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内田樹・成瀬雅春(著)
価格:1,470円
出版日:2012年10月
出版社:マキノ出版
本書は、思想家であり武道家の内田先生と、ヨーガ行者の成瀬先生との対談書です。
本書を読みはじめると、冒頭から成瀬先生の空中浮遊の話が始まり、
水の上を歩くとか、壁抜けの話題などが平然となされて、常識の枠がある人からすると
トンデモ本と思われることでしょう。
(もちろん、にんげんクラブの読者の方は、まったく驚かない本だと思います)
武道とヨーガのプロの方々が、身体の使い方を深く語る内容は、直感力を高める方法や、
見えない世界を身体で感じる方法を教えてくれます。
お2人ともリラックスして対談されているのか、全く肩肘がはられておらず、
読み手も楽しみながら最後まで読むことができる本だと思いました。
いい意味で、お2人がいろいろな常識をはずしてくれます。
特に、歩くことに関して、お2人の感度が非常に高いことに驚きました。
内田先生は、雑踏を歩く際には、誰とも身体を触れずに歩く訓練をされています。
自分の半径2メートルくらいに結界を作ることや、目の前を歩いてくる人が避ける
方向を予測するなど、非常に良い訓練になるとのことでした。
成瀬先生は、ヒマラヤでの速足法を身につけておられ、歩くときのギアチェンジが
4速くらいあるそうで、トップギアで歩くとアスリートでも追いつける人はいない
そうです。そのように歩くことを極めておられる成瀬さんは、歩いているときに
突如「歩けて幸せだなぁ」と幸福感が湧いてくることがあるとのことでした。
また、昔のチベット行者には「ルンゴム」という空中歩行のテクニックを使っていた
人々がいたとのことで、身体能力には無限の可能性があることがわかります。
個人的には、運動神経が悪いことが長年コンプレックスだったのですが、
本書を読むことで、思い込みの重要さに気付くことができました。
プラス発想になることや、制限をなくすこと、身体の使い方をちょっと工夫すること
など、お2人の対談を読んで、そのコンプレックスをなくすことができたように
思います。
もっと身体を大事にしようと思えました。
身体も頭も上手に使って、直感力を鍛えるヒントがたくさん詰まった本です。
ぜひお読みください。
(にんげんクラブ会報誌2013年1月号より)
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