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岡 潔 (著)
2006年10月 発行
出版社 光文社
日本の生んだ天才数学者、故・岡潔氏が1963年に毎日新聞社に寄せた随筆集「春宵十話」。
岡氏は、生涯の研究課題となる「多変数解析函数論」の分野における難題「三大問題」に
解決を与えた世界でも有名な数学者です。
この本は、岡氏が、幼少期からの思い出や、日本の教育のあり方について
述べている随筆集です。天才と言われた岡氏ですが、小中学生の頃は
さほど成績がよいほうではなかったことなど、読んでいて非常に親近感がわいてきます。
40年以上も前の本ですが、今読んでも内容はとても新鮮に感じられ、多くの学びがあります。
岡氏は、この本の中で情緒が頭をつくる、と述べています。
他人の悲しみの心や、野に咲く花の美しさ、そういったことがわかってはじめて
「考える頭」が作れるのだそうです。
いまの教育は思いやりの心を育てるのを抜いているのではあるまいか・・
体ばかり発育が早まり、たくましさはわかっても、
人の心の悲しみがわかる青年がどれだけあるだろうか。
岡氏の心配した日本の未来、教育の未来を、今一度考えてみる必要がありそうだと思いました。
(にんげんクラブ会報誌2007年4月号より抜粋)