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こんにちは。にんげんクラブ事務局です。
「有意の人、語る」(会員様ご投稿コーナー)お二人目は、北海道にお住まいの
Haruフラワーデザインスタジオ 代表 森直子様です。
森様は、舞台、店舗のディスプレイを手掛けられるとともに、
スクールでの花育人材育成を行われるなど積極的な活動をされています。
そんな森様より、素敵なエッセイをご投稿いただきました。
以下に、ご紹介させていただきます。
「切り花の生命(いのち)」
花作家 森 直子
切り花は根を切られても生きています。
生命力の根源である「根」。それを絶たれても切り花は生きているのです。
花を目の前に与えられた時、私たちをやさしく癒してくれる花のために出来ることは何か。
それは、少しでも美しく元気で長生きさせてあげること「延命」、
思いやりを持ち接してあげること「いたわり」「慈しみ」です。
生命が終わるのを花は自分で知っています。
まもなく死んでいくこともわかっているのです。
余命少ないいのち。その色、香り、姿形、雰囲気など、そのさまざまな持ち味で、
私たちの五感を楽しませてくれる役割を持ち、産まれてきて育てられた切り花。
でも花は何も言わずに私たちを和やかな気持ちにさせてくれる優しいエネルギーを、
枯れるまで与え続けてくれます。そんな花たちにとって、
誰かが慈愛の心で接してくれることが、なんとうれしいことだろうと、日々花に接していて感じます。
いつまでも元気でいてくれますように・・・と、
その花のそれぞれの個性に適した「水揚げ」をして、
毎日お水や養分をあげていると、花はそれに応えて生き生きし、長生きしてくれます。
綺麗に咲いてね、暖かな気持ちにさせてくれてありがとう、
という感謝の気持ちで接し、傷つけないよう丁寧に扱い、
声をかけたりしていると、花たちもそれに応えて美しく長く咲き続け、私たちを喜ばせてくれます。
人間、生きとし生けるもの、物質、すべて同じなのではないでしょうか。
花同士の出会い、異質のものとの出会いや組み合わせ、
さらには磨かれた技術による技、面白いアイデアなどで、
より一層花たちが美しく生き生きと輝くような作品を創る。
切る道具である花バサミを手入れし磨いて、花の導管を潰さないよう気をつける。
水揚げの際に紙で保護をしてからその花に適した方法を使う。
花びらや葉を傷つけないよう配慮して扱う。
花の生命に欠かせない「水」を常に与え、
バクテリアの繁殖を防ぐような手入れをして水を取り替え、器を洗い清潔にする。
以上のように、思いやる、気遣う、個性を生かす、与える、保護するなど、
例えて言えばきりが無いほど、たくさんの愛があると思います。
でも一番花が喜ぶのは、手元に花が来たとき、
その人がその人なりに花を大切に思い愛情をかけること、そう思います。
花は無理を私たちに強いることはありません。要求することもありません。
手入れが出来ずに枯らしてしまっても、
水を取り替えることが出来なくて腐ってしまっても、花首を折ってしまっても、
どんなときも何も言わず優しく微笑んでくれるのです。
手に取ってくれた人がいて、自分を見て笑顔になってくれた人がいる、
ということだけで花はとても嬉しいのです。他には何もありません。
その存在のみがあるだけです。それが切り花の産まれてきた役割だからです。
ですから、出来ないから、出来なかったからと言って、罪悪感を持つ必要はありません。
こうしなければいけない、そうすべきである、ということは何もないのです。
花はそれをわざわざ私たちに望むことはないからです。
花がそこに在り、私たちがそこにいる。ただそれだけなのです。
その生命が尽きるまでのほんの少しの間、花はただただ黙って咲き続ける。
これから散ってゆく紅葉が最後に見せる華々しい美しさのように、
切り花は最後に残りわずかな生命力の全てを賭けて、
誇らしげに、それぞれが、その花なりに、光の射す方向に向かって、ただただ咲く。
それが、切り花が人の心に感動を与えるほどの美しさたる由縁ではないかと、そう思います。
切り花にはとても不思議な魅力があり、底知れぬ強さと生命力があり、
枯れてもなお、命を感じます。「今このとき」のみを生きている逞しさすら感じます。
自分が最も美しく輝き始めるそのときに「根」を絶たれ、
私たちの手元にやって来て、幸せな気持ちにさせてくれるのです。
今までの生まれ、育ち、環境、経緯など、何一つ言わないので、
私たちはそれらを察することしか出来ません。でも花を察することで、
自分自身を見つめ、考え、発見したり、気づきを得ることが可能になるのです。
私はどんなに疲れていても、悩んでいても、苦しくても、ふっと目の前にある花を見ると、
なんとなく心がほっとして優しい気持ちになり、元気になります。
そんなとき、笑顔にしてくれた花に「ありがとう」と感謝します。
いつも花たちに囲まれながら、元気をもらい、作品製作や勉強をしたり、
仕事をさせていただき、それが喜びにつながり、自分の生きがいとなり、
今があり、その過程で体験したこと、感じたこと、思ったこと、悩んだこと、迷ったこと、
考えたこと、失敗したこと、学んだこと、のすべてが自分自身を形成し、成長させてくれています。
切り花に対峙するとき、人は心を開きます。切り花はその瞬間を生きているだけで、
何一つ思いがないからです。それが人間から見たとき、不思議な魅力に映り、
強さや逞しさを感じるのかもしれません。
世界中でいけばな、アレンジメントなどの切り花が、紀元前の古代から伝わる文化として、
各国で発展していった経緯には、人間には計り知れない深い「なにか」があるような気がします。
そして、切り花がもつ独特の慈愛や優しさが人を引き付け、
ときには大切な忘れていた何かを、私たちにそっと気づかせてくれるのかもしれません。
だからこそ、その魅力を今現在も人々は探求しようと試みているのではないでしょうか。
生命の根本を絶たれても、なお生きて存在しているもの、それが切り花なのです。
続きは、こちら→ http://harufds.hp.infoseek.co.jp/hana.htm
(森様のHPに飛びます)
HaruフラワーデザインスタジオHPは、こちら→ http://harufds.com/
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