちましたが、ご近所が「イタリアで生まれたの
だから君はイタリア人だな」と口を揃えていうものですから、幼少期はずっと
イタリア人だと思っていたようです。本当はフランスと違って、イタリアで生ま
れても両親が外人であればイタリア国籍にはならないのですけれど。

 幼稚園で同級生に中国人かと問われ(息子は黒目黒髪)、家に帰ってきて
から私に「僕って中国人だったの?」と尋ねました。
「日本人とスウェーデン人に決まってるじゃないの」と私は答えましたが、
そのときはじめて自らのアイデンティティーに疑問を持ったようです。

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(あなたの祖国は?)

7年前我が家がパリに引っ越した時、フランス滞在期間が未定だった私たち
は、息子をスウェーデン人学校に通わせられないものかと学校に問い合わせ
ました。予算的に無理がありましたが、校長先生に我が家の所得証明をみせ
たところ、「すべての子供には母国語で学習できる権利がある」とおっしゃって、
学費免除、給食費のみで息子を受け入れてもらえることになりました。パリで
初めて息子は父の母国語であるスウェーデン語を学習することができました。

 3年後、フランス滞在が長くなるためフランスの小学校に移行することにした
のですが、なんでもゆっくりの長男がフランスの学習速度についていけるかが
心配で、一年下の学年CM1(日本の小4 フランスは留年も飛び級もあり)に
入れることにしました。

 
フランスの小学校

 息子にとって初めてのフランスの小学校です。最初のうちは、万年筆書きや
筆記体にも慣れておらず、ちょっとでも字が汚いと先生が、
「はいっ!やり直し!」といってページを「べりっ」と破ってしまうのがかなり
怖かったようです。
 
 クラスのみんなの字があまりにも汚いと先生のご機嫌は急降下し、
「なんですか、これは豚の字ですか!!」「はえの足で書いたような筆跡!!」
と、どんどんヒステリックに(息子談)。学校事務員の方が入って来て、
「このクラスの生徒たちは朝みんなきちんと挨拶ができています。
すばらしいですね。」と言い残していくと、「あなたたちは先生の誇りです!」
今度は機嫌が急上昇、一喜一憂する先生を前に息子は毎日ドキドキしていた
そうです。


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作文の遅い息子

 新学期から3ヶ月が過ぎて、担任の先生から「よく頑張っているので、
来年は彼の実年齢の学年、中学校一年生(日本の小6)に飛び級しても
大丈夫かもしれません。」というお話がありました。

 同時に、「息子さんは何事も時間内に終えるという習慣がありません。
それでは中学校のきびきびしたペースについていけません。特に作文を
書くのが遅すぎます。」と注意されました。書くのが「遅い」というのは、
イタリアの幼稚園のお絵描きの時間でも、スウェーデン人学校でも、日本の
小学校体験入学でも同じだったのですが、ついにフランスの学校で「問題」と
して指摘されてしまいました。

 授業中に先生が、「あと3分、早く、早く!」とよこでパンパン手を叩きながら
キンキン声で急かす(息子談)らしいのですが、あまり効果もなく、うちの子は
「僕はこれ以上速く書くと手がけいれんしそうでできない」と言ったそうです。


 
フランスでは、何をおいてもフランス語

 担任の先生から面談に呼ばれ、「書くのが遅いのはフランス語力のせいかも
しれません。フランスでは、なにをおいてもフランス語、数学ができようが物理に
才能があろうが、良いフランス語を習得していなければ社会で認められません。
明日、他の飛び級予定の子供2人と一緒にフランス語の国家能力検定をやり
ます。」ということになりました。
 
 後日、フランス語の能力試験は先生が思っていた以上に結果が良かった、
と伝えられました。先生曰く、「彼は全部の問いを制限時間より前に書いて
提出したのよ。必死になればできるのよ。速く書くのは手が痛いから無理とか、
全部言い訳ね。」

 子供が言うには、先生は試験中すごい形相で横に待機していて、ちょっと
でもぼやっとすると、「あと3分、速く!悩まずにとにかく書く!」と、制限時間
内に終わらないのは許されない雰囲気だったのだそうです。


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(ボランティアの人たちによる放課後の宿題補助。
息子も近所の公民館で水曜日の午後お世話になっています。)


 
 息子は無事中学校に進級、現在13歳中学校3年目(日本の中2 フランスの
中学校は4年制)となりました。中学校のフランス語の先生はとても厳しく、本の
要約の宿題が山ほど出るようで、毎日「僕はなぜ学校に行かないといけないのか」
とぶつぶつ文句をいいながらレジュメを書いています。


リサ 2月8日 リヨンにて



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